松田治・青山照男 訳(講談社学術文庫)
最近、本を読む時間がとれずにいます。寝る前にちょこちょこ読んで、なんとか読み終わったのがこれ。みっちがウィキペディアでギリシア神話の項目を書くときに参考にするのは主としてグレーヴスやケレーニイですが、ヒュギーヌスは、これらの二次資料でもよく参照されているようで、邦訳が出たときにはすぐ読もう、と思っていました。それからもう3年(爆)。
ヒュギーヌスの編纂方針(?)は、わりとアポロドーロスと似ていて、その点では両方とも時代が近いのかな、と感じさせます。しかし、アポロドーロスよりもっと断片的で、物語としての体裁が整えられていません。アポロドーロスの場合、人物名は網羅的でずらずら出てきますが、異説は異説として紹介されるのでストーリーにさほど混乱はありません。しかし、ヒュギーヌスでは名前同様にお話しも並列され、それがお互いに整合したりしなかったりで、前後の脈絡とかそういうことはほとんど意識されていないようです。
扱われている題材というか物語は、はじめが「神々の系譜」で、そのあとなぜか「アルゴナウタイ」関連になります。つづく「ヘーラクレース」「テーセウス」「トロイア戦争」は一応時系列順と見ることができます、その後「オイディプース」「アトレウス一族」に戻っていて、なぜこのような順序で語っているのかもよくわからないところがあります。もしかすると、ヒュギーヌスというのは一人ではなくて、ウィキペディアのように後世の手によって書き加えられたり、再構成されたりした結果かもしれません。