『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 5―最後の神』
2010.07.30 Friday
リック・リオーダン 著、金原端人・小林みき 訳、ほるぷ出版
パーシー・ジャクソンシリーズの最終巻。今回は開始早々から戦いとなり、味方の犠牲者も出ます。
復活したクロノスは、テュポンを西海岸から東に向かわせますが、実はこれは陽動で、ゼウスたち神々がテュポン封じのために出動した留守を狙って、自身が率いる大軍でオリンポス山のあるマンハッタンを襲う、という計画です。神々はまんまとこの作戦にはまります。まあ、実際のところはテュポンを止めるどころか、進行を遅らせることしかできないわけですから、クロノスの作戦を見破ったところでどうしようもなかったかもしれません。しかも神々のうち、ポセイドンはオケアノスとの戦闘で手一杯、ハデスは、自分はオリンポスの神ではなく地上の戦いは関係ない、と日和見を決め込んでいます。
この計画を阻止しようとして、パーシーたちハーフ軍がマンハッタンの守備に付き、絶望的な包囲戦を繰り広げます。悪いことは重なるもので、ハーフ軍のうち、アレスコテージのクラリサが戦利品の処分に腹を立てて出動を拒否します。このあたり、トロイア戦争での英雄アキレウスのエピソードを思わせます。パーシーはクロノスに対抗するために、ステュクスの川に身を投じます。かつてアキレウスがこれで不死身の体になったのですが、そのために致命的弱点ができてしまうのはご存じのとおり。アキレウス自身が現れてパーシーに警告します。それでも、これでパーシーはたいていの敵なら粉砕できるようになります。
というわけで、最終巻は「イーリアス」由来のエピソードを組み込みつつ、意外な形で予言の成就を見るラストまで、戦いに次ぐ戦い。いわば第2のティタノマキアですから、戦闘シーンには力がこもっています。ここまでくると、さすがにボケもツッコミも文字どおりしゃれにならない気がしますが、それでも作者は和ませる場面を忘れてません。意外な味方や敵が登場して、笑わせてくれます。
みっちとしては、この戦いでカギとなるのはプロメテウスではないかと予想していました。神話では、プロメテウスはティタン神族ながら先の大戦ではオリンポス側に付きました。しかし、人間に火をもたらした罪を罰せられ、岩山に縛り付けられて鳥に内蔵をつつかれるという苦しみを受けます。しかもプロメテウスはオリンポスの神々の破滅につながる重大な予言を知っていました。こういう神の存在は無視できないですよね。で、プロメテウス、やっぱり登場してきました。でも、残念! パーシーから「口先男」とかいわれるだけの奴でした(爆)。
タイトルの「最後の神」とは、オリンポスにひとり残っていた女神で、ミスターDにオリンポス12神の座を譲った、ヘスティアのことです。ヘスティアは、大きな力を持たず、活躍らしい活躍はしないのですが、その奥ゆかしさと平和を愛する姿勢がパーシーに影響を与えます。
戦いの後、パーシーは、神々からご褒美をもらえることになるんですが、ホントにそれでいいのかパーシー? みっちなら迷わず神に(爆)。まあ、最初からふつうの人間じゃないので、それほど驚くべき選択でもないですけどね。一方、人間ですがふつうではないレイチェルf^^;も、落ち着くところに落ち着いたというか、まあこれしかないだろ、という感じではあります。アナベスもようやく素直になったようで、やれやれです。
個人的には、ニコやイーサン・ナカムラ(日系のハーフ?)といったくせ者系をもうちょっとふくらませて個性を発揮するようにしてくれると、もっと楽しめた気がします。例えば、この二人の対決シーンが見たかったですね。映画化するなら、脚色をぜひお願いしたい。原作は5冊ですが、映画は3部作ぐらいでまとめてもいいかも。
パーシー・ジャクソンシリーズの最終巻。今回は開始早々から戦いとなり、味方の犠牲者も出ます。
復活したクロノスは、テュポンを西海岸から東に向かわせますが、実はこれは陽動で、ゼウスたち神々がテュポン封じのために出動した留守を狙って、自身が率いる大軍でオリンポス山のあるマンハッタンを襲う、という計画です。神々はまんまとこの作戦にはまります。まあ、実際のところはテュポンを止めるどころか、進行を遅らせることしかできないわけですから、クロノスの作戦を見破ったところでどうしようもなかったかもしれません。しかも神々のうち、ポセイドンはオケアノスとの戦闘で手一杯、ハデスは、自分はオリンポスの神ではなく地上の戦いは関係ない、と日和見を決め込んでいます。
この計画を阻止しようとして、パーシーたちハーフ軍がマンハッタンの守備に付き、絶望的な包囲戦を繰り広げます。悪いことは重なるもので、ハーフ軍のうち、アレスコテージのクラリサが戦利品の処分に腹を立てて出動を拒否します。このあたり、トロイア戦争での英雄アキレウスのエピソードを思わせます。パーシーはクロノスに対抗するために、ステュクスの川に身を投じます。かつてアキレウスがこれで不死身の体になったのですが、そのために致命的弱点ができてしまうのはご存じのとおり。アキレウス自身が現れてパーシーに警告します。それでも、これでパーシーはたいていの敵なら粉砕できるようになります。
というわけで、最終巻は「イーリアス」由来のエピソードを組み込みつつ、意外な形で予言の成就を見るラストまで、戦いに次ぐ戦い。いわば第2のティタノマキアですから、戦闘シーンには力がこもっています。ここまでくると、さすがにボケもツッコミも文字どおりしゃれにならない気がしますが、それでも作者は和ませる場面を忘れてません。意外な味方や敵が登場して、笑わせてくれます。
みっちとしては、この戦いでカギとなるのはプロメテウスではないかと予想していました。神話では、プロメテウスはティタン神族ながら先の大戦ではオリンポス側に付きました。しかし、人間に火をもたらした罪を罰せられ、岩山に縛り付けられて鳥に内蔵をつつかれるという苦しみを受けます。しかもプロメテウスはオリンポスの神々の破滅につながる重大な予言を知っていました。こういう神の存在は無視できないですよね。で、プロメテウス、やっぱり登場してきました。でも、残念! パーシーから「口先男」とかいわれるだけの奴でした(爆)。
タイトルの「最後の神」とは、オリンポスにひとり残っていた女神で、ミスターDにオリンポス12神の座を譲った、ヘスティアのことです。ヘスティアは、大きな力を持たず、活躍らしい活躍はしないのですが、その奥ゆかしさと平和を愛する姿勢がパーシーに影響を与えます。
戦いの後、パーシーは、神々からご褒美をもらえることになるんですが、ホントにそれでいいのかパーシー? みっちなら迷わず神に(爆)。まあ、最初からふつうの人間じゃないので、それほど驚くべき選択でもないですけどね。一方、人間ですがふつうではないレイチェルf^^;も、落ち着くところに落ち着いたというか、まあこれしかないだろ、という感じではあります。アナベスもようやく素直になったようで、やれやれです。
個人的には、ニコやイーサン・ナカムラ(日系のハーフ?)といったくせ者系をもうちょっとふくらませて個性を発揮するようにしてくれると、もっと楽しめた気がします。例えば、この二人の対決シーンが見たかったですね。映画化するなら、脚色をぜひお願いしたい。原作は5冊ですが、映画は3部作ぐらいでまとめてもいいかも。