Search this site
お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第2番
・ブルックナー:交響曲第2番ハ短調

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

1997年7月26日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)


パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集の2枚目、第2番を聴きました。第1番も第2番も同じハ短調。とはいえ、間にヘ短調の0番があるみたいなので、作曲者本人に連続という意識はなかったのかも。ブルックナーに付きものの版・稿問題ですが、この第2番も種々あるみたいです。ジャケットには特記がありませんが、第1楽章の速度表示がモデラートで第2楽章と第3楽章が緩徐楽章 - スケルツォの順になっていることからすると、ノヴァーク版ということでいいのかな。

第1楽章、雪景色のような高弦の細かい3連符に乗って、チェロが第1主題を提示します。ラ♭・ソ・ソ♭という半音階下行がかっこいい。ブルックナーといえばそそり立つ断崖のような金管コラールとか巨人の岩石ぶつけ合いみたいな意味不明の(失礼)ゼクエンツなどがイメージとして思い浮かぶんですが、この曲はそういうドッカンドッカン(爆)はわりと控えめで、独自の「しっとり感」があります。というのも、各楽章の主題を含めて弦楽主体で進むんですよね。この第2番は、以前からジュリーニやシュタインなどが録音していて、ブルックナーの初期の交響曲としては音源に恵まれている方ですが、その理由はこれではないかな。しかし、第1楽章の提示部に主題が4つもあるのは盛りすぎでしょう。しかも多くは休止で区切られるので、必然性があまり感じられない。おかげでこの楽章だけで20分近くかかってしまうわけで、この曲についての評ではないかもしれませんが、ブラームスが「うわばみ」呼ばわりしたというのも、このあたりのバランス感覚(のなさ)ゆえかと。

第2楽章も長いですが、いつもながら和声進行が美しく、とくにホルンの第2主題は、全体に管楽器があまり前に出てこないこともあって印象的。コーダでは、ヴァイオリン・ソロも聴かれます。スケルツォ楽章も弦楽主体で、リズム音型は例によってダダダンダン、ダンダンダンという「法華の太鼓」。ブルックナーはこれが大好きみたい。みっちも嫌いじゃないけどf^^;。

フィナーレの提示部も第1楽章同様4つの部分からできているようです。第1主題、第2主題はいずれもヴァイオリンで、第3主題?は管楽器で盛り上がりますが第2主題の変奏のような気もする。ここでは、2拍子と3拍子が混在しており、いわゆるブルックナー・リズムのハシリという感じがしますが、同時並行的に鳴るのでゴチャゴチャ。後の曲の2+3のリズム分割の方がかっこいいですね。第4部分は弦の静かなコラール。コーダは短く、ハ長調への転調はかなり唐突に聞こえます。

音楽としてはまだこなれていませんが、上に挙げたような独自性と、後に繋がる部分がいろいろあって面白い曲ということはできます。演奏は、とてもいいと思います。弦はしっかりしているし、第4楽章の金管も雄渾で聴かせます。一方で木管があまり目立たないのは、曲のせいです、きっとf^^;。録音は、この2番がもっとも早い時期のものですが、録音年による差は感じられません。
posted by みっち | 16:57 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
ボナール「窓」
昔からボナールの絵が好きなんですが、実物は一度も見たことがありません。
このごろ家の中でもう1枚くらい絵があってもいいのではないかと思い、ネットで物色していたところ、「絵画販売ドットコム」を見つけました。ここの絵は写真やポスターではなく模写で、実際にキャンバスに人の手で描かれたものだそうです。
試しにと思って、ひとつ注文したのがこのボナールの「窓」。注文を受けてから制作するため、絵が届くまで3週間程度かかりますが、当初連絡のあった発送予定日内に届きました。

大きさはF4号。額縁は選べますが、おまかせにすると安いので、それにしました。送料込みで33,600円。実際に届いた絵は、額縁の縦がほぼ40cmで、これならもう一回り大きくても良かったかな。

さっそく居間の壁に飾ってみました。手描きならではの味があります。ただ、窓の外の風景の青がもうちょっと輝かしいといいんですが。本物を知らないのであくまでもイメージですが、「色彩の魔術師」ともいわれたボナールなら、実物はこの2割増し程度は鮮度が高いのではないかと思います。でも、その他構図や額装などには文句ありません。ほかにクリムトやムンク、佐伯祐三なんかもよさそうですね。クレーやミロもあるといいと思いますが、要望・問い合わせにも応じてくれるみたいなので、またそのうち考えようかな。
posted by みっち | 15:21 | お気楽妄想系 | comments(0) | trackbacks(0) |
北九響第114回定期演奏会
・モーツァルト:歌劇『皇帝ティートの慈悲』序曲 K.621
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
・シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105
・シベリウス:交響詩『フィンランディア』 作品26

指揮:新田ユリ
北九州交響楽団
2015年11月15日(日)、黒崎ひびしんホール


黒崎ひびしんホールはリハーサル室で練習したことはありましたが、大ホールでの定期演奏会は今回が初めて。定員が800名ほどで、北九州にある主なホールの大きさでいうと、ソレイユホールが最大で、リバーウォーク北九州芸術劇場や響ホールよりも小さく、ウェル戸畑とほぼ同じくらい? でも、ステージは奥行きがあり、弦楽プルトの多い北九響がちゃんと収まりましたf^^;。

ホールとしては残響少なめな印象。でも木材が多く使われていて、響の質そのものはよい雰囲気です。ステージ上で自分や周りの音が聞き取りやすい。乗り番がシベリウスのため、モーツァルトのリハーサル時に客席で聴いたのですが、1階の真ん中あたりよりも、むしろ3階の方が管楽器の音がよく届いてウェルバランスだと思いました。ただし、高所恐怖症でない方推奨(爆)。本番ではモーツァルトを舞台袖で聴きました。

『ティート』序曲は、この演奏会で初めて聴いた曲。『魔笛』と作曲時期がほぼかぶっているそうで、曲の出だしは交響曲第34番と同じとか。モーツァルトの交響曲でみっちが判別できるのは38番「プラハ」以降なので、そういわれてもへー、としかf^^;。引き締まって充実感のある演奏だったと思います。

40番のト短調交響曲は、冒頭のヴィオラがよかったと思います。刻みに命かけてる感じが伝わりましたf^^;。全体に端正で格調高い解釈だと思いましたが、第4楽章の提示部と展開部以降をそれぞれリピートしたのは珍しいんじゃないでしょうか。おかげで、後半のプログラムより時間が長くなったかも。編成は、チェロ5プルトでもまだ多かったか? この時代の曲はコンバスとオクターブで同じ動きなので、さすがにちょっと重苦しかったかもしれません。

さてシベリウスです。始まってすぐ、これまでの練習とは違う、彫りの深さとでもいいたいような響きが出ていたと思います。この一体感を崩しちゃいけないと緊張した。弦楽合奏によるコラールから高まって、例のトロンボーン・ソロになりますが、ここが素晴らしかった! レセプションでも「神が舞い降りた」とか「シベリウスが吹いてる」(トロンボーン吹けるのかシベリウス!)とかいわれていましたが、新田先生から「ブラビッシモ」、「これまで振ってきた中で最高のトロンボーン」と激賞されました。雄々しく、かといってこれ見よがしでなく、一言で言えば「男は黙ってサッポロビール」(古いぞ)。ここ聴くだけでもこの演奏会の価値があったと思います。何度か出てくるトロンボーンのこの旋律、なぜか最後の最後でホルンに取って代わられることを新田先生から教えられて、おおそうなのか! 新田先生によると、シベリウスはクラリネットとホルンをひいきしているそうで、この二つのパートは非常に重要とのことです。レセプションでくだんのトロンボーンの方と話ができたのですが、すごく謙遜していて、最後のホルンでは、子供が独り立ちするのを見るような感覚だったそうです。泣ける! みっちは最後から4小節前で低いドを弾いてる間に音楽のあまりの素晴らしさにちょっと放心してしまい、残り2小節のシ―ドをあわてて気合い入れ直しました。個人的には聴きすぎたところがあって、まずかったんですが、自分も客席で聴いてみたかったなあと思える演奏でした。

『フィンランディア』では、金管隊が冒頭から心臓わしづかみ。中間部の有名なメロディーは、練習で「チェロの音量5割増しで」といわれ、mfの指定を無視して、顔を上げてめいっぱい弾きました。今回、アンコールは予定されてなかったのですが、本番前にやるとしたらこの曲の中間部前からといわれ、実際もう一度演奏することになりました。モーツァルトのリピートと合わせたんでしょうか? もう最後だからと思って、中間部はフォルティッシモだ(爆)。

次回、第115回定期はソレイユホールで、曲目は芥川也寸志『交響管弦楽のための音楽』、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、同じく交響曲第4番です。お楽しみに!
posted by みっち | 22:27 | cello | comments(2) | trackbacks(0) |
本番一週間前
日曜日、八幡市民会館でシベリウスの指揮者練習がありました。

『フィンランディア』はかなりいい感じに仕上がっていて、新田先生からお褒めの言葉をいただいたんですが、とくに前半コラール部分での「さらにいえば」という詰めがあり、これが非常に濃かった。チェロへの指摘は中間の例のあの旋律でf^^;、ここはヴァイオリンとのユニゾンですが、むしろ低音の方が重要とのこと。もっと右腕の重みをかけるよう、また楽譜を見ずに顔を上げて演奏するようにいわれました。そうですよね、ここで楽譜と首っ引きはまずい。

7番は、いいところとまだちょっとというところがあるそうで、いいところはだいたい金管部隊の活躍シーンで、ステージでもホントほれぼれするような響きです。まだちょっとなのは、自分です、はい。まだ速いところであたふたしてしまっています。中間のシベリウスお約束ともいえるウネウネウネウネ(爆)は、だいぶ流れにはまるようになってきたんですが、ラスト近くにもうひとつあるウネウネが問題。こっちは出のタイミングが難しく、パート譜が手書き仕様になっていることもあって音価が視覚的に把握しづらいし、おまけに4分休符のマークが違う形だったり、♯の横棒が突き出てなくて♮との違いがわかりにくかったりするんですよ(ーー;)。このため、各自譜割をパート譜に書き込んでタイミングを合わせるように指示されました。あと一週間、がんばります。

ところで、練習会場の八幡市民会館は取り壊しが決まっており、北九響としてはおそらく今回が最後になります。1958年建築で、建築家・村野藤吾の設計になる建物は、外観や2階に広いテラスがあるなど特徴的で、この日も写真を撮影している人がいました。文化財的価値がありそうでもったいないけど、すぐ近くに響ホールがあり、新しく黒崎ひびしんホールもできたので、存続させるのは難しいんでしょう。というわけで、これが見納めになりそう。なお、北九州市内の市民会館はあと門司と若松にあり、門司も一時は危ぶまれましたが最近改修されたので当分は大丈夫でしょう。若松はどうなるかな?
posted by みっち | 23:11 | cello | comments(0) | trackbacks(0) |
日本ブルックナー交響楽団コンサート
日本ブルックナー交響楽団 第1回ベルリン「聖ニコライ教会」公演 帰国報告コンサート

・ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調
・シューマン:交響曲第3番変ホ長調 作品97「ライン」(ジュリーニ版)

長野力哉指揮、日本ブルックナー交響楽団

2015年11月7日(土)、北九州市立響ホール


今年2月、ベルリンの教会でブルックナーの5番を演奏するために編成されたオーケストラの帰国報告コンサートということで、行ってきました。長野先生は北九響とは長いお付き合いで、このオケにも北九響のメンバーがかなり(3割くらい?)入っています。

どっちの曲も演奏したことがあり、とくにブル5の大変さはよくわかっているつもりf^^;。今回は、弦楽が少なめでした。第1ヴァイオリンから順に、8-8-7-6-3だったように思います。北九響のときの半分くらいか(爆)。響ホールはあまり広くないため、ステージに乗った感じはこれぐらいがちょうど良さそう。

ブルックナーは、弦の少なさを感じさせない、充実した演奏でした。長い曲なので、いちいちは触れないことにf^^;。ステージに向かって右側の客席で聴いていたこともあり、コンバスがうまいなあと感心。金管隊も大活躍でしたが、トランペットがやや抑え気味で重心の低い響きになっていたのは長野先生好みでしょう。とくにバス・トロンボーンが大変な威力を発揮してくれていました。ブルックナーの場合、ホルンもがんばってほしいんですが、ラッパの口が後ろ向きなので、不利ですよねf^^;。

約80分のブル5のあとにシューマンの「ライン」というヘヴィーな演目でしたが、これがまたよかった。ホールのサイズとしては、こちらの方が合っていたように思います。「ジュリーニ版」ということですが、ジュリーニはマーラー版じゃなかったっけ? 今回聴いた限りでは、部分的に響きが増強されていたところがあった気がしますが、オリジナルとの違いでそれほど目立つものはなかったように感じました。滔々と流れるような第1楽章はとくに良かった。第2楽章後半でぐっと腰を落とすあたりはロマンティックでした。第3楽章はちょっとせかせかしたかな? 第4楽章では、終わりの金管の鐘の音のようなフレーズを最初はmfぐらいで、2回めはffで吹かせていたのが特徴的。フィナーレは第1楽章と呼応するようなテンポ設定で、スケール感がありました。この曲では、チェロもっと前に出てよかったんじゃないかと思います。

あまり宣伝に力が入ってなかったようで、客席は1階席左右にかなり空席が目立ちました。これだけの演奏が1,000円で聴けるというのに、もったいない限り。
posted by みっち | 22:35 | 近況 | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第1番
・ブルックナー:交響曲第1番ハ短調

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

2004年7月10日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)


パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集の1枚目に戻って第1番を聴きました。

ブルックナーの交響曲には面倒な版・稿の問題があり、前回のエントリでブルックナーは一つの交響曲を11回書いたとかいいましたが、20回以上に増やさないといけないかも(爆)。この曲でも比較的早い時期の「リンツ稿」と後年の「ウィーン稿」でかなり違いがあるようです。細かく言い出すともっといろいろあるみたいですが、このCDにはなにもクレジットされていません。とりあえず深入りしないでおこう。

第1楽章は行進曲調で始まります。弦の刻みがマーラーの6番を思わせますが、作曲はこっちの方が早い。第1主題と第2主題は明確で、0番のような「主題不在」を感じさせません。しかし、そのあとの小結尾で???となります。いわゆるブルックナー・ゼクエンツで上がったり下がったり、ウィキペディアのこの曲の記事によると第3主題があるそうですが、みっちは4回聴いてもどれが主題かわかりませんでした(爆)。フルートのひらひらした音型が長く続くところは、まだここ提示部でいいんですよね。ここは後の8番の第1楽章展開部終わりのフルートを思わせます。コーダ直前あたりで、チェロソロ?(チェロとしては高音なのでヴィオラかも)があるのが珍しい。ブルックナーで弦楽器のソロはあまり聞いたことがないですね。終わりは第1主題の反行形?でかなりしつこい。

第2楽章は、中間部分のオーボエ主題だけはわかりますが、あとは……f^^;。構成的には、明るく転調して壮麗に盛り上がるところがおそらく第2主題部だろうということはわかるんですけど、メロディーは行方不明。スケルツォは、9番の「法華の太鼓」を思わせるもので、中間部の転調の妙はいかにもブルックナー的。

フィナーレでは突撃ラッパ風の第1主題が明確で、第2主題もわかりやすい。コーダは充実しており、あっちから登りこっちから攻めと、5番や8番を思わせるような盛り上がりを見せます。にもかかわらず、ラストを締めくくる第1主題がなんかいまひとつ決まってない感じがするのは、演奏のせいではなく、そういう曲だということでしょう。ちなみに、考えてみたらブルックナーの交響曲のラストって、どれも第4楽章あるいは第1楽章の第1主題のユニゾンのような気がしてきたけど、これ全曲同じパターン?

ほかの演奏を知らないので比較できませんが、たっぷり目のテンポはおそらく残響の長い聖堂の響きを活かしたもので、オーケストラはよく鳴っており、かつ分離もよく、この曲を知るには十分以上かと。会場ノイズは楽章間にちょっと聞こえるぐらい。一切ないのも不自然ですしね。第4楽章の終わりには長い拍手が入っています。
posted by みっち | 22:21 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |