ヤンソンス/オスロ・フィルによる、チャイコフスキー:交響曲第5番
2014.01.29 Wednesday
・チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64
マリス・ヤンソンス指揮、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1984年1月26、27日
(CHANDOS ANNI 0030 「シャンドス創立30周年記念ボックス」-23)
「シャンドス創立30周年記念ボックス」の23枚目は、ヤンソンス指揮オスロ・フィルによる、チャイコフスキーの交響曲第5番です。苦手な声楽ものが切れてほっとf^^;。
マリス・ヤンソンスは、昔日本でも指揮していたアルヴィド・ヤンソンスの息子で、このオスロ・フィル時代に評価を上げたらしく、いまやロイヤル・コンセルトヘボウ管やバイエルン放送響のシェフを兼務し、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートにも登場するという、現代クラシック界を代表する指揮者の一人といっていいでしょう。
ヤンソンスのCDでは、オスロ・フィルとのコンビでショスタコーヴィチの交響曲第6番と第9番のカップリングを持っていたと思いますが、そのときの感想は「わりとふつう」というものでした。まあ、比較対象がコンドラシンなので、他の演奏ではこれ以外の感想が持てない可能性もあります(爆)。今回のチャイ5は、推薦盤として挙げられているのを目にすることもあり、彼の本領がよく分かる演奏かも、と期待しました。
ひとことでいえば、インテンポによるキビキビした演奏。従来のチャイコフスキー演奏に見られるような、情感たっぷりな抑揚やテンポの揺れは抑えられて、筋肉質でスタイリッシュな造形に主眼を置いた新古典主義的解釈といえそうです。同時に、フレーズや同一音の中でのダイナミクス変化を強調したり、ところどころでヤンソンスならではと思われるこだわりも見られます。
これだけ聴いていると、なかなか新鮮で全然悪くない。ただし今回は、手持ちの3種類の演奏との聴き比べをやってしまったので、それも書いておきます。
比較試聴したのは次の3枚
1.ケンペ指揮バイエルン放送響
2.デル=マー指揮ロンドル・フィル
3.ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響
マリス・ヤンソンス指揮、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1984年1月26、27日
(CHANDOS ANNI 0030 「シャンドス創立30周年記念ボックス」-23)
「シャンドス創立30周年記念ボックス」の23枚目は、ヤンソンス指揮オスロ・フィルによる、チャイコフスキーの交響曲第5番です。苦手な声楽ものが切れてほっとf^^;。
マリス・ヤンソンスは、昔日本でも指揮していたアルヴィド・ヤンソンスの息子で、このオスロ・フィル時代に評価を上げたらしく、いまやロイヤル・コンセルトヘボウ管やバイエルン放送響のシェフを兼務し、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートにも登場するという、現代クラシック界を代表する指揮者の一人といっていいでしょう。
ヤンソンスのCDでは、オスロ・フィルとのコンビでショスタコーヴィチの交響曲第6番と第9番のカップリングを持っていたと思いますが、そのときの感想は「わりとふつう」というものでした。まあ、比較対象がコンドラシンなので、他の演奏ではこれ以外の感想が持てない可能性もあります(爆)。今回のチャイ5は、推薦盤として挙げられているのを目にすることもあり、彼の本領がよく分かる演奏かも、と期待しました。
ひとことでいえば、インテンポによるキビキビした演奏。従来のチャイコフスキー演奏に見られるような、情感たっぷりな抑揚やテンポの揺れは抑えられて、筋肉質でスタイリッシュな造形に主眼を置いた新古典主義的解釈といえそうです。同時に、フレーズや同一音の中でのダイナミクス変化を強調したり、ところどころでヤンソンスならではと思われるこだわりも見られます。
これだけ聴いていると、なかなか新鮮で全然悪くない。ただし今回は、手持ちの3種類の演奏との聴き比べをやってしまったので、それも書いておきます。
比較試聴したのは次の3枚
1.ケンペ指揮バイエルン放送響
2.デル=マー指揮ロンドル・フィル
3.ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響
聴き比べは、ヤンソンスのキビキビしたところがケンペ盤を思い起こさせ、似た演奏として挙げようか?と思ったのがきっかけ。しかし、聞き直した結果はまったく別物でした。ケンペ盤は、第1楽章の序奏や主部の入りが極端と言っていいほど遅く、そこからギアが入って加速するという設計で、速いところではヤンソンスなみになるのですが、テンポの幅がとても広いのが特徴。しかも、部分部分のニュアンスが濃く、ここぞというところで見せるティンパニの打ち込みをはじめとした白熱した表現は、言語を絶します。冒頭から深淵に引きずり込まれてそのままラストまで一気に持って行かれる圧倒的演奏。みっち的には「西の横綱」。これと比べてはいけなかったf^^;。
デル=マー盤は、「爆演」として一部?に評価の高い演奏。解釈は一見端正で、ヤンソンスに通じるところがあります。また、第2楽章をはじめ、高貴で輝かしいイングリッシュ・ブラスの響きを楽しめる点でも魅力があります。ただし、この曲には随所に金管が一撃する場面があるんですが、残念ながらこれがヘナチョコ。おそらく、こういう表現はイングリッシュ・ブラスには合わないんでしょう。また、録音のせいもあるでしょうが、重量級のケンペ盤のあとで聴くと、いかにも腰高で、全体的にスケール感が不足気味。そして、この演奏の極めつきが、ところどころでかかる急激かつ意味不明なアゴーギク。知ってても、「はあ?」ってなります。久しぶりに味わったんですが、思わずコーヒー吹きました。というわけで、ノーブルなのにヘンテコという特殊な楽しみ方をしたい方におすすめ(爆)。
ロジェヴェン盤は、3種類あるうちの最初のもの。みっち的には、ロジェヴェンのチャイ5は後の時代の録音ほどダメという結論になっています。テンポ設定などロジェヴェンの解釈自体は大きく変わらないのですが、オケのやる気と緊迫感が全然違います。モスクワ放送響のトランペットをはじめとした金管隊の爆裂ぶりはすさまじく、シビレます。デル=マー盤のところで指摘した金管の一撃などは、これぞロシアという迫力で有無を言わせません。木管の絡み具合も美しい。弦も実によく歌い、ピチカートがすごい。クラシックには珍しいぐらい録音がオンで、とくに冒頭はほとんど右側からしか音が聞こえない感じが、いかにもメロディア(爆)。ケンペ盤とはいろんな意味で対照的ですが、説得力は負けていません。というわけで、「東の横綱」でした。
デル=マー盤は、「爆演」として一部?に評価の高い演奏。解釈は一見端正で、ヤンソンスに通じるところがあります。また、第2楽章をはじめ、高貴で輝かしいイングリッシュ・ブラスの響きを楽しめる点でも魅力があります。ただし、この曲には随所に金管が一撃する場面があるんですが、残念ながらこれがヘナチョコ。おそらく、こういう表現はイングリッシュ・ブラスには合わないんでしょう。また、録音のせいもあるでしょうが、重量級のケンペ盤のあとで聴くと、いかにも腰高で、全体的にスケール感が不足気味。そして、この演奏の極めつきが、ところどころでかかる急激かつ意味不明なアゴーギク。知ってても、「はあ?」ってなります。久しぶりに味わったんですが、思わずコーヒー吹きました。というわけで、ノーブルなのにヘンテコという特殊な楽しみ方をしたい方におすすめ(爆)。
ロジェヴェン盤は、3種類あるうちの最初のもの。みっち的には、ロジェヴェンのチャイ5は後の時代の録音ほどダメという結論になっています。テンポ設定などロジェヴェンの解釈自体は大きく変わらないのですが、オケのやる気と緊迫感が全然違います。モスクワ放送響のトランペットをはじめとした金管隊の爆裂ぶりはすさまじく、シビレます。デル=マー盤のところで指摘した金管の一撃などは、これぞロシアという迫力で有無を言わせません。木管の絡み具合も美しい。弦も実によく歌い、ピチカートがすごい。クラシックには珍しいぐらい録音がオンで、とくに冒頭はほとんど右側からしか音が聞こえない感じが、いかにもメロディア(爆)。ケンペ盤とはいろんな意味で対照的ですが、説得力は負けていません。というわけで、「東の横綱」でした。