リチャード・ヒコックス指揮、シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア
ジャン・ベルナール・ポミエ(ピアノ)ほか
(Virgin Classics 5 62384 2 5CD)
『レコード芸術』2009年1月号を読んでいて、「レコード・アカデミー賞」の交響曲部門で、プレートルのマーラー5番が選ばれていたのに驚きました。へえー、評論家のみなさんも、わかるんじゃん(爆)。というのはさておき、もっと驚いたのが、イギリスの指揮者リチャード・ヒコックス急逝のニュースでした。
「海外盤試聴記」と並んで、「レコ芸」でみっちがもっとも楽しみにしている「欧米4カ国の音楽評論家による最新レポート」、イギリスのグレアム・ケイ氏が「リチャード・ヒコックスの偉業」と題した一文を読んで、それが追悼文なのを知って、びっくり仰天です。11月23日に心臓発作で世を去ったとのことです。ヒコックスは1948年生まれなので、まだ60歳。早すぎる!
ヒコックスの精力的な活動は、主としてイギリス音楽の分野に向けられたもので、メジャーレーベルでの録音がないこともあって日本では無名に近い存在でしょう。みっちがヒコックスを知ったのは、表記したプーランクのボックスに先立って、これに収められているピアノ協奏曲などが1枚物で出たときに購入したのがきっかけです。彼が本領としているらしいイギリス音楽についても、そのうちゆっくり聴いていこうと楽しみにしていたのでした。
そういうわけで今年最後のエントリは、ヒコックスを追悼して、プーランクのピアノ協奏曲、田園のコンセール、オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲などの協奏曲と、グローリア、スターバト・マーテル、悔悛のための4つのモテットなど合唱曲が収められたボックスです。手元にあるヒコックスの音源はこれしかありませんが、5枚組で3千円しませんから非常にお買い得のうえ、プーランクの代表的な作品がすばらしい演奏で聴けます。ここに聴かれるプーランクの歯切れのよいサウンドは、ヒコックスの実力の高さを示して余りあると思います。惜しい人を亡くしました。