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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
ヴィト/ポーランド国立放送響ほかによるマーラーの交響曲第3番ほか

・マーラー:交響曲第3番ニ短調
・マーラー:交響曲第10番よりアダージョ


エヴァ・ポドレシ(コントラルト独唱)
クラクフ少年合唱団、クラクフ・フィルハーモニー合唱団
アントニ・ヴィト指揮、ポーランド国立放送交響楽団

 

1994年11月12-16日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)

 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第3番と第10番からアダージョを聴きました。ボックスの4枚目に3番の第1楽章〜第3楽章、5枚目に後半の3つの楽章と第10番のアダージョが収録されています。演奏時間は3番が約101分。10番のアダージョが約26分。


3番は、7番と並んで好きな曲です。クーベリック盤とギーレン盤がみっちのお気に入りでした。クーベリックはスヴェトラーノフと同じで弦の対抗配置が特徴、ギーレン盤は録音が新しかったことと、よく「冷血」などと評されるギーレンがこの曲に熱い共感を寄せていることがよくわかる演奏です。
 

第1楽章冒頭、ホルン8本による斉奏は、一般的なテンポよりもわずかに遅めか。続いて金管の重々しいリズムになりますが、ヴィトにかかるとこういうところが大変明瞭です。うめくようなファゴットの合いの手もカッチリ。その後も精緻なアンサンブルできっちりくっきり系の表現をしたくなる箇所ばかり。ファゴットに限らず、木管の埋もれがちな響きを大切にして、随所でそうだったのかと膝を打つような新鮮なバランスを聴かせてくれます。行進曲を経て、総奏に膨れ上がったときにガラッと表情を変えるインパクトも見事なものです。トロンボーン・ソロが目立つ音楽で、もちろんしっかり吹いているのですが、他にも聴きどころが多い分、それほど印象に残らないのが欠点といえば欠点か。ギーレン盤のような開放感とは対照的な演奏かもしれません。
 

第2楽章、第3楽章も克明かつ繊細。ただ、立派ですがリズムが正確に刻まれることと、やや遅めのテンポをとるために、カッチリはいいけどやや停滞感を与えるかもしれません。第1楽章から基本同じようなアプローチであり、このあたりでもう少し伸びやかさや自由さがほしいと思う人もいるでしょう。スケルツォのポストホルンはまさに天国的に美しいのですが、メリハリの点で前後との変化がそれほど大きくないため、いっそのことソロを協奏曲風に引き立てたほうが面白かったかも。
 

第4楽章からは声楽が入るため、停滞感は消えます。コントラルト独唱は響きがやや暗めですが、2番のときのアルトのようにはヴィブラートが機械的ではないので聴きやすい。子音をさほど強調しないのは、ドイツ語の発音という点では「らしくない」かもしれません。
 

第5楽章は楽しい。声楽が充実していて惚れ惚れします。「ヴィム・バム」が本当に鐘のよう。オケも隙きがない。
 

第6楽章の冒頭は、響き渡る静寂とでもいうのか。ピアノとは音が小さいことであって、弱いのではない、とオケのトレーナーが話していたことを思い出します。美しく、最後のクライマックスまで着実な足取りで、来たるべきものが確実に来る。締めくくりの和音の伸ばし方がまた素晴らしい。というわけで、一つ一つの楽章は充実した演奏ですが、そのきめ細かさをちゃんと聞き取れる再生装置でないと、よさがわかりにくいかもしれません。
 

第10番はホイーラーによる補筆全曲版がオルソン指揮で別に収録されていますが、ここではヴィトがアダージョのみ録音しています。これが秀逸。この楽章、9番の最終楽章で死んだはずのマーラーが成仏できずにこの世を彷徨っている、という風情があるのですが、ヴィトで聴くと、その辺実にリアルに迫ってきます。演奏によってはオケの薄さが気になるところもありますが、ここではそんなことはまったくありません。例のA音に始まるカタストロフも充実しているだけでなく、美しい。最後の余韻の深いこと!

posted by みっち | 20:29 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴィト/ポーランド国立放送響ほかによるマーラーの「復活」

・マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」


ハンナ・リソフスカ(ソプラノ独唱)、ヤドヴィガ・ラッペ(アルト独唱)
クラクフ放送合唱団
アントニ・ヴィト指揮、ポーランド国立放送交響楽団

 

1993年1月9-17日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)

 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第2番「復活」を聴きました。ボックスの2枚目に第1楽章と第2楽章、3枚目に第3楽章以降が収録されており、演奏時間約85分。


2番からは指揮者がヴィトになります。これがス・バ・ラ・シ・イ。みっちはマーラー好きですが、「復活」だけは苦手でした。これまで聴いたのは、ワルター、ホルヴァート、ブロムシュテット、スヴェトラーノフあたり。ワルターはもちろんいい演奏だし、ホルヴァートやスヴェトラーノフも面白いんですが、何しろ第1楽章が大げさで、長くてコワモテなわりには内容空疎という印象がありました。ハンス・フォン・ビューローがこの曲のピアノ試演を聴いて拒否反応を示したというのもうなずける、って前にも書いたかも。ブロムシュテット盤は、サンフランシスコ響とのシベリウス5番が爽やかで小気味いい演奏だったのに期待して買ったものですが、いかにも草食系低カロリーなつまらない演奏でがっかり(爆)。濃いのも薄いのもダメだなこりゃ、とさじを投げていました。
 

ヴィトで聴くと、この曲の音響構造や各声部がどう動いているかよく見えます。例えば、第1楽章の開始で低弦がダダダダダン!とやるわけですが、これがどういうまとまりで動いているか、そして途中からファゴットはじめ各楽器が参加してくる過程が明確にわかる。第2主題は清楚そのものですが、ここでも低弦がものをいっています。展開部の後半ではぐっと腰を落とし、そこから金管コラールに向けてじわじわ速めていくところも納得。こんな調子で書いていくとキリがありませんが、聴いていて実に面白い。第2楽章は研ぎ澄まされたアンサンブルに惹きつけられます。スタッカートのキレが鮮やか。第3楽章は軽快かつ立体的で、第2楽章とほぼ同じ演奏時間になっています。第4楽章の金管合奏も深々と聴かせます。アルト独唱は、声はいいのですが機械的なヴィブラートが気持ち悪い。この演奏で唯一文句をつけたいところです。フィナーレは圧倒的な集中力。合唱の扱いが得意なヴィトですから、ラストの一体感もきわめて見事。終わって、思わず拍手!


マーラーの大編成を精妙なアンサンブルで聴きたい、というみっちの願いはヴィトで果たされそうな気がします。一方、ネットではヴィトは丸いとか包み込んでくれるとか、穏健派の代表みたいに書かれているようなのですが、いったいなにをもって穏健だといってるんでしょうね。ミスターSのようにギスギスしないという意味ならまあわかるかもですが。丸いどころか、これを聴けば他の演奏がいかにダンゴで濁っているかわかるクリアで清潔感のある響きです。これはクレツキとの共通点でしょう。変なデフォルメを巨匠的というならそれはありませんが、ツボは外さず切れ味十分、エキサンティングですらある。ナクソスだからって、ナメてません? それとも再生装置が悪いのか?


心配していた録音は、1番のように残響過多で不自然な感じはありませんでした。ブラームスの『ドイツ・レクイエム』のときとほぼ同様で、大編成をスケール豊かに捉えています。プロデューサーもエンジニアも1番と同じ名前がクレジットされているのに、この違いはなに? ひとえにモニターを聴いて判断する指揮者の耳か。

posted by みっち | 13:39 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ハラース/ポーランド国立放送響によるマーラーの交響曲第1番

・マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(「花の章」付き)


ミヒャエル・ハラース指揮、ポーランド国立放送交響楽団
 

1993年12月11-14日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)

 

ヴィト指揮ワルシャワ・フィルのブラームス『ドイツ・レクイエム』がとてもよかったことは先日エントリしました。それでヴィトのマーラーも聴きたくなりました。アマゾンで物色していると、ナクソスに全集ボックスがあるのに気がついて、15枚セットで6千円ぐらいならバラ買いするよりずっとお得、というわけでポチリました。これで、みっち手持ちのマーラー全集はスヴェトラーノフ盤に次いで2つ目f^^;。
 

見ると、オケはポーランド国立放送響で共通ですが、指揮者は3人。1、7、9番をハラース、10番の補筆完成版をオルソン、残りをヴィトが指揮しています。『大地の歌』は入っていません。この割り振りはどういう意図なのか不明ですが、とりあえず順番に聴いていくことにします。というわけで、まずは1番から。
 

マーラーの1番でみっちがいちばんよく聴いた演奏は、ナヌート指揮リュブリャナ響だったりします。はい、ホルヴァートの「復活」ライヴとセットで売られていたアレですf^^;。「復活」は曲が好きじゃなくて、「巨人」が気に入ってました。録音が良く、演奏も手作りの味がします。ま、この曲に関しては、だれが振ってもそんなに変なのはないだろうと思っています。

 

ハラースはハンガリーの指揮者らしい。ウィキペディアにはファゴット奏者出身だと書いてあります。ハンガリーの指揮者やオケというと、弦がキッチキチのイメージがありますが、ここでもある程度その傾向はあり、ヴァイオリンがよくそろっていてパワーもあります。テンポはあまり動かすタイプではないようで、全体に恰幅の良い演奏。第1楽章のチェロ主題などゆったりしていて、クライマックス付近でもスピードはそれほど上がりません。第2楽章の低弦のリズムなど量感よりもスマートさが勝っており、品が良い。ただ、いいことばかりではなく、第3楽章ではオーボエの旋律が丁寧というよりマジメすぎるし、終わり近くのテンポアップも控えめで、多少はっちゃけちゃった方がいいところでも行かないのがややマイナスというか、平板に感じます。ファゴット奏者出身にしては、木管にそれほど目立つところがないのも惜しい。アマゾンには「荒削りながらも迫力満点のハラース」と書いてあるんですが、このCDに関する限り、見当ハズレでは? しかし、フィナーレでは第2主題など安定感のある弦が美しく、コーダではホルンが「圧倒的響きで」と書かれているところでベルアップか立ち上がったかしていることが明らかにわかるほど吹き鳴らしており、お見事。オケはうまく、2番以降にも期待が持てます。
 

「花の章」は、フィナーレの後に収録されています。第2楽章にしている演奏もあるみたいですが、他の楽章と版の問題が生じるため、別にした方が賢明でしょう。交響曲と同傾向ですが、曲調が穏やかな分、不満のない美しい演奏です。
 

残響が多めの録音で、静かなところではそれが効果的ですが、テュッティで盛り上がるとモワッとなります。第1楽章ラストのティンパニも、ダンとかバンではなくボスッみたいに空気が抜けたような響きに聴こえます。これは昔のナクソスにもあった傾向で、ちょっと人工的すぎる。うーん、全曲こんな録音だとすると困るなあ。

posted by みっち | 16:14 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴィト/ワルシャワ・フィルほかによるブラームスのドイツ・レクイエム

・ブラームス:ドイツ・レクイエム 作品45

 

クリスティアーネ・リボー(ソプラノ独唱)、トーマス・バウアー(バリトン独唱)

ワルシャワ・フィルハーモニック合唱団

アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワ・フィルハーモニック管弦楽団

 

(NAXOS 8.573061 2012年8月27-29日、ワルシャワ・フィルハーモニックホールでの録音)

 

先日、ウルバンスキ指揮NDRエルプ・フィルの演奏会に行って感心したことをエントリしました。このとき、ウルバンスキ←ヴィト←スクロヴァチェフスキというポーランド人指揮者の系譜があることを知り、ヴィトの指揮にも興味を持ちました。ヴィトは、ナクソス・レーベルに合唱曲やマーラーの交響曲などの録音があるようです。ナクソスは、正直これまでほかのレーベルでは入手できないような場合でないと手を出さなかったレーベルで、ナクソスかよー、って感じでどうしようかしばし迷ったくらいですが、今回大いに認識を改めました。食わず嫌いはよくないねf^^;。

 

ドイツ・レクイエムを選んだ理由は、ヴィトが比較的大規模な合唱曲を得意としているようであることと、この曲のCDは激安レクイエム・ボックスに入っている1枚しか手持ちがなく、もう1枚くらい正規盤で持っていてもいいだろう、ということで。これが素晴らしかった。木管を精妙に聴かせるオケのバランス取りの点で、スクロヴァチェフスキを思わせるところもあるのですが、音色的には穏健でギスギスしません。全体に端正な造形ながら、第2曲や第6曲など緊迫した場面での威力も十分。テンポは曲が曲だけにこれだけでは判断がつきにくいですが、みっちがひいきにしているハンス・フォンクと似たタイプではないかと感じます。つまり、これみよがしな派手なことはやらないが、音楽の深いところからの共感が表出されて、とても説得力がある。

 

合唱は、ノン・ヴィブラート。このためソプラノが若干フラット気味に聞こえる箇所がありますが、ヘタというわけではありません。温かい声質でオケとのブレンドがとてもいい。一方、独唱はヴィブラートも含めて情熱的な表情を見せており、かといって浮いた感じはなく、むしろ単調にならない役割を果たしています。とくにバリトンは美声で魅力的。

 

全体に内省的で、シューマンの合唱曲の影響を受けながらも、若きブラームスの熱い思いがそこかしこに立ち上る、そういったこの曲の魅力を十全に引き出した演奏です。昔のナクソスの録音は人工的という印象がありましたが、この録音は違和感がなく、演奏の魅力をよく伝えています。心なしか、ジャケットデザインも高級感が漂ってきたような……。みっちの奥方がこのCDを気に入っており、このごろ時間があるとリビングのサブ・システムでかけています。癒やされるそうで。

 

こうなると、マーラーの交響曲も聴いてみたくなりますね。ちなみに、ウルバンスキのCDも同時に買ったのですが、こっちは20世紀ポーランドの作曲家ルトスワフスキの知らない作品で、エントリしてまでものがいえない状況。演奏と録音はいいと思うけど、曲がわからない(爆)。

posted by みっち | 17:37 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ジュリーニ/フィルハーモニア管によるファリャ:『恋は魔術師』、『三角帽子』

・ファリャ:バレエ音楽『恋は魔術師』(全13曲)
・ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』(第1・第2組曲より)

 

ビクトリア・ロス・アンヘレス(ソプラノ独唱)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団

 

録音:1961/1964年(恋は魔術師)、1957年(三角帽子)
(WARNAR CLASSICS WPCS-50169)

 

北九響の次回定期演奏会の演目『三角帽子』を聴くために購入。ファリャの音盤は全然持っていませんでした。手持ちのスペインものは、アルベニスとグラナドスのピアノ曲がちょっとだけ。

 

ジュリーニとフィルハーモニア管では、ブラームスのLPを持っています。晩年のジュリーニは、きわめて遅いテンポに気品あふれる優雅な演奏を聴かせますが、1960年ごろの彼はそこまで遅くはなく、くっきりした輪郭と気迫に満ちた表現がむしろ推進力を感じさせ、吉田秀和が「ブリオを持った指揮者」と書いていたのをなにかで読んだ記憶があります。後年、シカゴ響を指揮したマーラーをはじめとした一連の「9番」シリーズでは、「シンフォニック」とはまさにこのことかと思わせる壮大かつ緻密な演奏により、一躍日本で巨匠としてもてはやされるようになったのは周知のことでしょう。

 

さて、壮年時代のジュリーニによるファリャですが、やっぱりすごいね、この人。音がぎっしり詰まって鮮烈。『恋は魔術師』は歌入りで、ロス・アンヘレスの歌唱がまた濃い。『三角帽子』は、第1組曲の「ぶどう」あたりがカットされて短くなっていますが、第2組曲は全部あります。終曲のホタでは、かっこいいシーンの連続で、バシッとくる決めがたまりません。フィルハーモニア管は、当時のオーケストラとしてはニュートラルというか、それほど特徴的な音色を持っているとは思えなかったのですが、あらためて聴くと、木管楽器の音色などいまとなってはなかなか聴けない魅力的なものです。それもジュリーニの指揮あってなのかも。

 

録音は『恋は魔術師』の方が年代が新しいのですが、金管の響きなどに経年変化を感じさせるのはむしろこちらで、『三角帽子』は全然問題なし。もしかすると、オケか録音スタッフのコンディションに変化があったのかもしれません。日本語解説付きの廉価盤。

posted by みっち | 14:52 | CD・DVD | comments(2) | trackbacks(0) |
大貫妙子 One Fine Day

1. 船出
2. The Blank Paper
3. One Fine Day With You
4. Hiver
5. Hello, Goodbye
6. Time To Go
7. Deja vu
8. 春の手紙 (2005 version)
9. Voyage
10. A Kiss From The Sun

 

大貫妙子
(UNIVERSAL UPCY-7106)

 

2005年に発売されたアルバムのリマスター版ということで、SHM-CDでの購入。大貫妙子のアルバムを買ったのは、たしか映画『東京日和』のサントラ以来だから、1997年からなんと20年ぶり。そんなに経っていたとは!

 

このごろ聴いてなかったのは、チェロを弾くようになり、クラシックを含めてCD自体を買わなくなったのが理由です。昨年、たまっていた積ん読CDをついに解消したので、ぼちぼちですが解禁しているところ。でも、買っても聴く時間があまりない。

 

みっちの大して豊かとはいえないポップス歴の中で、大貫妙子は最大といってよい存在です。その前の時代がハイ・ファイ・セットでした。1985年、化粧品のテレビコマーシャルで「ベジタブル」を歌っていたころに『CLASSICS』というベストアルバムをレンタルし、「黒のクレール」や「夏に恋する女たち」などを聴いてトリコにされました。この人の旋律はすごい! ふわふわして力んだところが少しもないけど、とても女性らしい歌声から、選び抜かれた言葉が胸にしみ通ってきます。アコースティック楽器や弦楽四重奏とのコラボなど、独自のサウンドを追求する姿勢にも共感します。

 

1曲目の「船出」からして美しい。この1曲だけで、聴き手のブランクを埋めて有り余るものがありますf^^;。録音はセッションなんじゃないかな。キーボード、ベース、ドラム、ギターというバックがまたいい音していますねえ。12年前のアルバムですが、時間の経過はまったく関係ない、いい音楽にいい演奏。ボサノヴァやワルツなど、ヨーロッパ的でソフィスティケートされたメロディーは相変わらず魅力的です。CDの歌詞以外に、本人が1曲ずつに寄せたコメントが読めるのが珍しい。1993年の「春の手紙」をまた歌いたくなったということで、より簡素なアレンジで歌っていて、これがまた素晴らしくて泣けてきます。詩は1曲目のみが糸井重里であとは彼女、曲もひとつだけ千住明の作品があります。テイストが似ているので違和感は小さいですが、これだけ別録りのように聞こえます。サックスがなければちょっと退屈かもf^^;。

 

録音は文句ありません。SHM-CDはこれと宇多田ヒカルの『ファントーム』で2枚になりましたが、解像度が高くクリアな印象。ただ、自宅のサブシステムで再生すると、ベース音がボンつく傾向を感じました。スピーカーがフルレンジだからかな。

posted by みっち | 15:16 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
チッコリーニのドビュッシー:ピアノ曲全集(その1)

・版画(「塔」、「グラナダの夕べ」、「雨の庭」)
・映像 第1集(「水に映る影」、「ラモー賛歌」、「動き」)
・映像 第2集(「葉ずえを渡る鐘」、「荒れた寺にかかる月」、「金色の魚」)
・忘れられた映像(「レント」、「ルーヴルの思い出」、「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」)
・バラード
・ロマンティックなワルツ
・夢

 

アルド・チッコリーニ(ピアノ)
(EMI CLASSICS 7243 5 73813 2 1 1991年録音)

 

聴いたはずだけど、流したか「ながら聴き」だったかであまりよく覚えていないボックスということで、これいきます。チッコリーニによる、ドビュッシーのピアノ曲全集5枚組。有名曲がけっこうあるドビュッシーのピアノ作品ですが、全集という形ではあまり出ていないのでは? このボックスを買ったのも、これ一発ですべてそろって面倒がなさそう、という単純な動機からでした。ドビュッシーはそれほど聴いておらず、ミケランジェリやベロフ、あとツィメルマンぐらい。もともとそんなにピアノ曲を聴かないので、こだわりもありませんでした。

 

アルド・チッコリーニは1925年生まれ。2015年に89歳で亡くなっています。このボックスは1991年、チッコリーニ66歳の時の録音。かつてはサティを弾いたアルバムが評判で、サティがいけるならドビュッシーも面白く演奏しているんじゃないかという期待がありました。また、チッコリーニは晩年にファツィオーリのピアノを好んでいたことでも知られていますが、このボックスでは使用ピアノについてのクレジットはありません。ファツィオーリに出会う前なのかも。

 

CD1枚目は全15曲で、収録時間約75分。これは後半まで集中力が続かないのも仕方ないf^^;。今回は通し聴きだけでなく、タイトルごととか後半のみとかまんべんなく耳を傾けたつもり。この全集で初めて聴いたタイトルもけっこうあり、1枚目でも半分ぐらいは知らない曲でした。ちなみに、ウィキペディアによると『忘れられた映像』第2曲「ルーヴルの思い出」は『ピアノのために』の第2曲「サラバンド」に、第3曲「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」は、『版画』第3曲「雨の庭」にそれぞれ改作されているそうです。この曲集が出版されなかった理由はこれかもしれません。とはいえ、「雨の庭」とその元ネタの両方を聴いた限りでは、ほとんど別の曲といっていいくらいのものになっています。

 

演奏は、曲調を十分に汲んだもので美しい。みっちがこれまで聴いた演奏と比較すると、ベロフの直接的な明快さやミケランジェリの透徹した音色へのこだわりとも違い、柔らかいタッチでドビュッシーの印象派風な特徴を前面に打ち出しているように感じます。ただし、そのために中音重視というのか、高音の華やかさやドスのきいた低音みたいな刺激的な表現は意図的に抑制されている印象があります。これがチッコリーニ独特のスタイルなのか、それともそういう曲だからなのかまではちょっと判断が難しいですが、例えば『夢』1曲だけ聴けば非常に練られて完成された演奏ですが、他の曲も通して聴くとやや単調になってしまうきらいがあるのかな、と。録音は暖色系でとくに不満なし。EMIらしい音といってよいかと。

 

なお、このボックスのパッケージングはスペースユーティリティに難ありです。紙箱に2枚組と3枚組のプラケースが収められていますが、紙ジャケなら10枚以上は楽に入る厚さ。箱のデザインもやっつけ仕事だし、もうちょっと商品として魅力ある外装を考えてほしい。

posted by みっち | 23:16 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第9番

・ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2005年7月23日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第9番を聴きました。パッケージとしては最後にある0番と『テ・デウム』を最初に採り上げたので、このボックス最後の曲となります。

 

これまでもさんざん書いてきたのでおわかりでしょうが、残響の長い聖堂でのライヴ演奏・録音ということで、第9番でもその特徴がしっかり現れています。例えば第1楽章では、テンポも残響の長さを考えてのことか、かなりゆっくり目。本来もっと厳しい音楽ではないかという気がしますが、アタックが丸く、余韻が長いために穏やかさというか暖かさがより感じられます。ただし、この楽章の展開部後半あるいは第1主題再現部(両方が重なっている)では、いつも着実なパーテルノストロには珍しく急いだ感じの部分があります。楽譜の指定かもしれません。

 

第2楽章は、出ました「法華の太鼓」! カトリックと日蓮宗の共通点がこれ(爆)。それはともかく、バババンバン・バンバンバンって、たしか2番までのスケルツォ楽章にも現れるリズムパターンですが、最晩年に至ると彫りの深さが全然違いますね。しかも、途中に1拍多く入ってリズムがずれていくような魔術的な芸の細かさも見逃せない。主部のB部分や中間部ではブルックナーならではの諧謔味が秀逸。ここでも当たりが柔らかめで、従来のイメージを覆すような雰囲気があります。これはこれで、存在価値が高いのではなかろうか。

 

第3楽章も同じ傾向。ゆっくりしたテンポは、この会場ではぴったりでしょう。神の啓示を示すような輝きやクライマックスの箇所でも威嚇的・威圧的でなく、響きがまろやかです。そういうわけで、岩石がぶつかり合い砕け散るような厳しい表現に慣れている人には、なよっとしたヤワな演奏に聞えるかもしれませんが、反面、曲の美しさをここまで端的に示した演奏もそうないと思います。

 

さて、今回のエントリをもって、みっちの「積ん読」CDはすべて解消されました。ここまで長かったf^^;。手持ちCDにすべて耳を通すことができたので、これで心置きなく次のCDを買える、といいたいところですが、楽器を弾くようになってからCDを聴く時間が激減しており、今後もめったに買わないと思います。とりあえず、一度は聴いたはずけど、ざっと流しただけだったようなボックスがひとつ頭に浮かんでいるので、次はそれを採り上げようかと思っています。

posted by みっち | 12:00 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
上白石萌音 chouchou

1. 366日
2. Woman “Wの悲劇”より
3. 変わらないもの (Studio Live)
4. On My Own (Studio Live)
5. なんでもないや (movie ver.)
6. SMILE

 

(PONY CANYON  PCCA-04426)

 

アニメ映画『君の名は。』の大ヒットで注目を集めている上白石萌音のミニアルバム。みっちは『君の名は。』は観ていないのですが、彼女が歌う「なんでもないや」をクルマのFMで聴いて、これは、と思いました。

 

「なんでもないや」でのささやきかけるような歌い出しは、ちょっと手嶌葵に似ていますが、あっちは終始ささやきっぱなしで、「もうちょっと声出せよ」ていいたくなる。でも、上白石萌音はサビに来ればちゃんと歌います。あくまでも曲調に合わせた感情表出としてささやくような歌い方もやっているわけです。一歩間違えるとあざといですが、無垢で清純な歌声が気持ちよく、「ぼく」などといった少年ぽい歌詞がまたよく合います。

 

6曲収録されていますが、「なんでもないや」は『君の名は。』のオリジナルといってもいいのかな? ほかはすべてカバー。4曲目は『レ・ミゼラブル』のエポニーヌのナンバーをアカペラで歌っています。『君の名は。』のオーディションの際にこれを歌ったのが決め手になったそうで、目の前でこんな風に歌われたら、心を揺さぶられるだろうなあ、と納得。その場にいたら、泣くかも(爆)。

 

ミュージカルにもすでに出演しているので、知っている人は知っていたんでしょうね。現在18歳。これから彼女がどんな風に成長し、どんな歌を歌ってくれるのか、とても楽しみです。

 

ピアノの弾き語りやギターなどアコースティックなアレンジにも好感持ちました。ただし、YouTubeで歌っているものもいくつか聴いてこのCDを聴くと、本当はもっと声量あるはずだと感じます。CDではドラマチックな魅力がやや薄れています。ピュアな感じを前面に出そうとして、調整できれいにまとめすぎなんじゃないでしょうか。

posted by みっち | 09:43 | CD・DVD | comments(4) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第8番

・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(1890年版)

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2002年7月13日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第8番を聴きました。このボックスでは8番のみ、2楽章ずつCD2枚にわたって収録されています。長いからね。

 

クレジットされている「1890年版」とは大改訂後の「第2稿」を意味しますが、同じ「第2稿」でもハース版とノヴァーク版では違っているようで、単純に言うと第4楽章が長いのがハース版、短いのがノヴァーク版。ハース版では、改訂時にブルックナーがカットした箇所を10小節ほど復活させている分、長くなっているとのことです。わかりやすいのは、コーダに入る前でしょうか。この演奏はたぶんハース版だと思いますが、間違っていたらゴメンナサイ。

 

第1楽章はかなりテンポが遅い。時間的には17分でさほどでもないのですが、パーテルノストロは部分的なタメやリタルダンドはやらないので、平均的に遅いということになります。これによってオルガン的な響きは強調されますが、全体的にのっぺりした印象。例えば、展開部の終わりでフルートがひらひらと残ってオーボエに第1主題が再現するところ、みっち的にはこの楽章の最高のキモなのですが、コントラストがなく平板です。

 

第2楽章は打って変わってキビキビしたテンポです。今度はしかし、残響の多い会場との相性の悪さを感じます。例えばティンパニの打ち込みとか、ここぞというところでのキメがことごとく丸くなってしまっており、爽快感に欠けます。中間部は全曲中でも聴きどころですが、ハープが引っ込んでいて、魅力が半減しています。マイク位置の関係かもしれませんが、うーん、もったいない。

 

この調子では全曲聴き通すのはつらいぞ、と思いましたが、CDが換わった第3楽章から盛り返します。ゆったりしたテンポで約27分という長丁場ですが、弦も管も後半になって集中力を発揮しだしたのか、美しい演奏になっています。ここでは会場の残響も味方して、大河のように神々しいブルックナーサウンドに浸れます。

 

第4楽章は約25分。ここでも焦らず着実に歩を進めるパーテルノストロが持ち味を発揮しています。かといって無味乾燥でもなく、部分部分が美しい。コーダは、もう少しスケールの大きさがあってもいいと思いますが、この人はそういう暴れ方はしないですねf^^;。というわけで、前半はやや不満ですが、あとの2つの楽章は立派です。

posted by みっち | 23:56 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |