わが家のホビットのリクエストで観てきました。結論からいえば、
「ヤマト」ファンなら観るべし。って、みっちがいうまでもなく、もう観てるよね(爆)。
アニメ『宇宙戦艦ヤマト』は、リアルタイムで途中から見ていました。宮川泰による主題歌には、導入部の「♪さらば、地球よ」が2ヴァージョンあって、オケによる勇壮な行進曲で始まる通常版と、テンポが遅いアカペラの短縮版があり、みっちが最初に出会ったのはこのアカペラ版だったと思います。宇宙空間をバックにして男声のユニゾンが叙唱風に入ってくるのは効果的で、なにが始まるのかと思わず引き込まれた記憶があります。通常版でも、トロンボーンでしょうか、「運命動機」によく似た合いの手が入るところで、1回目がシシシラー、2回目は順次進行ならソソソファーのところ、上げてレレレド(♯)ーとなるところが新鮮で、かっこええ、と思ったものですf^^;。後奏も、突撃ラッパ風のトランペットの背景で和音が長調と短調の間で揺れ動き、劇性を高めています。
とまあ、映画とは関係なさそうなことばかり書いてますが、もともと「ヤマト」は、第二次大戦当時最強とうたわれながら、さしたる出番もないまま特攻して沈められてしまった戦艦大和への日本人の憧憬というか怨念が込められた作品だと思っていて、劇場版アニメ・シリーズが何作も続いたのも、○匹目のドジョウを狙ったというだけでなく、そうした思い入れの現れではないでしょうか。みっちも小・中学生のころに戦艦に憧れてウォーターライン・シリーズなどを作っていた時期があり、多少なりとも共感する部分はあるので、上のような細かいことを含めていまでも覚えているわけです。
で、実写版「ヤマト」ですが、やっぱり「ヤマト」に対する思い入れがありありと感じられる、熱い作品となっています。ヤマトの発進や波動砲の発射シーンなど、「ヤマト」といえばこれだろ、というところでは目一杯のCG作り込みで、期待に応えてくれます。設定や配役は一部変えられていますが、原作イメージを壊さない範囲のもので、設定変更の結果出番のなくなったはずのデスラー総統閣下の声ばかりかお姿まで拝めるサービスぶりf^^;。音楽も、上で紹介した主題曲と宇宙空間もしくはイスカンダルで女声のヴォカリーズが流れる曲がふんだんに使われていて、感涙できること間違いなし。
当然ながらその反面、ヤマトに特に思い入れのない人や外国人が見たら、首をかしげそうなところはいっぱいあります。まず、古代が致死量を超える放射能を浴びたはずなのに生きていることについて、登場人物たちは不思議がるばかりで、だれも古代やカプセルについて定量的な検査などをして解明しようとしない点。ここは、ストーリーのカギになっているので、まだバラせないということなのかもしれませんが、あり得ません。
とくにイスカンダルに到着してからの地上戦は奇妙でした。敵地の中心部に向かっているのに、ガミラス星人の攻撃は側面や後方ばかりで、目的地方向にほとんどいません。突撃しているはずが退却しているような不思議な戦い。しかも、侵入時には無数といえるほど沸いたガミラス星人たち、帰り(脱出時)はどこに行ったのでしょうか?
波動砲関連でいくつか挙げると、ワープ直後は波動砲が撃てないという制限があるのですが、ワープ自体は連続できるというのがなんだかよくわかりません。そもそもワープが繰り返せるなら、途中の戦闘はいらなくなるわけで。といいつつ、最後の波動砲は、ワープ直後じゃないのかという気もするんですけど。また、波動砲が波動エンジンの応用であるとするなら、なぜガミラスが波動砲を使用しないのかという点の説明もほしいところ。
あと、発射前の「エネルギー充填120パーセント」のときの演出がイマイチ。みっち的には、波動エネルギーが体感できるくらいに艦橋内にも振動やオーラなどでまぶしいほどテンションを高めてほしかったのですが、ただぼんやり明るくなってミラーボールが回ってる感じでした(爆)。また、発射までのカウントダウンが「5、4、3、2、1」と来てゼロのタイミングで「波動砲、発射」といってからボタンを押すため、それがお約束とはいえ、実際の発射はゼロからずれてしまうのは、ホビットも気になったらしいですf^^;。ところが最後の一発は「10秒前」から「5、4……」の間隔が短く、「まだ8ぐらいだろ!」と心でツッコミ。あ、ゼロから発射ボタンまで3秒くらいあるからこれでジャストだったりする?
配役的には、だいたいよかったんじゃないでしょうか。とくにオキタやサナダはイメージにぴったりで、これ以上は望めない気がします。シマはもうちょっと活躍させてあげたかったかな。キムタク古代は、ところどころでおふざけをかましてらしさを発揮してましたが、最後にクソマジメだったのは惜しい。柳葉サナダを見習ってほしいぞf^^;。ヒロイン森雪は、ホビットはヤマトボクシング選手権チャンプだといってました(爆)。黒木メイサは、なんといっても『大帝の剣』のときのような謎の美剣士役がハマリだと思うので、今回わりと近い(?)ところではありましたが、次はぜひ山田風太郎『柳生忍法帖』と『忍法魔界転生』を合わせた十兵衛三部作の主演をお願いしたい(いつかだれか作ってくれないかなあ)。