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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
ボールトBOX「バッハからワーグナーまで」から、ブラームスの交響曲第1番

・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68

 

エイドリアン・ボールト指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

(1972年3月2-3日、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音)

 

イギリスの指揮者エイドリアン・ボールトがEMIに残した録音がいくつかのボックスにまとめられていることを最近知り、「バッハからワーグナーまで」11枚ボックスを買いました。


11枚のうち、ワーグナーとブラームスのほとんどは手持ちのCDにあり、つまりボックスの約半分は「買い直し」です。なぜそんなことをするかというと、目当てはブラームスの交響曲全集。この全集は、スクロヴァチェフスキ/ハレ管、ケンペ/ミュンヘン・フィルと並ぶマイベスト3です。しかし、ボールトの全集はDiskyというマイナーレーベルから出ていた激安物で、残念な音質で知られています。こないだのエントリでボールトのワーグナーに触れましたが、EMIから出ていたワーグナーはブラームスと同時期の録音なのに、不満を感じさせない音質です。「正規盤」なら同等の音で聴けるのでは? 結果は大当たりで、もうDisky盤は不要。EMIといえば、かつてARTとかHS2088(東芝EMI)とか、おかしなリマスタリングで迷走していた時期があり、待って正解だったかも(爆)。
 

ボールトの指揮は、インテンポに最大の特徴があります。通常は同じテンポでも表情付けや演奏上の都合などからある程度膨らんだり縮んだりするものですが、ボールトの場合、一見無骨といってもいいくらいテンポを守ります。彼は「最近の指揮者は曲の細部にこだわりすぎて、肝心の楽曲構成をおろそかにしている」と語っていたということです。テンポ・ルバートとか、アゴーギクとか「そういうものだ」と思い込んでいたデフォルメや強調がなくとも、書かれた音楽それ自体として素晴らしいことが実感できます。で、ボールトの演奏には、頭に「男の」って付けたくなるf^^;。そんな彼のブラームスは、派手なパフォーマンスやインパクトで聴かせるものではなく、ある程度曲をわかった人にこそ訴えるものがあるようです。かくいうみっちも、昔まだベートーヴェンの交響曲をあまり知らなかったころ、ボールトがロンドン・フィルを振った「エロイカ」を聴いたとき、全然ピンとこなかった経験があります。
 

とりあえず、ブラームスの1番を聴きました。ボックスの8枚目です。音質は鮮度もあるし透明感ある響きが美しい。Disky音源はよほど使い回されたか劣化していたかでしょうね。演奏は、序奏からもったい付けないテンポでずんずん突き進みます。第1楽章の提示部は繰り返されます。もちろん、テンポの中で各パートの出し入れや歌い込みはしっかりなされ、転調や曲の変わり目の和音の作り方などは実にうまい。ロンドン・フィルはドイツ系のオケとは違って明るい音色ですが、中間的な色合いを繊細に表現して見事。第2楽章終わりのVn.ソロはメニューインらしいですが、こちらも格調が高い。その後も間然とするところなく、終楽章まであっという間。フィナーレでは、例の主題が弦から管に推移して盛り上がるところなどもきわめて自然で、ギクシャクしないのがかえってすごい。コーダも煽るようなことはまったくありませんが、確信に満ちた頂点の高さには涙が出そうになります。

posted by みっち | 21:35 | CD・DVD | comments(2) | trackbacks(0) |
Swing! sing! CUE!

1. Joe / 戸次重幸 with NEXTAGE
2. 毛布になりたい / 安田顕&小橋亜樹
3. wishing smile / オクラホマ×北川久仁子×大下宗吾
4. calling you / NORD
5. つぼみ / 森崎博之 feat.Chima
6. Jazz de Kanemocchi / 音尾琢真
7. 星空のコマンタレブー / 大泉洋
8. 100回目の季節〜ThankCUE 4 Seasons〜 / 鈴井貴之 feat.綾野ましろ
9. Joe(以下、easy listening ver)
10.毛布になりたい
11.つぼみ
12.Jazz de Kanemocchi
13.星空のコマンタレブー
14.100回目の季節〜ThankCUE 4 Seasons〜

 

CUE ALL STARS
A-CUE RECORD. XQJM-1010

 

『探偵はBARにいる』シリーズの大泉洋や安田顕らTEAM NACSが所属する北海道の芸能事務所「オフィスキュー」が25周年ということで制作したジャズアルバムです。1-8曲までは各メンバーの持ち歌? そのほとんどは歌っている本人の作詞作曲。後半の9-14曲はインストゥルメンタルになっており、前半の曲から6曲が演奏されています。

 

大泉洋によると、メンバー全員「ジャズのジャの字も知らない」そうですが、同じようにジャズ知らずのみっちにとっては、どうしてどうして立派なものです。バンドがちゃんとジャズしているからかもしれませんが。ジャケットも雰囲気を出しており、見開きの紙ケースや内袋に入ったCDなど、昔のレコードを思い出させてくれる、懐かしい仕様。

 

1曲目、軽快なスネアドラムのリズムで始まり、戸次重幸がノリノリで歌います。俳優って、歌もうまいんだなf^^;。2曲目は安田顕で、女性との甘いデュエット。しかし、リフレインされる歌詞がアヤシゲで、耳にこびりつきそう(爆)。とくに感心したのは、昨年の映画『関ヶ原』の福島正則やTBS『陸王』のコワモテ監督役で印象的だった音尾琢真。「金歯がパッキーン」みたいな、解説にも「得体の知れない」と書かれた妙な歌詞なんですが、曲として歌われるとなぜかかっこよく聴こえます。サンバといいながら全然サンバっぽくないアレンジも含めて、意図的なのか、なにも考えてなかったのかわかりませんが、すごくジャズっぽい(?)。この曲のインパクトが大きいために、つづく大泉洋の歌が割を食って、ちょっと影が薄くなっているほど。

 

メロディーだけなら、たぶんジャズとはほど遠いと思われる曲も無理やりジャズアレンジされているようで、そのギャップもまた面白い。『シング・シング・シング』などどこかで聴いたぞと思わせるフレーズもちらほら挿入されて、楽しく聴かせます。考えてみれば、ディズニーのナンバーだって有名奏者が取り上げたことでスタンダードになっているわけで、ここから新たなスタンダードが生まれないとも限りませんよ(うーん、ないか)。

posted by みっち | 22:28 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
スクロヴァチェフスキの『火の鳥』

次の演奏会に向けて練習中ですが、中でもストラヴィンスキーの『火の鳥』は難物で、チェロなのにト音記号がやたら出てくるのと、このフラジオレットはどうやって弾くの?とか「解読」作業も必要。とくに「カスチェイの踊り」は入り組んでおり、とりあえず曲にもなじんでおかなきゃ。たしか手持ちのCDがあったはず、というわけで取り出したのが、スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管のVOX10枚組ボックス。このボックスには、ラヴェルの管弦楽曲全曲をはじめ、プロコフィエフやストラヴィンスキーのバレエ作品、ヘンデルやモーツァルト、『フィデリオ』とレオノーレ1-3を含めたベートーヴェンの序曲など、いろいろ収録されており、演奏・録音も素晴らしい。


この『火の鳥』もすごい演奏です。ミスターSはこのころ50代でしょうか。アンサンブルの極致で、この切れ味は、なにに例えたらいいものやら。パート譜を見ながら聴くんですが、譜面が複雑で不規則でも演奏は間然とするところがないので、目が追いつかない。あまりの鮮やかさに耳を奪われてしまい、譜面を見失うこともしばしば。これでは全然効果がないぞ(爆)。

 

ワーグナーもいくつか収録されており、こっちも苦労している『タンホイザー』序曲をついでに再生しました。整然とした出だしで、チェロの「懺悔」もスムーズで特別な強調はしていないのですが、パートの揃い方が尋常ではない。中間部に入ると速くなり、ミスターSの統率力がますます冴えます。このテンポにきっちりついてくるオケもお見事。チェロのうねうねうね、合いの手の刻みから三連符に続く難所もバッチリ弾いています。メロディーの陰で、がんばってもあまり報われないんですがf^^;。

 

ただし、この演奏は中間部から「ヴェヌスブルクの音楽」になってしまうヴァージョンで、どんちゃん騒ぎが果てるまでつづき、冒頭の部分は戻ってきません。うーむ、このパターンだと、タンホイザーは酒池肉林に溺れたままのダメ人間で終わる感じ(爆)。ゲームだとバッドエンドだけど、こっちの方が長くて20分ぐらいかかります。この版もミスターSのチョイスでしょうか? この曲はあとボールト盤を持っていたはずなので、今度はそっちを聴こう。

posted by みっち | 21:54 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
銀魂 −ミツバ篇−

今年の夏に公開された実写版『銀魂』本編と同じキャスト・スタッフで同時に制作されたWeb配信ドラマ、銀魂ミツバ篇。第1話はYouTubeで見られますが、残りの2話は有料でした。というわけで、発売されたDVDを買いました。

 

ストーリーは、原作マンガに忠実です。真撰組のドSキャラ沖田と、その姉ミツバに焦点を当てたエピソードで、ふだん沖田が副長の土方にやたら敵愾心を燃やす理由がわかります。本編同様、内容は十分承知ですが、実写版でもキャラに違和感が全然なく、あらためて楽しめます。以下もネタバレなし。

 

ギャグシーンは無料公開されている第1話に集中的に詰まっていて、源外、エリザベス、変平太のグダグダトークも冒頭だけ。あとはけっこうシリアスな展開になります。なかでも、本編ではほぼ全裸でただの変質者にしか見えない(それはそれで正しい理解だけど)近藤のかっこいいシーンが見られるのは貴重。ミツバやレギュラー隊士の山崎も本編には登場しないので、こっちでお楽しみください。北乃きいは病弱な感じはまったくありませんが、雰囲気はとてもいい。銀さんに迫るゲホゲホシーンは傑作で、何回見ても笑えます。受ける銀さんこと小栗旬は、ボケもツッコミもこなす必要がありますが、こっちもさすがの好演。これで○○○3世は忘れられます(爆)。ザキは、いいんじゃないでしょうかf^^;。彼の場合はあんまり目立ちすぎてもいけないし。棒読みチックなセリフはわざとですよね。

 

沖田役の吉沢亮は、劇場版以来すっかりブレイクした感があります。近藤、土方との絡みは、このメンツでまた見たいと思わせます。などといっているところへ、実写版『銀魂』第2作の情報が! またやるんかい(爆)。どのストーリーかはまだわかっていませんが、「真撰組動乱篇」か「バラガキ篇」だと彼らがフィーチャーされるし、二つのエピソードをまとめる手もあるかも。楽しみ。

posted by みっち | 19:04 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
詩人の夢 白川深雪とミラージュ・クァルテット

・シューベルト:笑いと涙、アヴェ・マリア、鱒、糸を紡ぐグレートヒェン、菩提樹、音楽に寄せて
・シューマン:献呈、異郷にて、間奏曲、森の語らい
・ブラームス:あなたの青い瞳、郷愁II
・R・シュトラウス:献呈
・シニガーリャ:ブラームスの主題による変奏曲(世界初録音)


白川深雪(ソプラノ)、ミラージュ・クァルテット

 

録音:2017年2月6-8日
299 MUSIC NIKU-9011

 

北九州在住のソプラノ歌手、白川深雪さんが弦楽四重奏をバックに歌うドイツ歌曲集。オリジナルのピアノ伴奏を編曲してあるのですが、ガット弦を使用しているそうで、柔らかな響きが新鮮。なかなかの聴きものです。このごろ、家でコーヒーを飲むときにこのCDをよくかけています。

 

白川さんの歌声は生で何度か聴いています。わけても、オーディオ・ビギンの小山さんの録音の手伝いのためにピアノ教室でリサイタルを聴いたときの、近い距離で窓ガラスがビリビリするくらいの音圧を浴びた体験があるだけに、録音では少々お行儀がいい感じになってしまうのは仕方ないかも。それでも声の美しさ、表現力の幅の広さはさすがと思わせます。

 

北九響チェロパートのKさんが白川さんと知り合いで、シューベルトの「音楽に寄せて(An die Musik)」の抑制された歌い方に感動したと感想を述べたところ、白川さん「あの曲がいちばん最初の収録で緊張してたから」だったとf^^;。あんまりあけすけに言わない方がいいんじゃないかとか、変な心配をしてしまうじゃないですか。

 

最後のシリガーニャはイタリアの作曲家で、ブラームスと直接交流があった人らしい。ブラームスの歌曲から主題を取っていて、みっちの知らない元ネタです。変奏曲としてはけっこうわかりやすかったんですが、できればもう1曲、なにかおなじみのものを演奏してほしかったかな。

posted by みっち | 20:20 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
柴田淳 私は幸せ

1. 理由
2. 両片想い
3. 轍
4. 手のひらサイズ
5. 嫌いな女
6. 容疑者ギタリスト 〜拝啓、王子様☆第四話〜
7. 誰にも言わない
8. いくじなし
9. バースデー
10. Present


Victor Entertainment VICL-64819
 

「私は幸せ」は柴田淳の2年8ヶ月ぶり、11枚目になるというアルバム。この人は、10年ぐらい前にFM「月と太陽」で知っていました。けれど、そのときの印象はあまり良くなかった。口を開けずに母音を曖昧にする、クセのある歌い方が気になって、世界に入り込めませんでした。しかし最近、彼女が歌う「バースデー」が流れてきて、メロディーも歌もとても美しいと思いました。ベスト盤も気になったのですが、「バースデー」が収録されている最新アルバムを選んだわけです。
 

曲・歌だけでなく、プロデュースも彼女自身。先に紹介した藤田麻衣子と比べると、柴田淳はアレンジの関係もあってジャズやブルースっぽいところがあります。ちょっとクセがあってアンニュイな雰囲気を漂わせるシンガーといえば、リッキー・リー・ジョーンズを思わせるところもありますね。
 

タイトルのわりに、あまり幸せそうに見えないジャケット写真。歌の内容もけっこう辛辣で、「幸せ」とはシニカルな意味なのかな。しかしメロディーは魅力的。歌唱は低いところが多めで、そこから高音のかすれそうなところまで幅広い。部分的に何を言っているのかわからない歌い方はあまり変わっていませんが、なにか吹っ切れたような、あるいは突き抜けたような清々しさが加わっており、以前のようには抵抗なく聴けます。もしかすると、変わったのは彼女ではなくこちらの方なのかもしれません。
 

アレンジも曲とよく合っていて完成度が高く、セッションのようなサウンドが心地よい。それぞれ味わいがあって全曲面白いですが、とくに「両片思い」と「バースデー」は名曲です。あと、6曲目の「容疑者ギタリスト」って、シリーズものなのかな? 最後の曲はインストゥルメンタルで、アルバムを締めくくるにふさわしい余韻となっています。
 

テレビへの露出はほとんどないようですが、実はとてもきれいな人なんですよね。容姿で取り沙汰されるのを嫌ったのかな? YouTubeを見ても、瞳に釘付けになりそう。今年40歳だそうですが、いやいや全然問題ない(なにが)。ベスト盤も買おうかな。

posted by みっち | 10:53 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
藤田麻衣子 10th Anniversary Best

藤田麻衣子 10th Anniversary Best

 

Victor Entertainment VICL-64657 - 8

 

クルマ通勤時にFMから流れてきた曲を聴き、「だれだ、このお姫様みたいな歌声は?」と思ったのがそもそものきっかけ。歌のタイトルは覚えられなかったのですが、藤田麻衣子という歌手名だけはわかり、買ってみたのがこの2枚組です。活動10週年を記念したベストアルバムで、これまでのシングル曲を含めて全31曲が収録されています。


特徴は、鼻にかかった中音と、か細い高音域。こういうと弱点しかないようにみえるかもしれませんが、実はこれこそが武器だと本人もわかってきているようで、最初のシングル「恋に落ちて」では絞り出すような歌い方をしていたのが、曲が進むに連れて次第に楽な発声となり、透明感のある歌い方に変わってきています。「お姫様みたい」と感じたのはこのためでした。

 

全曲本人の作詞・作曲で、ピアノの弾き語りが基本的なスタイルのようです。声質からして、Aメロがなかなか魅力的で、Bメロつまりサビではいまひとつ盛り上がらない傾向があります。それで、サビを先に持ってきたり、サビまでAメロ的な曲が増えているようで、みっちもこの路線が正解だと思いました。アレンジは初期のころから独奏チェロを入れたりと、なかなか好み。中盤でストリングスを多用するありきたりな編曲もありますが、2枚目になるとゲーム音楽ぽい要素も感じる音作りになってきており、なかなかうまい。

 

ネットで調べると、「女心の代弁者」、「泣き歌の女王」といったキャッチコピーがあります。もともと歌詞はあまり気にしないし、女心についてはもうはいすみませんとしかいえませんが、泣き歌という点では、「手紙 〜愛するあなたへ〜」などは、家で聴いててもけっこうジワッときます。もし娘がいて(いないけど)、結婚式でこれ歌われたら、堤防大決壊は間違いなしかと。そんな場面に遭遇したら、みっちももらい泣きしそう(爆)。

 

しかし、FMで流れた歌はこの2枚組には入っていなかったんですよね。新曲かな? 調はマイナーで、機会があればもう一度聴きたい。

posted by みっち | 23:36 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴィト/ワルシャワ・フィルほかによるマーラーの交響曲第8番

・マーラー:交響曲第8番変ホ長調


バルバラ・クビアク、イザベラ・クウォシンスカ、マルタ・ボベルスカ(ソプラノ独唱)
ヤドヴィガ・ラッペ、エヴァ・マルチニェツ(アルト独唱)
ティモシー・ベンチ(テノール独唱)、ヴォイテック・ドラボヴィッチ(バリトン独唱)、ピョートル・ノヴァツキ(バス独唱)
ワルシャワ・フィルハーモニック合唱団
ポーランド放送クラコフ合唱団
ステファン・ヴィシンスキ枢機卿大学合唱団
ワルシャワ少年合唱団

 

アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワ・フィルハーモニック管弦楽団
 

2005年7月1-6日録音、ワルシャワ・フィルハーモニック・コンサートホール
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)
 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第8番を聴きました。ボックスの11枚目に第1部「来たれ、創造主なる精霊よ」、12枚目に第2部「ファウスト第2部」より終結部分が収録されています。指揮者は7番のハラースからヴィトに戻りました。8番はこのボックス中もっとも録音が新しく、ヴィトのポスト変更に伴ってポーランド国立放送響からワルシャワ・フィルにオケが変わっています。


ヴィトのマーラーはどれも優れた演奏ですが、中でもこの8番は2番と並んで素晴らしい。8番の録音としては、クーベリック盤が独唱陣に魅力がありCD1枚に収まっていることもあって愛聴していますが、ヴィト盤の方が録音が良いため、今後はこっちをよく聴くことになりそう。
 

全曲を通じて、オケ、声楽、オルガンなどがよくまとまっており、見事なバランスに聞き惚れます。例えばオルガンは、冒頭はもちろん、マーラーがどこでオルガンを使っていて、それがどう効果的に鳴っているかがよくわかります。巨大な編成のためにカオスになりがちなこの曲が、各声部がよく整理されて、迫力が失せるのではなく美点がより際立っているのは、ヴィトによって曲の魅力の全貌が引き出されたというべきでしょう。
 

そうしたバランスの巧みさがものをいって、とくに説得力が高い音楽になっているのが、対位法的な書法で書かれた第1部でしょう。第1部全体として、展開部の終わりから再現部の始まりにかけての部分とコーダの最終部分の2箇所に大きなクライマックスを置いており、そこに向かってあっちから攻め、こっちから登り、と委曲を尽くします。そうしてやってくる頂点の高いこと。オルガンのことはもう触れましたが、少年合唱の扱いも鮮やかで、さすが。
 

第2部では独唱陣にそれぞれ見せ場がありますが、テノール(マリア崇敬の博士=ファウスト)と第2ソプラノ(懺悔する女=グレートヒェン)には音楽上もとくに重要な役割が与えられています。『ファウスト』の物語からしても、これは当然。ここでは男声陣ががんばっていて、クーベリック盤にも遜色のない出来栄え。女声陣は、機械的なヴィブラートが気持ち悪いソプラノがいること、注目のグレートヒェンがちょっと軽すぎるのが、この演奏での数少ない難点。クーベリック盤ではエディト・マティスが絶唱と言ってよいほどレベルの高いソロを聴かせるので、ここだけは割りを食っている印象があります。しかし、第3ソプラノによる「栄光の聖母」以降は、ヴィトらしいたっぷりした運びと精妙な管弦楽の響きに魅入られます。「神秘の合唱」では極端にテンポを落としてじわじわ迫り、高揚の頂点で金管の別働隊が圧倒的な輝きを放ちます。ラストの素晴らしさには、思わず泣けた!
 

オーケストラが変わったことはあまり気になりません。あえていえば、ワルシャワ・フィルはポーランド国立放送響と比べて弦や木管の柔らかな表現にやや特徴がありそうですが、実力的にはいい勝負かと。これだけの大編成を堪能させてくれる録音にも敬意を評したい。シリーズ中でも出色の出来であり、このボックス買ってよかったあ、と思わせてくれます。

posted by みっち | 22:30 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ハラース/ポーランド国立放送響によるマーラーの交響曲第7番

・マーラー:交響曲第7番 ホ短調


ミヒャエル・ハラース指揮、ポーランド国立放送交響楽団
 

1994年11月28日、12月2日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)

 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第7番を聴きました。ボックスの10枚目に全曲が収録されています。演奏時間はトータルで約79分。


マーラーの交響曲中、7番と8番は人気がありません。6番も含めて、マーラーの全盛期と言っていい「三部作」だと思うのですが、なぜ演奏されないのか。8番は編成の問題でやむを得ないところはあります。しかし7番はギターやマンドリンが必要とはいえ、6番のハンマーに比べればそれほど特殊というわけでもありません。おそらく、この2曲は一般的なマーラーのイメージから遠いからではないでしょうか。「一般的なマーラーのイメージ」とは、いわゆる第9のジンクスを恐れて『大地の歌』に番号を振ることができず、しかしつづく純器楽作品を9番にせざるを得なくなり、10番を書き出したものの、結局ジンクスから逃れることができずに死んだ、というような、アルマが広めた「神話」であり、マーラーの音楽は運命的・厭世的で生と死の葛藤であり常に苦悩に引き裂かれていなければならない、といった受け止め方です。こういう立場から見ると、9番こそがマーラーの最高傑作であり、7番のようなパロディぽいものや素っ頓狂なフィナーレまである曲はけしからん、8番に至っては全曲が肯定的かつ宇宙的規模の壮大な賛歌なわけで、こんなのはマーラーではない!的な不届き千万な代物なのではないかと。決まった型にはまらないものや理解できない対象はとりあえず無視か否定する、というのはよくある話。
 

またまた前置きが長くなってしまいましたが、なにぶんお気楽妄想系なものでf^^;。さて、ハラースの7番です。たぶん、これだけ聴くなら、そこそこ面白い演奏だと思えるはず。第1楽章はけっこうテンポを揺らしますが推進力は失っていないし、第2楽章の後半から第3楽章にかけてのグロテスクな音色などはなかなかで退屈させません。第4楽章はあまり特徴が感じられませんが、フィナーレは快活で第1楽章同様の推進力で聴かせます。総じて、がんばっていることは伝わってきます。
 

しかし、2番から6番までヴィトの指揮に慣れてきた耳からすると、これはちょっと辛いものがあります。ヴィトの精妙できっちりしたアンサンブルを思うと、ハラースのはまとまりがなく、軽くて食い足りない。美しくない。驚いたのは第1楽章のコーダで、トランペットのフレーズが丸々落っこちている箇所があります。ほかにも音が違うんじゃないかと思われる箇所が。スタジオ録音のはずだけど、チェックしていないのか? それともそういう楽譜があるのか? 「荒削り」って、そういうことだったのー? 確かに削れてるけど(爆)。
 

大好物の7番だけに、やはりヴィトに振ってほしかったというのが正直なところ。単に契約の都合とかであればいいんですが、もしかしたらヴィトが7番を避けた可能性もあります。クレンペラーのように、5番や6番は振らずに7番を録音している人もいるので、その逆がいても不思議ではありません。だとすると、ヴィトの7番は実現しないかもしれない。うーん。というわけで、この曲のみっちのお気に入りは現在のところフェルツ盤です。こちらもけっこうやりたい放題ですが、ハラースよりも徹底されていて、音楽として美しいので納得できる。

posted by みっち | 19:19 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴィト/ポーランド国立放送響によるマーラーの交響曲第6番

・マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」


アントニ・ヴィト指揮、ポーランド国立放送交響楽団
 

1992年12月15-19日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)

 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第6番を聴きました。ボックスの8枚目に第1楽章と第2楽章(スケルツォ)、9枚目に第3楽章(アンダンテ)と第4楽章が収録されています。演奏時間はトータルで約82分。


これはヴィトのマーラーの中でも出色の1枚(厳密には2枚f^^;)と感じました。オケの力感に富みながらも華やかな色彩と、精妙な楽器バランスによる独自の響きを打ち出して、非常に説得力のある演奏。みっちの中では5番はプレートルなんですが、6番はヴィトかも。
 

第1楽章は、適度かつしなやかなテンポ。オケは力んだところがなく、どこか余裕を感じさせますが、カロリーは十分に高い。モットー出現箇所は、「強→弱」をそれほど強調せず、「長→短」の響きの変化を重視しているようです。経過部の木管コラールの後半に、ホルンのオブリガートを聴かせるのがヴィトらしい工夫で、ここに限らず、ホルンを活躍させているのが好ましい。第2主題では、ヴァイオリンが勢い良くちょっと跳ね返りっぽいアルマ?の横顔を魅力的に表出します。展開部のカウベルは、ガランガランというよりもチャリンチャリン系、ってわかるかな?
 

中間楽章はスケルツォ―アンダンテの順。アンダンテが先になっている演奏を、みっちはまだ体験したことがありません。ただ、第2楽章がスケルツォの場合、第1楽章から曲調に大きな変化がないため、やや退屈しがちなところがあると思います。しかし、ヴィトにかかると楽器法による音色変化を最大限活かして、立体的に面白く聴かせます。これは秀逸かと。
 

アンダンテはかなり遅く、出だしは第5番のアダージェットのような雰囲気です。あのアダージェットもアダージッシモぐらいだったからなf^^;。旋律を木管が引き継いだときに、ファゴットの対旋律を浮き立たせるあたりがヴィトの技。ホルンもよく歌っています。楽章の終わりごろに、堰を切ったように感情が乱れますが、ここをヴィトはじっくり描きます。おかげで、この楽章は三部形式というよりもABA+A'のような、ちょっとベートーヴェンの「英雄」の葬送行進曲を思わせるような構成感となります。こうやって聴くと、この楽章が3番目にある理由がしっくり納得できる気がします。
 

第4楽章には31分強かかっています。この楽章は何かに取り憑かれたように突進したり、がっくり落ち込んだり大きな振幅があるため、速い遅いで激しく荒れ狂うタイプの演奏も面白いのですが、ヴィトはそういうことはしません。やや遅めのテンポで一貫しており、局面局面を克明に描きます。解釈としては、ギーレンに近いかな。ただ、ギーレンの場合はこの楽章、やや意図的なものが感じられます。凱歌を上げようとする3回のクライマックスのうち、最初が最大で、次第にインパクトが弱くなるという設計が見て取れます。もしかすると、アルマの回想にある、R・シュトラウスが語ったという「初めがいちばん強く、終わりがいちばん弱い。逆にした方が効果的なのに、なぜでしょうな」という言葉を意識したのかも。とはいえ、シュトラウス自身はこの発言を否定しているようですが。それはともかく、ヴィトは各頂点に差は感じられず、それぞれしっかり築き上げます。情念的でも意図的でもなく、スケール豊かで、音楽的にきわめて密度が高い。
 

序奏は、低音管によるコラールの深々とした響きが素晴らしい。モットーは、例によってティンパニがドッスン系のちょっとくぐもった響きで、まさにドスが効いている(爆)。主部に入り、第1主題は各声部の絡み合いが見事です。以降もいちいち挙げませんが、どの楽器が何をやっているかダンゴにならずよく見える。オケの力量も素晴らしい。展開部の第1と第2の頂点では、ハンマーのドガッという打撃音が明確。再現部から第3の頂点までも含めて、実に面白い。こう書くと、そんな運命の場面を面白がっていいのかみたいな感じもありますが、修羅場だからこそ面白い。コーダでも一般的には断末魔のうめき声なんでしょうけど、そういうイメージとは離れたところで管が音楽的に充実した演奏を聴かせます。
 

録音は1992年で、このシリーズとしては中盤。残響は多めですが、各声部は明快で余分な響きや色付けは感じません。スケールの大きさと密度、解像度の両立したいい録音だと思います。

posted by みっち | 20:34 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |