これまで使った資料でだいたいは書けたんですが、すべての変奏についてまでカバーしているのはネクトゥーぐらいで、それも速度記号や拍子などのデータはそろっていないため、なにかないかと思っていたところ、ネット上で「ピティナ・ピアノホームページ ピアノ曲事典」というのを発見。おかげで各変奏の説明もひととおり加えることができました。
『主題と変奏』は、フォーレとしては規模の大きい作品でしかも唯一の変奏曲です。しかし、コルトーの激賞にもかかわらず、演奏・録音機会はそれほど多くなさそう。思うに、似ているといわれるシューマンの『交響的練習曲』の場合、最後はしつこいくらい華麗に盛り上げてバーン!と終わるのに対して、フォーレはあっさり静かに消えてしまうため、「ここまで聴いてきて、これ?」みたいな気持ちになるためではないかとf^^;。まあ、フォーレの曲はだいたいそうともいえるんで、そこがフォーレらしいっちゃあらしいところですが。そういう演奏効果とは無縁の世界ということで。
いつも聴いているユボーの演奏は、巧まず音楽に語らせるというスタンスで、ジャンケレヴィッチがいっている「浄化、沈思、平静」を具現化した演奏という意味では最高のものでしょう。技巧的には不満な箇所もあるようですが、そもそもテクニックをひけらかす音楽ではないので。もう1枚、ルフェビュールの録音を持っていたのを思い出して聴いたところ、これはまた全然違う感じの演奏。どちらかというと、前半の速い部分が鮮やかです。