マーク指揮/フィルハーモニカ・フンガリカによるシューベルトの「グレイト」交響曲
2015.06.27 Saturday
・シューベルト:交響曲第8番ハ長調 D944 「ザ・グレイト」
ペーター・マーク指揮、フィルハーモニア・フンガリカ
録音:1969年
(Documents 231557)
ペーター・マークによるシューベルトの交響曲全集5枚目。これで完結です。この曲が第7番だったり第9番だったりした経過については、もう省略f^^;。ここでは「グレイト」でいきます。
「グレイト」を最初に聴いたのは、ベーム/ベルリン・フィル盤だったと思います。あるいはミュンシュ/ボストン響だったかも。その後、ジュリーニ/シカゴ響やインマゼールの古楽器演奏に感心したりもあったんですが、ケンペ/ミュンヘン・フィル盤が再発され、これがみっちのイチオシになりました。シューベルトの交響曲ではよく聴いた方で、その限りではあまり変な演奏はないんじゃないかと思っています。ただし、繰り返しが多いのは苦手で、1990年代の日本フィルの定期演奏会で、広上淳一がスケルツォ主部を繰り返したのには閉口させられました。レコード壊れたかと(爆)。トリオ終わったらまた同じことやるのに、ここで繰り返すことないんじゃない? とアンケートに感想を書いた記憶があります。というわけで、スケルツォ主部を繰り返す演奏は、「地獄的」長さということで決定f^^;。
いきなり余談から入ってしまいましたが、この演奏、第1楽章のテンポ設定が独特です。序奏はアンダンテのはずですが、ほとんどラルゴ。このテンポで音楽を保てるのは、オケの実力があってこそでしょう。弦と管が香り高く歌い、おかげで実に雄大な風景が眼前に繰り広げられます。ブルックナーに近い世界。序奏後半からは、主部に向かって自然に加速する演奏(例:ケンペ)や、加速せずに主部も含めて拍動を一貫させる演奏(ジュリーニ)などがありますが、マークは別の道を行きます。テンポのまま悠然とすすみ、主部に入ったとたんにいきなり倍速突進という仕掛け。一歩間違えるとトンデモですが、切り替えが鮮やかで、オケもしっかりついて躍動しています。第2主題で落ち着き、ようやくふだん聞き慣れた?テンポになります。つまり、この楽章は序奏、第1主題、第2主題がそれぞれ異なるテンポの対比によって組み立てられています。コーダの終わりでは、序奏の巨人の歩みが戻ってきて締めくくります。こんな解釈、ほかにあるのかな?
びっくりするようなテンポの仕掛があるのは第1楽章だけで、第2楽章以降はいずれも端的な表現で聴かせます。第2楽章では木管と弦の繊細な音色変化が曲の長さを忘れさせてくれます。第3楽章では、弦の引き締まった強靭さもよいのですが、中間部では管弦がコクのある絡みあいで魅力的な歌をたっぷり聴かせてくれて出色の出来。フィルハーモニア・フンガリカの木管は、派手さはないのですが風情があります。ここだけでもこの全集を持つ意味があるかも。フィナーレでもアンサンブル精度が高く、ヴァイオリンの三連符の刻みが小気味よく音楽を沸き立たせます。かっちりした終結は満足感大。ちなみに、両端楽章ではソナタ形式提示部のリピートはありません。
ここからは全集としての感想です。マークのシューベルト交響曲全集は、ネット上ではほとんど話題になっていません。考えられる理由としては、マークが「巨匠」扱いされる以前の録音(1969年)であること、オケがマイナー(2001年に消滅してしまったらしい)であること、もともとマイナーなVOX音源であることに加えて、激安ボックスで知られるドキュメントによるリマスターがアヤシイと思われていること、でしょうか。しかし、マークの解釈は立派だし、フィルハーモニア・フンガリカは素晴らしいし、1960年代ステレオ初期の録音というのは各社が面目を賭けてやっているため70年代以降より実は高水準なことが多く、これもその例外ではありません。リマスタリングも全然OK。EMIのHSなんとかやARTとか、ああいう小細工はしておらず、自然かつクリアに聴けます。音質が悪いとかいってる人は、先入観で聴いているか、再生装置に問題があるのでは?
個人的に気に入ったのは、2番、4番、5番、7番「未完成」、8番「グレイト」で、先にも書きましたが、曲がよいほど演奏も充実しています。全集中、テンポでおやと思わせたのは、「グレイト」の第1楽章以外では第5番の第1楽章がありますが、いずれのアイデアも成功していると思います。ほかの全集を聴いていないので比較はできませんが、存在価値は十分です。
マーク指揮/フィルハーモニカ・フンガリカによるシューベルトの交響曲「未完成」ほか
2015.06.20 Saturday
・シューベルト:交響曲第7番ロ短調「未完成」 D759
・シューベルト:序曲変ロ長調 D470
・シューベルト:イタリア風序曲ハ長調 D591
ペーター・マーク指揮、フィルハーモニア・フンガリカ
録音:1969年
(Documents 231557)
ペーター・マークによるシューベルトの交響曲全集4枚目。「未完成」交響曲は新全集で番号が繰り上がっており、表記は「第7番」です。紛らわしいので、ここでは「未完成」で統一しましょう。
「未完成」の作曲は1822年、シューベルト25歳のとき。第1楽章と第2楽章のオーケストレーションが終わり、第3楽章のスケッチまで書いたところで放置されたという経過があります。中断の理由は不明で、今後もこれが真相というものが出てくる見込みはなさそう。ウィキペディアによると、シューベルトは完成していないにもかかわらず、この曲の第1楽章と第2楽章の楽譜をグラーツ楽友協会に送っています。もし評判が良くてリクエストがあれば完成させようと思っていたとか、そんな感じ? 中途半端で送られた方も困ると思うけどねf^^;、多作で、自分が書いた曲を忘れてしまうこともあったらしいシューベルトなので、とくに深い理由はないのかも。あれ、前回いっていることと違うぞ(爆)。
マーク指揮/フィルハーモニカ・フンガリカの演奏は、期待に違わないものでした。テンポ設定は遅くもなく速くもなく、中庸ですが、この曲ではとくに弦楽器の精度の高さを感じます。第1楽章冒頭の低弦や、第2主題のチェロなど、線がくっきりしていてとてもきれい。この曲のチェロを弾いたことがあるんですが、難しかったのでなおさら感心しました。シューベルトの交響曲において、低弦や金管(とくにホルン)がものをいうようになったのはこの曲からで、それまでは主要フレーズも含めてヴァイオリンか木管かどちらかしかなかったのが、ここにきて表現の幅が広がりました。第2楽章では木管のあえかな響きと、弦楽の嵐のような興奮の対比が見事です。ここでも低弦がそろっていて素晴らしい。金管はトランペットのビシャーンという感じの響きがドイツ的とはちょっと違うかもしれませんが、適度なスパイスになっています。
余白には序曲が二つ収録されています。シューベルトの序曲は『ロザムンデ』を除けばまず演奏されない気がします。1616年から1617年にかけての作品ということで、交響曲だと4番から5番あたりが時期的に相当します。変ロ長調の序曲は、長い序奏があります。出だしはなかなか雰囲気があるのですが、その後のドーーレミファソラシド、っていうオクターヴ上昇、そして下行する音型がいかにも定型的で陳腐な印象。主部に入ると、歌謡的な主題や転調、裏拍を強調した推移リズムにシューベルトらしさを感じます。が、表現意欲に対してまだオーケストレーションがついていっていないようで、モゴモゴはっきりしないところがあったりします。交響曲と比べると、録音の鮮度もいまひとつな気がするのはなぜなんでしょう? もうひとつのハ長調序曲は「イタリア風」となっており、やはり序奏がありますがこちらはコンパクト。主部はサルタレロぽい小気味いい音楽で、同じ音型を繰り返しながらクレッシェンドするところなどはロッシーニ風。こういう曲も書いていたんだ。演奏は、基本交響曲と同じですが、この種の音楽としてはヴァイオリンが強靭すぎるかもしれません。
なお、マークがこの全集を録音したのは1969年で、この時点ではまだ旧全集だったはず。旧7番は、録音されなかったんでしょうか? 作曲時期でいうと、第6番から「未完成」まで4年の空白があり、この間にシューベルトはホ長調の交響曲のスケッチを書いていました。これが旧全集では「第7番」とされていたというわけ。できれば、こっちも聴きたかったな。
LotRO:ビヨルンMolveのなんちゃってスキル考察その2
2015.06.10 Wednesday
今回は、ビヨルンMolveのLv.30時点でのトレイト(特性)ツリーを検証します。LotROのクラストレイトは各クラス3系統あり、ビヨルンでは青のHide(皮)がタンク、赤のClaw(爪)がDPS(アタッカー)、黄色のRoar(雄叫び)がCC(クラウドコントロール)という理解なんですが、具体的になにが違うかはよく知らないf^^;。一応、Molveはソロプレイの安定感を期待してClaw(青)を選んでいます。ふつうは赤なのかも。
トレイト(特性)ツリーは、レベル上昇にしたがって増加するポイントを各トレイトに振っていくわけですが、現状はよくわからないまま、とりあえず一通り振ったという感じ。この際なので、ひとつひとつちゃんと見てみましょう。ポイントは登録ずみでも、ゲーム内コインを払えば振り直しが可能です。
Lv.30では計13ポイントで、上から3段目までのトレイトが開いています。いちばん左側の列は、ポイント蓄積に従って自動的に開放されるスキルで、ここは選択の余地がありません。参加形態(課金モード)によっては開放されないケースもあると聞きました。
あと、トレイトツリーはもう一セット作れて、ソロ用、FS用などと使い分けできるはずですが、現在は当てがないため、ひとつしか作っていません。そのうち黄色でツリー構築したらどうなるかやってみてもいいかも。
<左列>
ポイント蓄積に従って自動的に開放されていくスキル群。いまのところ2つ開いています。
Guarded Attack(防御的攻撃) 単体攻撃に加えて、+2%物理軽減。人間モードでは、これとSlam(叩きつけ)、範囲攻撃のBiting Edgeがあれば、Slash(斬りつけ)はいらないかも。
Rake(熊手) ビヨルンのクマモード時の範囲攻撃スキルClaw Swipe(爪の猛打)にダメージ追加と持続ダメージ(2×12秒間)を加える。
<1段目>
左から順に3つ。
Vitality Increase(活力増強) Vitalityが上昇します。最高ランク5で+37 Vitalityとなっています。士気は高いほどいいので、これはマックスまで振って正解と思う。
Opposing Presence(対立する列?) 人間モードでの範囲攻撃スキルBiting Edge(噛み付く刃)を強化するトレイト。1ポイントにつき与ダメージが2%上昇します。最高ランク5では、ダメージ+10%に加えて強制タウント(ヘイト稼ぎ)が付きますが、クールダウンが+5秒になるのがどうかというところ。
Hardened Heart(固められた心) ビヨルンの自己ヒールスキルHearten(鼓舞)を使用後5秒間に、Wrath値を増加させるトレイト。げ、そうだったのか。アイコンのイメージで回復量が増すのかと思ってた(爆)。よく読まずにポイント振ったトレイトその1。
<2段目>
次の2つ。
Vigilant Roar(警戒の雄叫び) クマモードで、受けたダメージの15%を反射する攻撃スキルVigilant Roarの有効時間を延長するトレイト。このスキル自体をほとんど使っていなかったため、ありがたみがわからない……。よく読まずにポイント振ったトレイトその2。
In Harm's Way(危害の方法で?) うまく訳せませんが、仲間のダメージを肩代わりするスキルSacrifice(犠牲)を使うことで、ターゲットの脅威(ヘイト)をさらに稼ぐトレイト。FSタンク職用で、ソロでは意味がなかった! そもそも、SacrificeはLv.32で覚えるらしい(爆)。よく読まずにポイント振ったトレイトその3。
<3段目>
3つありますが、現状では真ん中のAll On The Lineは使えないため、アイコンが暗くなっています。
Weakening Blow(弱体化攻撃) 人間モード時の単体攻撃スキルSlam(叩きつけ)の強化トレイト。最高ランク5では、ダメージ+10%に加えて、敵の攻撃力-10%のデバフ(10秒間)が加わる。Slamはクールダウン3秒でバンバン使えるので、マックスまで上げた方がよさそう。
All On The Line(線上のすべて?) 2段目のIn Harm's Wayに3ポイント振っていることが前提のようです。Sacrificeによって肩代わりするダメージ量を増やしつつ、ダメージの転換割合を軽減するというもの。具体的には、仲間が受けたダメージ量の肩代わり対象分を30%増やし、転換割合は10%軽減する。きっと、仲間に優しく頼れるクマをめざす場合は、ぜひほしいスキルでしょう。でも、ほとんどソロだから(ーー;)。
Rending Blow(引き裂き攻撃) クマモード時の単体攻撃スキルを開放するトレイト。クマ形態の中でも威力が大きいので、できれば取っておきたい。
以上からすると、よく読まずに振ったHardened Heart、Vigilant Roar、In Harm's Wayの各トレイトはポイントなしにして、浮いた3ポイントをOpposing Presence(Biting Edge強化)かWeakening Blow(Slam強化)に回した方がよさそう。とはいえ、2段目までに10ポイント振らないと、3段目がアクティヴにならない仕組みになっており、Vitality Increaseを5、Opposing Presenceを4(5にするとクールダウンが長くなるのがイヤ)として、残り1をどれに振るかで悩む感じでしょうか。Wrathが増えやすいHardened Heartかなあ。