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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
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LotR字幕問題のつづき:太田直子氏の訂正記事
4月のエントリ6月のエントリで触れていた映画『ロード・オブ・ザ・リング』の字幕問題で、太田直子氏の訂正記事が出されました。「字幕改善連絡室」で報告されています。
以下、「字幕改善連絡室」から、『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版)2007年10月号、P187後半の引用です。

 「原作つながり」で、またまたこの場を借りてお詫びと訂正を。
 前々回の本欄で、拙著『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』の内容について、いくつか訂正を書きました。そのなかの「原作小説のファンから字幕に対して苛烈なクレームが押し寄せ……」というくだり。
 まず、配給会社にクレームを寄せた人たちは、生硬な「原作主義者」ではありませんでした。字数制限や、公開までの時間のなさなど、字幕特有の制約を理解したうえで、「それでも字幕のこことここはどうも納得いかないので、せめてDVDで検討し直してもらえないでしょうか」と丁重に、かつ、自分たちの実名・住所を明かした郵便物やFAXなどで抗議していました。ネット上だけの一方的なバッシングではないのです。
 私は、ちらっとかいま見た別の罵倒サイトと、この人たちとを混同し、きちんと確認しないままエッセイに「困った人々」というニュアンスで書いてしまいました。こうした記述にショックを受け、傷ついた人たちにお詫びします。

 もちろん字幕に絶対的な正解はありませんし、いろんな考え方があります。もしかすると今度は、字幕屋仲間や業界人から「何だよ、お前はあっちの肩を持つのか?」という批判がくるかもしれません。正直、ビビっています。
 でも、言いたいことはお互いどしどしぶつければいいのではないでしょうか。どちらも「いい映画をよりよい字幕で見てほしい(見たい)」という志は同じはず。敵対する意味はありません。前回の本欄で書いたごとく、字幕存亡の危機が迫っているかもしれないのです。共闘しましょうよ。
 万国の字幕派よ、団結せよ!
 字幕屋は銀幕の片隅でしつこく叫ぶのでした。
自分の誤りを率直に認めて謝罪する、というのは、当たり前のようでなかなかできないことです。わが身を振り返ればよーっくわかります。社会的地位や発言力を持てばなおさら難しくなるようで、テレビに映る政治家やトップ官僚、総裁やコミッショナー代行(爆)など見ていれば、現実社会ではまずあり得ない!といっていいくらい希少なことだと実感します。それだけに、今回の太田氏の文章はとても貴重だと思います。

前回の「字幕改善連絡室」の報告では、訂正は10月号以降とされていましたが、そのとおり10月号で、しかも8月中には発行されたということで、太田氏の対応が迅速かつ「真面目で丁寧、明解で真摯」だという印象が裏付けられたことも喜ばしいことでした。みっちとしては、これまでのエントリやコメントの中で、太田氏に対して「罵倒サイト」のごとき表現をしたことをお詫びします(こんなブログは見ておられないでしょうがf^^;)。

なお、今回の訂正文のなかで、太田氏が「もしかすると今度は、字幕屋仲間や業界人から(中略)批判がくるかもしれません。正直、ビビっています。」と書いている点は、くだけた表現ながらも考えさせられました。往々にして「○○側」とレッテルを貼りやすい世の中で、字幕業界が例外であるはずもなく、「燦然と輝く伝説」も、おそらくはそうした土壌の上に作り上げられた虚構だったのでしょう。そうしたなかで太田氏ひとりがいつまで真摯な姿勢を貫けるか、少々心配でもあります。

今後のことはわかりませんが、太田氏のような良心的な「字幕屋」さんがひとりでも増えてほしいと望みます。少なくとも今回のことで、洋画に「字幕:太田直子」のクレジットが入っていた場合の信頼性・鑑賞性はかなり高まったと考えてよいのではないでしょうか。このことが映画業界にさらによい影響を与えることを願ってやみません。
posted by みっち | 19:21 | Tolkien | comments(2) | trackbacks(1) |
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コメント
みっち様、さっそくブログで取り上げてくださったんですね!
(あ、でも連絡室にもよろしくお願いいたします ^^;)

>太田氏のような良心的な「字幕屋」さんがひとりでも増えてほしいと望みます。

本当に。心から同意です。
まあ、「ネット」でくくれば、無責任な暴言も実際多いわけなので…批判する側・される側、どっちにも「良心的な人もいる、そうでない人もいる」わけで。
とにもかくにも、嬉しいお知らせができてよかったです。
2007/08/23 00:00 by ハーブ
同じようなことを何度も書き込むのは気が引けるので、ここだけにしようと思っていましたf^^;

太田氏の書きぶりからも、今回の成果は「字幕連絡室」の方々の真摯で誠実な努力あってこそだということがよくわかります。罵倒や攻撃では、このような実を結ぶことはなかったでしょう。本当にありがとうございました。
2007/08/23 12:16 by みっち
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2007/08/27 22:56
今年の 4 月に、『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』という本に関する記事
禿頭帽子屋の独語妄言 side A