Yahoo!ニュースに BuzzFeed Japan のインタビュー記事が掲載されていたので読んでみました。ここで採り上げるのはもちろん、LotR字幕問題についても触れていたからで、その部分を下に引用します。
ネットで広がる誤訳批判。そして『ロード・オブ・ザ・リング』騒動
ネットでは、戸田さんが翻訳するときに使う独特の意訳や言い回しを「なっち語」と親しむ人がいる。その一方で、戸田さん独特の意訳や誤訳に対する批判の声が上がるのも事実だ。「誤訳の女王」とも呼ばれることも。
ネット上の批判について、戸田さんは「見ないから、何て言われているか知りません」。
戸田さんが字幕翻訳を担当した『ロード・オブ・ザ・リング』『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』は、原作に忠実ではないという批判が相次いだ。原作ファンを中心に、ネットで字幕修正や字幕翻訳の交代を求める署名活動が起きる騒動となった。
戸田さんは「言い訳や昔の話をしたくない」と最初に断りを入れながら『ロード・オブ・ザ・リング』騒動についてこう説明する。
「抗議をした方々は、数十年前の本の翻訳を聖書と思っているわけ。数十年前の翻訳ですよ?日々変わる言葉が、その間にどれだけ変化するか。今の観客が違和感を抱かない字幕にするのが当然じゃないでしょうか」
原作「指輪物語」は、瀬田貞二さんが1970年代に翻訳。当時、使われていたことばは通用しないと戸田さん。実際、原作の翻訳も1992年に翻訳が推敲されている。
まず、戸田氏が言っていること以前に、「原作に忠実ではないという批判が相次いだ」という地の文が違います。原作というより映画そのものに忠実でなく、シーンの意味が分からない、あるいは誤解を招く字幕だったという批判が相次いだのが真相でしょう。はじめから本題がずらされています。ここ、前から口を酸っぱくしていっているんですけど、採り上げ方がいつもこの調子なんですよね。で、戸田氏はそれをいいことに、「抗議をした方々は、数十年前の本の翻訳を聖書と思っている」と便乗しています。批判を見ず、何て言われているか知らないとしながら、原作原理主義者が騒いでいるだけみたいな判断をしている根拠はなんなんでしょうか?
もちろん瀬田貞二の翻訳に愛着はあるし、原作のテイストをこの翻訳で身につけたことは否定しません。みっちの場合は新版の翻訳ですが、部分的にしろ古めかしいと感じる表現は確かにあり、それを時代に合わせて改めること自体を否定するつもりもありません。しかし、問題はそこではない。「今の観客が違和感を抱かない字幕にするのが当然」なのに、今の観客が違和感ありまくりだったから批判されたんですよ。当然のことができておらず、映画が歪められている。だからこそ監督のPJまでもが動いて、RotKやその後のDVDでは監修がついて字幕が改善されたんでしょうに。戸田氏もそれを受け容れたんじゃなかったの? ま、この調子ですから反省はなく、これからも自分をごまかしつづけるつもりかな。これだから、なっち字幕の映画はもう観たくないんですよ。
もう一度念押し。原作に忠実でないという批判は、映画の脚本や演出に向けられたものはあったでしょうが、映画と原作とは別物であることはみんなわかって言っています。そのことと字幕の問題は別です。「原作との相違」ではなく、「映画の字幕」としてダメだった。それをすぐに指摘できたのが「原作ファン」であり、抗議したのはそうした原作ファンを含む「映画ファン」だった。このことがなぜこうも伝わらないのか、あるいは伝えようとしないのか、不思議です。