ミシェル・ペイヴァー著 酒井駒子絵 さくまゆみこ訳 評論社
約6000年前の森林世界を舞台としたファンタジー「千古の闇」シリーズ第3作。読者にはすでにおなじみとなった、オオカミ族の少年トラク、ワタリガラス族の少女レン、オオカミのウルフという2人と1匹のユニット(っていっていいのかな?)が活躍します。
今回は、いきなりウルフが何者かにさらわれてしまい、トラクとレンがウルフをさらった者たちの足どりを追って、はるか北の雪原地帯に足を踏み入れます。第1作のテーマが「森とクマ」とするなら、第2作は「海とアザラシ」、今作は「氷河とシロクマ」でしょうかf^^;。
物語は前作までと同様、彼ら3つの視点が入れ替わりながら語られていきます。この視点切り替えはますますこなれてきた感じで、ひとりの視点では限界のある認識が、新たな視点が入ることによって次第に情報が増えて立体的になり、やがて全貌がわかってくるという、スリリングな体験としての読書というものを再認識させてくれます。