「時代劇専用チャンネル」で今週月曜日から始まった再放送を観ています。子供のころに親しんだ時代劇です。懐かしいし、面白いし、うれしかった。
この番組は、もともと『素浪人 月影兵庫』として始まったものですが、途中からコミカル路線になったために原作とかけ離れているという原作者からのクレームがつき、タイトルを代えて再出発した経緯があるようです。前シリーズ「月影兵庫」の最終回で、兵庫は松平伊豆守の甥だったことが判明、家督相続のためお家から迎えがやってきて半次と別れることになります。「花山大吉」第1回では、半次が兵庫とうり二つな浪人と出会い、兵庫が自分をだましたと思って激昂する場面から始まります。半次は浪人がとぼけていると思い、兵庫が苦手だった猫を見せ、しまいには浪人の肩に乗せてしまうんですが、浪人は動じることなく「よしよし」と猫を下ろして行ってしまいます。あっけにとられる半次の目の前にクモがツーと降りてくる、のはお約束。
以下に、月影兵庫と花山大吉の違いを並べてみます。月影兵庫の方は昔の記憶なので、間違っているかもしれません。
○月影兵庫 ふるまいはかなり下品で酒好きだが、戦闘になると表情が一変する。手に持っているクルミを掻き鳴らす癖がある。猫が大嫌いで、近くにいるのを見ただけで大慌てで逃げ出す。半次を「半の字」と呼ぶ。
○花山大吉 ふだんは穏やかで通人のような蘊蓄を語るが、大好物のおからを肴にして飲んだ場合はハメを外して泥酔する。驚いたり緊張したりすると「持病」のしゃっくりが出て、腰にぶら下げている瓢箪に入れた酒を飲むまで止まらない。半次を「焼津の」と呼ぶ。
あらためて思ったのですが、道中物ですからロケ場面が多いのは当然ながら、役者のアップも目立ち、撮り方が昔ながらの映画っぽくて、かえって新鮮です。なにより近衛十四郎の顔がこれぞ素浪人という感じで、目力があって素晴らしい。大吉はかなり早口でしゃべり、滑舌はそれほどよくないので台詞が聞き取りにくい場合もあるのですが、酔っぱらったときの悪口雑言(いまの番組では到底無理)などは、もはや爽快のレベル(爆)。半次も記憶以上にはじけていて、その騒々しさに大笑いさせられます。殺陣は決まり切った感じがなく、鉄扇、逆手斬り、スローなど変化に富んでいて見事。そういえば、月影兵庫は鉄扇を持たずに小柄を使っていたような気がします。主役以外の登場人物の何気ない振る舞いなどにも、いかにも時代劇らしい味があって、モノクロながら画質も良く、堪能できます。
みっち的に大ウケだったのが、音響効果と音楽。コミカルなシーンでのコイ〜〜ンというような鐘の音を初めとして、タイミング良くかましてくれて楽しい。北島サブちゃんの主題歌はぜんぜん記憶になかったのですが、半次(品川隆二)が歌うエンディング「風来坊笠」は、歌詞まで覚えていました。チャンバラでは、三味線風で滑稽味のある調子が入り、それが高音から半音階的にずーっと下がっていくと、なぜかオッフェンバック『天国と地獄』(爆)につながり、さらに「半次の唄」の後半につづくという、このメドレー最高!
第3話まで観たのですが、第3話で大吉の着物が変わりました。これまでとは逆に襟の色が薄く、それ以外のところは濃く、対比が目立つものになっていました。個人的にはこれまでの方が渋くてかっこいいと思うんですが。シリーズ途中からカラーになるようですし、まだまだ楽しみが続きます。