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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
ジュリーニ/フィルハーモニア管によるファリャ:『恋は魔術師』、『三角帽子』

・ファリャ:バレエ音楽『恋は魔術師』(全13曲)
・ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』(第1・第2組曲より)

 

ビクトリア・ロス・アンヘレス(ソプラノ独唱)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団

 

録音:1961/1964年(恋は魔術師)、1957年(三角帽子)
(WARNAR CLASSICS WPCS-50169)

 

北九響の次回定期演奏会の演目『三角帽子』を聴くために購入。ファリャの音盤は全然持っていませんでした。手持ちのスペインものは、アルベニスとグラナドスのピアノ曲がちょっとだけ。

 

ジュリーニとフィルハーモニア管では、ブラームスのLPを持っています。晩年のジュリーニは、きわめて遅いテンポに気品あふれる優雅な演奏を聴かせますが、1960年ごろの彼はそこまで遅くはなく、くっきりした輪郭と気迫に満ちた表現がむしろ推進力を感じさせ、吉田秀和が「ブリオを持った指揮者」と書いていたのをなにかで読んだ記憶があります。後年、シカゴ響を指揮したマーラーをはじめとした一連の「9番」シリーズでは、「シンフォニック」とはまさにこのことかと思わせる壮大かつ緻密な演奏により、一躍日本で巨匠としてもてはやされるようになったのは周知のことでしょう。

 

さて、壮年時代のジュリーニによるファリャですが、やっぱりすごいね、この人。音がぎっしり詰まって鮮烈。『恋は魔術師』は歌入りで、ロス・アンヘレスの歌唱がまた濃い。『三角帽子』は、第1組曲の「ぶどう」あたりがカットされて短くなっていますが、第2組曲は全部あります。終曲のホタでは、かっこいいシーンの連続で、バシッとくる決めがたまりません。フィルハーモニア管は、当時のオーケストラとしてはニュートラルというか、それほど特徴的な音色を持っているとは思えなかったのですが、あらためて聴くと、木管楽器の音色などいまとなってはなかなか聴けない魅力的なものです。それもジュリーニの指揮あってなのかも。

 

録音は『恋は魔術師』の方が年代が新しいのですが、金管の響きなどに経年変化を感じさせるのはむしろこちらで、『三角帽子』は全然問題なし。もしかすると、オケか録音スタッフのコンディションに変化があったのかもしれません。日本語解説付きの廉価盤。

posted by みっち | 14:52 | CD・DVD | comments(2) | trackbacks(0) |
大貫妙子 One Fine Day

1. 船出
2. The Blank Paper
3. One Fine Day With You
4. Hiver
5. Hello, Goodbye
6. Time To Go
7. Deja vu
8. 春の手紙 (2005 version)
9. Voyage
10. A Kiss From The Sun

 

大貫妙子
(UNIVERSAL UPCY-7106)

 

2005年に発売されたアルバムのリマスター版ということで、SHM-CDでの購入。大貫妙子のアルバムを買ったのは、たしか映画『東京日和』のサントラ以来だから、1997年からなんと20年ぶり。そんなに経っていたとは!

 

このごろ聴いてなかったのは、チェロを弾くようになり、クラシックを含めてCD自体を買わなくなったのが理由です。昨年、たまっていた積ん読CDをついに解消したので、ぼちぼちですが解禁しているところ。でも、買っても聴く時間があまりない。

 

みっちの大して豊かとはいえないポップス歴の中で、大貫妙子は最大といってよい存在です。その前の時代がハイ・ファイ・セットでした。1985年、化粧品のテレビコマーシャルで「ベジタブル」を歌っていたころに『CLASSICS』というベストアルバムをレンタルし、「黒のクレール」や「夏に恋する女たち」などを聴いてトリコにされました。この人の旋律はすごい! ふわふわして力んだところが少しもないけど、とても女性らしい歌声から、選び抜かれた言葉が胸にしみ通ってきます。アコースティック楽器や弦楽四重奏とのコラボなど、独自のサウンドを追求する姿勢にも共感します。

 

1曲目の「船出」からして美しい。この1曲だけで、聴き手のブランクを埋めて有り余るものがありますf^^;。録音はセッションなんじゃないかな。キーボード、ベース、ドラム、ギターというバックがまたいい音していますねえ。12年前のアルバムですが、時間の経過はまったく関係ない、いい音楽にいい演奏。ボサノヴァやワルツなど、ヨーロッパ的でソフィスティケートされたメロディーは相変わらず魅力的です。CDの歌詞以外に、本人が1曲ずつに寄せたコメントが読めるのが珍しい。1993年の「春の手紙」をまた歌いたくなったということで、より簡素なアレンジで歌っていて、これがまた素晴らしくて泣けてきます。詩は1曲目のみが糸井重里であとは彼女、曲もひとつだけ千住明の作品があります。テイストが似ているので違和感は小さいですが、これだけ別録りのように聞こえます。サックスがなければちょっと退屈かもf^^;。

 

録音は文句ありません。SHM-CDはこれと宇多田ヒカルの『ファントーム』で2枚になりましたが、解像度が高くクリアな印象。ただ、自宅のサブシステムで再生すると、ベース音がボンつく傾向を感じました。スピーカーがフルレンジだからかな。

posted by みっち | 15:16 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
チッコリーニのドビュッシー:ピアノ曲全集(その1)

・版画(「塔」、「グラナダの夕べ」、「雨の庭」)
・映像 第1集(「水に映る影」、「ラモー賛歌」、「動き」)
・映像 第2集(「葉ずえを渡る鐘」、「荒れた寺にかかる月」、「金色の魚」)
・忘れられた映像(「レント」、「ルーヴルの思い出」、「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」)
・バラード
・ロマンティックなワルツ
・夢

 

アルド・チッコリーニ(ピアノ)
(EMI CLASSICS 7243 5 73813 2 1 1991年録音)

 

聴いたはずだけど、流したか「ながら聴き」だったかであまりよく覚えていないボックスということで、これいきます。チッコリーニによる、ドビュッシーのピアノ曲全集5枚組。有名曲がけっこうあるドビュッシーのピアノ作品ですが、全集という形ではあまり出ていないのでは? このボックスを買ったのも、これ一発ですべてそろって面倒がなさそう、という単純な動機からでした。ドビュッシーはそれほど聴いておらず、ミケランジェリやベロフ、あとツィメルマンぐらい。もともとそんなにピアノ曲を聴かないので、こだわりもありませんでした。

 

アルド・チッコリーニは1925年生まれ。2015年に89歳で亡くなっています。このボックスは1991年、チッコリーニ66歳の時の録音。かつてはサティを弾いたアルバムが評判で、サティがいけるならドビュッシーも面白く演奏しているんじゃないかという期待がありました。また、チッコリーニは晩年にファツィオーリのピアノを好んでいたことでも知られていますが、このボックスでは使用ピアノについてのクレジットはありません。ファツィオーリに出会う前なのかも。

 

CD1枚目は全15曲で、収録時間約75分。これは後半まで集中力が続かないのも仕方ないf^^;。今回は通し聴きだけでなく、タイトルごととか後半のみとかまんべんなく耳を傾けたつもり。この全集で初めて聴いたタイトルもけっこうあり、1枚目でも半分ぐらいは知らない曲でした。ちなみに、ウィキペディアによると『忘れられた映像』第2曲「ルーヴルの思い出」は『ピアノのために』の第2曲「サラバンド」に、第3曲「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」は、『版画』第3曲「雨の庭」にそれぞれ改作されているそうです。この曲集が出版されなかった理由はこれかもしれません。とはいえ、「雨の庭」とその元ネタの両方を聴いた限りでは、ほとんど別の曲といっていいくらいのものになっています。

 

演奏は、曲調を十分に汲んだもので美しい。みっちがこれまで聴いた演奏と比較すると、ベロフの直接的な明快さやミケランジェリの透徹した音色へのこだわりとも違い、柔らかいタッチでドビュッシーの印象派風な特徴を前面に打ち出しているように感じます。ただし、そのために中音重視というのか、高音の華やかさやドスのきいた低音みたいな刺激的な表現は意図的に抑制されている印象があります。これがチッコリーニ独特のスタイルなのか、それともそういう曲だからなのかまではちょっと判断が難しいですが、例えば『夢』1曲だけ聴けば非常に練られて完成された演奏ですが、他の曲も通して聴くとやや単調になってしまうきらいがあるのかな、と。録音は暖色系でとくに不満なし。EMIらしい音といってよいかと。

 

なお、このボックスのパッケージングはスペースユーティリティに難ありです。紙箱に2枚組と3枚組のプラケースが収められていますが、紙ジャケなら10枚以上は楽に入る厚さ。箱のデザインもやっつけ仕事だし、もうちょっと商品として魅力ある外装を考えてほしい。

posted by みっち | 23:16 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第9番

・ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2005年7月23日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第9番を聴きました。パッケージとしては最後にある0番と『テ・デウム』を最初に採り上げたので、このボックス最後の曲となります。

 

これまでもさんざん書いてきたのでおわかりでしょうが、残響の長い聖堂でのライヴ演奏・録音ということで、第9番でもその特徴がしっかり現れています。例えば第1楽章では、テンポも残響の長さを考えてのことか、かなりゆっくり目。本来もっと厳しい音楽ではないかという気がしますが、アタックが丸く、余韻が長いために穏やかさというか暖かさがより感じられます。ただし、この楽章の展開部後半あるいは第1主題再現部(両方が重なっている)では、いつも着実なパーテルノストロには珍しく急いだ感じの部分があります。楽譜の指定かもしれません。

 

第2楽章は、出ました「法華の太鼓」! カトリックと日蓮宗の共通点がこれ(爆)。それはともかく、バババンバン・バンバンバンって、たしか2番までのスケルツォ楽章にも現れるリズムパターンですが、最晩年に至ると彫りの深さが全然違いますね。しかも、途中に1拍多く入ってリズムがずれていくような魔術的な芸の細かさも見逃せない。主部のB部分や中間部ではブルックナーならではの諧謔味が秀逸。ここでも当たりが柔らかめで、従来のイメージを覆すような雰囲気があります。これはこれで、存在価値が高いのではなかろうか。

 

第3楽章も同じ傾向。ゆっくりしたテンポは、この会場ではぴったりでしょう。神の啓示を示すような輝きやクライマックスの箇所でも威嚇的・威圧的でなく、響きがまろやかです。そういうわけで、岩石がぶつかり合い砕け散るような厳しい表現に慣れている人には、なよっとしたヤワな演奏に聞えるかもしれませんが、反面、曲の美しさをここまで端的に示した演奏もそうないと思います。

 

さて、今回のエントリをもって、みっちの「積ん読」CDはすべて解消されました。ここまで長かったf^^;。手持ちCDにすべて耳を通すことができたので、これで心置きなく次のCDを買える、といいたいところですが、楽器を弾くようになってからCDを聴く時間が激減しており、今後もめったに買わないと思います。とりあえず、一度は聴いたはずけど、ざっと流しただけだったようなボックスがひとつ頭に浮かんでいるので、次はそれを採り上げようかと思っています。

posted by みっち | 12:00 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
上白石萌音 chouchou

1. 366日
2. Woman “Wの悲劇”より
3. 変わらないもの (Studio Live)
4. On My Own (Studio Live)
5. なんでもないや (movie ver.)
6. SMILE

 

(PONY CANYON  PCCA-04426)

 

アニメ映画『君の名は。』の大ヒットで注目を集めている上白石萌音のミニアルバム。みっちは『君の名は。』は観ていないのですが、彼女が歌う「なんでもないや」をクルマのFMで聴いて、これは、と思いました。

 

「なんでもないや」でのささやきかけるような歌い出しは、ちょっと手嶌葵に似ていますが、あっちは終始ささやきっぱなしで、「もうちょっと声出せよ」ていいたくなる。でも、上白石萌音はサビに来ればちゃんと歌います。あくまでも曲調に合わせた感情表出としてささやくような歌い方もやっているわけです。一歩間違えるとあざといですが、無垢で清純な歌声が気持ちよく、「ぼく」などといった少年ぽい歌詞がまたよく合います。

 

6曲収録されていますが、「なんでもないや」は『君の名は。』のオリジナルといってもいいのかな? ほかはすべてカバー。4曲目は『レ・ミゼラブル』のエポニーヌのナンバーをアカペラで歌っています。『君の名は。』のオーディションの際にこれを歌ったのが決め手になったそうで、目の前でこんな風に歌われたら、心を揺さぶられるだろうなあ、と納得。その場にいたら、泣くかも(爆)。

 

ミュージカルにもすでに出演しているので、知っている人は知っていたんでしょうね。現在18歳。これから彼女がどんな風に成長し、どんな歌を歌ってくれるのか、とても楽しみです。

 

ピアノの弾き語りやギターなどアコースティックなアレンジにも好感持ちました。ただし、YouTubeで歌っているものもいくつか聴いてこのCDを聴くと、本当はもっと声量あるはずだと感じます。CDではドラマチックな魅力がやや薄れています。ピュアな感じを前面に出そうとして、調整できれいにまとめすぎなんじゃないでしょうか。

posted by みっち | 09:43 | CD・DVD | comments(4) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第8番

・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(1890年版)

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2002年7月13日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第8番を聴きました。このボックスでは8番のみ、2楽章ずつCD2枚にわたって収録されています。長いからね。

 

クレジットされている「1890年版」とは大改訂後の「第2稿」を意味しますが、同じ「第2稿」でもハース版とノヴァーク版では違っているようで、単純に言うと第4楽章が長いのがハース版、短いのがノヴァーク版。ハース版では、改訂時にブルックナーがカットした箇所を10小節ほど復活させている分、長くなっているとのことです。わかりやすいのは、コーダに入る前でしょうか。この演奏はたぶんハース版だと思いますが、間違っていたらゴメンナサイ。

 

第1楽章はかなりテンポが遅い。時間的には17分でさほどでもないのですが、パーテルノストロは部分的なタメやリタルダンドはやらないので、平均的に遅いということになります。これによってオルガン的な響きは強調されますが、全体的にのっぺりした印象。例えば、展開部の終わりでフルートがひらひらと残ってオーボエに第1主題が再現するところ、みっち的にはこの楽章の最高のキモなのですが、コントラストがなく平板です。

 

第2楽章は打って変わってキビキビしたテンポです。今度はしかし、残響の多い会場との相性の悪さを感じます。例えばティンパニの打ち込みとか、ここぞというところでのキメがことごとく丸くなってしまっており、爽快感に欠けます。中間部は全曲中でも聴きどころですが、ハープが引っ込んでいて、魅力が半減しています。マイク位置の関係かもしれませんが、うーん、もったいない。

 

この調子では全曲聴き通すのはつらいぞ、と思いましたが、CDが換わった第3楽章から盛り返します。ゆったりしたテンポで約27分という長丁場ですが、弦も管も後半になって集中力を発揮しだしたのか、美しい演奏になっています。ここでは会場の残響も味方して、大河のように神々しいブルックナーサウンドに浸れます。

 

第4楽章は約25分。ここでも焦らず着実に歩を進めるパーテルノストロが持ち味を発揮しています。かといって無味乾燥でもなく、部分部分が美しい。コーダは、もう少しスケールの大きさがあってもいいと思いますが、この人はそういう暴れ方はしないですねf^^;。というわけで、前半はやや不満ですが、あとの2つの楽章は立派です。

posted by みっち | 23:56 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
宇多田ヒカル ファントーム

1. 道
2. 俺の彼女
3. 花束を君に
4. 二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎
5. 人魚
6. ともだち with 小袋成彬
7. 真夏の通り雨
8. 荒野の狼
9. 忘却 featuring KOHH
10. 人生最高の日
11. 桜流し

 

(Virgin Music TYCT-60101)

 

車で聴いていたFMから流れてきた、シンプルに切なく繰り返されるメロディーを誰だろう?と思ったのが、宇多田ヒカルの「真夏の通り雨」でした。「花束を君に」の美しいメロディーと伸びやかな歌声にも惹かれるものがあり、CDが出たら買おうと思っていました。アルバムは8年ぶりらしいですが、以前の活動は「流行っているポップス」ぐらいの認識しかなく、知りません。しかしこの2曲は、明らかになにか転機があったことを感じさせ、率直に訴えかけてくるものがありました。感動的な歌唱です。

 

ふだんはメロディーやサウンド中心に聴いており、歌詞についてはほとんど気にしていないのですが、なにかただならないものがあり、歌詞を読んでみると、この2曲はどうも母親の死を歌っているように思えます。「花束を君に」では、NHK朝ドラのテーマ曲に使われるくらいメロディーは明るいのですが、「普段からメイクしない君が薄化粧した朝」、「涙色の花束」という歌詞が対象の死を暗示しており、「いとしい人」とは恋人でも「一つの指輪」(爆)でもなく、母親の藤圭子を指しているように思えてきます。「真夏の通り雨」では、夢から覚めた情景を歌っており、これも母親と一緒の夢だったと解釈するのが自然です。つまりこの2曲には、宇多田ヒカルの母親への思慕が強く表れており、一種のレクイエムとして成立しています。もう1曲、冒頭に置かれている「道」も、母親への告白・呼びかけと受け止めてよさそうですが、書かれた時期が少し後なのか、そこにとどまらず前を向いて進む姿勢が打ち出されています。

 

ほかの曲も、上記3曲ほどのインパクトはありませんが、個性を確立させた人の作品ということで間違いないでしょう。「道」で「ありゃせぬ」という歌詞が出てくるのにはびっくり。いまどきこんな言葉使う人いるんだ。ほかにも「走れメロス」、「シェイクスピア」などが出てきて、へー、活動休止中にそんなの読んでたのかな、と思わせたり。歌詞そのものだけでなくメロディーに対する歌詞の乗せ方にも独特なものがあります。例えば「道」では、先行する歌詞の語尾が次のメロディーの始まりまで引っ張られる倒置的手法が特徴になっています。あと、これはみっちだけの感じ方かもしれませんけど、短いフレーズの繰り返しの多用によってシンプルさが強調される点で、ミニマルミュージックに接近しているのじゃなかろうかと。

 

作詞作曲だけでなくプロデュースや編曲までこなしているんですね。アレンジは(少なくとも聴感上は)簡潔・端的で、メジャーレーベルのポップスにありがちな、ブラスにストリングスにキーボードにと厚化粧に盛ったサウンドとは一線を画しています。もしかするとセッション中心かも。このため「道」などは引き締まった力強さを感じさせます。ソフトはSHM-CDで厚めのケースに入っており、CD自体も手に取ると重い感じ。音質はキレがよく良好。

posted by みっち | 19:57 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第7番

・ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2000年7月15日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第7番を聴きました。終わらないんじゃないかと思っていたこのシリーズも残り3曲になってきました。

 

第7番は、ブルックナーの交響曲の中でももっとも人気のある曲かもしれません。第1楽章、チェロとホルンで始まる広々とした第1主題がなんといっても魅力的。第2楽章の深々と沈んだ表情もいい。これは、前の6番の葬送風音楽の延長戦ですね。スケルツォでは主部の豪快さと中間部のブルックナーらしからぬ情緒的な調べの対比が素晴らしい。ところが、フィナーレがショボいというか意味不明(爆)。とりあえず第1楽章のメロディを付点リズムにして始めてみたけど、そのあとどうしたらいいかわからなくなっちゃった、みたいなf^^;。

 

もし、みっちがアントンくんのアドバイザーだったら、このフィナーレについて次のように助言しますね。まず、第1主題と第2主題を入れ替える。第2主題はいわゆる「ジュピター音型」をちょっと変えました的なコラール主題で、こっちをむしろ重視します。え、いったいなにが始まるの?と思わせて、第2主題で安心させる。展開部は、この二つの主題による二重フーガ。コーダでは、再びフーガ的に開始し、スケルツォ主題、第2楽章の主要主題(ドレミー、ね)、第1楽章の第1主題を順次回想して、最後はホ長調でこの3つを同時に鳴らして(スケルツォ主題をトランペット、第2楽章主題を弦、第1楽章主題をホルンほか)終結。ブルックナーの7番みっち版、なかなかいいと思うんだけどね−。じゃなければ、フィナーレいらないので第2楽章とスケルツォを入れ替えて全3楽章の交響曲にするとか(爆)。すみません、演奏以外のところで盛り上がりました。

 

パーテルノストロの指揮については、これまで、両端楽章が中庸かゆったりめ、緩徐楽章はじっくり、スケルツォは比較的速めというパターンで理解しつつあったのですが、この曲では少し違いました。前半楽章がやや速め、とはいっても20分から21分かかってますが、スケルツォとフィナーレが中庸でそれぞれほぼ10分というもので、前半楽章がわりとさっくりなのが特徴です。これはやはり、フィナーレとのバランスを考えた結果かもしれませんね。

 

したがって、前半はいわゆる巨匠指揮者たちが思い入れたっぷりにタメたり引っ張ったりするところを、わりとさらっと、とはいっても決して流しているわけではなく、全体の自然な推移を重視しているのがいい。この人は無用なアッチェレランドは決してかけないので、盛り上がりも確実に来たるべき形でやってくれます。スケルツォの中間部もとても魅力的で、あまりいわれませんが、ブルックナーのスケルツォは5番や6番あたりから中間部が素敵になってきていて、この曲でも聴きどころです。フィナーレは、どうやっても説得力のある演奏にはならないだろうと思うんですけど、この会場独特のゲネラルパウゼの長い余韻がここでは効果的です。

 

録音は、シリーズ共通のヴァインガルテン大聖堂という残響の長い会場でのライヴで、残響の長さと分離の良さを両立した点はいつもどおり。

posted by みっち | 10:24 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第6番

・ブルックナー:交響曲第6番イ長調

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2003年7月5日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第6番を聴きました。

 

6番は、ブルックナーとしては比較的コンパクトにまとまっていて、ゲネラルパウゼから急に金管のコラールが吹き上がったりというゴツゴツ感があまりない、総じてわりとよく流れる音楽です。「フツウの交響曲を書きたい」と、ブルックナーも考えたのかもしれません。そうはいっても、やっぱりブルックナーはブルックナーなんですけどf^^;。フィナーレなどはまたまたメロディー不在で、頭に残るのは♪パー、パッパラーという突撃ラッパだけだったりする(爆)。

 

パーテルノストロの指揮は、両端楽章が中庸かゆったりめ、緩徐楽章はじっくり、スケルツォは比較的速めというもの。この全集はだいたいこのパターンなのかな。ただし、この曲に関してはみっちはいうことがあります。第2楽章の第3主題、葬送行進曲風のテンポが遅すぎる。ここは、この曲の中でも聴きどころで、沈んだ曲調ではありますが、もたれず粛々と進んでほしい。あまりゆっくりだと行進できない、というか寝てしまう(爆)。で、この演奏は眠いタイプになっちゃってるのが残念。この点では、クレンペラーのテンポがいいですねえ。これ以外は、弦は美しいし、管楽器も立派です。実にまっとうというか、いい演奏です。

 

録音は、シリーズ共通のヴァインガルテン大聖堂という残響の長い会場でのライヴ。残響の長さと分離の良さを両立した点では変わっていません。ただし、4番や5番ではこの残響が印象的な場面が目立ったのですが、6番の場合はゲネラルパウゼがないため、そんなに特徴的とまではいえないかもしれません。十分に美しい演奏ですが、この曲にはデッカにシュタイン/ウィーン・フィルという名録音があるため、オケの魅力という点ではさすがに一歩譲ってしまうかな。

posted by みっち | 20:47 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第5番

・ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(ハース版)

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2001年6月23日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第5番を聴きました。

 

ブルックナーの交響曲の中で、5番はみっちがいちばんよく聴いている曲です。北九響で演奏もしましたし。この曲は第1楽章の第1主題とつづく転調が実にかっこよく、第2楽章の荘重な弦楽合奏も素晴らしい。ブルックナーどうした?といいたくなるくらいの聴かせ上手。スケルツォは繰り返しがちょっとうんざりなんですが中間部がユーモラス(なんと、ブルックナーにもユーモアがあった証拠がココに)。フィナーレでは前代未聞の充実ぶりで盛り返してくれます。

 

この人の交響曲ってだいたい同じ展開で、例えば第4楽章では最後に第1楽章の第1主題を長調で出して締めくくる。これ例外ありましたっけ? というくらい同じパターンを踏襲するブルックナーなんですが、5番では単に主題が帰ってくるだけではなくて、第4楽章の素材と合わせて圧倒的なクライマックスを形作ります。この部分の壮麗さは、ブルックナーの全創作過程でも頂点のひとつで、あとは8番しかないんですよね。

 

で、演奏ですが、大聖堂の残響を最大限活かした演奏ということができそう。第1楽章の出だしからたっぷり聴かせます。わーん、という響きが終わってから、やおら次の音型という感じで、ゆったり目のテンポで急がずあわてず美しく、粛々と進みます。管楽器のコラール、弦楽のザーッていう合奏、ピチカートの弾みがまた素晴らしいです。当たりは比較的柔らかく、楽器のブレンドと響きがキモチイイ! 全曲こんな感じなので、あまりいうことがないf^^;。もしかして指揮者の人、なんにもしてないんじゃないの?という疑問も浮かびます(爆)。が、それでいいんです! ブルックナー・サウンドにゆったりどっぷり浸りはまれればいい。あ、でもフィナーレのコーダでは、トランペットはくっきりなんですけどホルンももうちょっと出てもよかったかな?

 

そういうわけで、指揮者の至芸を楽しみたい向きには退屈かもしれませんが、そういうのはクナとかシューリヒトとかやりたい放題のがあるから(爆)。みっちはスケールの大きいケンペ盤が昔から好きですけど、これもとてもいいと思いました。

 

録音は、これまでどおり豊かな残響と各パートの分離のよさが両立しており、全体が十全にとらえられています。なお、収録時間(78分)の関係か、これまであった演奏後の拍手が入っていません。

posted by みっち | 09:50 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |