ウィキペディアに『帰還』を新規投稿しました。アーシュラ・K・ル=グウィンの『ゲド戦記』シリーズ第4作。
一応は英語版からの翻訳ですが、内容と出典が乏しく、しかも出典元を当たってみたところ、「そんなこと書いてなくない?」的な、記述とあんまり関係してなさそうなところに付いていたり(みっちの英語力だから、断言はできないけど)。日本語文献で置き換えられるものは置き換えたりした結果、英語版の内容は基本情報ぐらいしか残ってないかもしれない。ぐらいに大幅に書き換え、書き加えました。
第3作『さいはての島へ』でも新しい出典(「ジェンダー研究」への青木耕平の投稿論文)を使いましたが、それに加えて今回は織田まゆみ『ゲド戦記研究』という本を出典にしました。正直、「ゲド戦記」という表記は物語の内容(とくに後半の3冊)にふさわしくないため、『ほんとうのゲド戦記』以外にこれをタイトルに使っている本があるとは期待しておらず、発見が遅れました。よもやよもやだ(爆)。しかもこの本は第4作以降に焦点を合わせてあり、ちょうどおあつらえ向きでした。この二つがなかったら、立項はできなかったでしょう。
新しい資料で書くためには当然読まねばならず、その分時間はかかりましたが、思ったほどではなく、いまのところ月一ペースはまだ守れています。構成面で主題をどう切り分けるかとか、ル=グウィンの講演をどう扱うかとか、悩みどころはありましたが、個人的には、今回の出来にはかなり満足しています。苦労すると思ってたからよけいにねf^^;。
昔、原作を読んだときは、地味な展開に驚いた記憶があります。ゲドが一般人になるということも意外でしたが、SFやファンタジーって、たいがいぶっ飛んだ話になるところをあえて家庭生活重視の物語にするわけですから。そのころはフェミニズムなんて知らなかったし。とくに今回は勉強になりました。あと2作あるので、なんとか完結まで持っていければいいなあ。