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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

「スター・ウォーズ」のスピン・オフシリーズ第1作。わが家のエントっ子と2D字幕版を鑑賞。エピソード4の10分前につながる外伝ということはわかっていたので、ストーリー自体はある程度予想できたし、そんなに大きな期待をしていたわけではなかったのですが、予想外の収穫というか、正直スター・ウォーズで泣かされるとは思ってもいませんでした。

 

「正史」のような華やかなファンファーレによる導入や画面上部に流れてゆく物語の字幕ロールはありません。が、冒頭「遠い昔、はるか彼方の銀河系で……」が示され、スター・ウォーズであることの証となっています。シリーズでおなじみの面々も登場します。反乱軍側はベイル・オーガナやお魚提督(爆)など。帝国側は、皇帝は出てきませんが、ダース・ベイダーは終わり近くで猛威を揮ってくれます。驚かされるのはターキン提督で、ピーター・カッシングが亡くなっているため顔だけCG吹き替えで処理しているようですが、それもあってか冷徹っぷりがハンパなく怖いです。ラストのレイア姫もある意味怖い(爆)ですが、これも同じ手法かな?

 

しかし、この映画の中心となるのは、デス・スター開発者の娘ジン、反乱軍の隊長キャシアン、キャシアンの相棒ロボットK-2、ジンの父親の意を汲んで帝国軍から脱走したボーディー、惑星ジェダでジェダイ寺院の守護者だったチアルートとベイズ、計5人と1体。「ローグ(ならず者)」としてくくられる無名の彼らとその仲間たちの決死の行動が、銀河の運命を左右する「希望」をつなぐ。と書いただけで泣けてくるf^^;。人物紹介はかなり描き込んであり、誰が誰だかわからなくなるようなことはないと思います。むしろこれらの紹介シーンのおかげで、スター・ウォーズ世界を満喫できるといってもいいでしょう。

 

戦闘シーンも目を見張らされます。Xファイターの果敢な攻撃はこれまで以上にかっこいい。帝国軍側もわらわら出てきたとたんに一斉射撃で倒されるストーム・トルーパーたち(爆)をはじめ、68? 65? 忘れたけど雲霞のように飛び立つタイ・ファイターの迎撃シーンなども素晴らしい。反乱軍の戦法は、ワープからいきなりの奇襲といういつものパターンで、次第に帝国軍に数で押されるという展開は「お約束」なんですが、今回は当初から想定していた作戦ではなく成り行きだったり、戦いそのものが直接の成果ではないこともあり、なにかと意味深くスリリング。一体どうなるのかと手に汗握らされ、その末のスター・デストロイヤーの撃破シーンは、会場で拍手が起こったほど。デス・スターの破壊力ももちろん凄まじいのですが、今回はこれでも抑えめということで、余力を残した分よけいに迫力があります。

 

監督があの『GODZILLA ゴジラ』で「ハリウッドの本気」とやらを見せつけたギャレス・エドワーズということで、観たいような観たくないような、ぶっちゃけテレビ放送でいいいんじゃね?とか思っていましたが、いやいやいやいや、おみそれしました! 個人的にはシリーズ最高といってよい出来でした。なお、今回も「T15が退役らしいぞ」、「いまさらだよな」みたいな雑談を交わすトルーパーがいましたが、だれかのカメオ出演?

posted by みっち | 23:19 | たまに観る映画 | comments(0) | trackbacks(0) |
『真田丸』終了

NHK大河『真田丸』が終わりました。日曜日に家族で外出していたので、最終回は録画したのですが、家にいるときは毎週家族で観ました。全話通じて観た大河ドラマは、『軍師官兵衛』以来。その前は『新選組!』、ってこれも三谷幸喜じゃん(爆)。

 

三谷幸喜の脚本は基本コメディタッチで、『真田丸』もその例に漏れません。毎回どこかで笑わせてくれました。拒否反応を示す人もいると思いますが、みっちは不謹慎大好き人間なもので。史実を踏まえつつも登場人物を巧妙に配置し、あるいはこんな出会いややりとりがあったかも、と思わせるのは山田風太郎の明治ものにも似た面白さでした。

 

また、登場人物それぞれが愛情をもって描かれていました。例を挙げるとキリがないのですが、ひとつだけ。わが家のエントっ子は、北条氏直の「やめた」(昌幸の献策に逆らうシーン)という台詞とその言い方を気に入って、よくマネしていました。いや、そこぉぉぉぉっ?っていわないで(爆)。『真田丸』でなければできなかったのではないかと思える人物像が示され、観る側はもちろん、演じる側としても刺激的だったんじゃないかと。こういうのは、ただドラマをやるという「仕事」を超えて、一つの世界というか人生を生きたような特別な経験として残りそう。PJの『ホビット』を思い出しました。

 

総じて好演でしたが、もっとも記憶に残ったのは、やはり真田昌幸を演じた草刈正雄でしょう。「表裏比興の者」といわれた食わせ者っぷりが素晴らしかった。初回を見た感想にも書きましたが、この人が出てくるだけで画面が引き締まる。草刈は『真田太平記』では幸村を演じていましたから、堺雅人もいつか昌幸を演じる機会がくるかもしれませんね。あと、茶々(淀殿)を演じた竹内結子。とてもきれいで、最後の幸村とのシーンの情熱的で切ない眼差しがとくに印象的でした。本当に秀頼と源二郎の3人で暮らしたかったんだろうなあ、と。ま、これは彼女についてのマイナスイメージの大半を大蔵卿局が代わりに引き受けてくれたのと、劇場版『真田十勇士』のミスキャストの反動もありますf^^;。

 

有働アナのナレーションは、最初は上滑りしていましたが、その後しばらくして落ち着き、声が低くなってぐっとよくなりました。「ナレ死」すっかり有名になりましたねf^^;。最終回では佐久間象山について触れていました。「それはまた別の話」は『王様のレストラン』でおなじみのネタでしたが、これ、石坂浩二演じる象山が近藤勇、土方歳三、坂本龍馬、桂小五郎を連れて、浦賀に黒船を見に行く『新選組!』の第1回シーンにつながっているわけです。

 

不満点を挙げれば、やはりスペクタクル要素に欠けるということでしょう。最終回は主に野戦シーンだったわけですが、ここでもやはり舞台的な演出になっていて、スケール感がない。まあ、これは三谷ドラマに期待するのが間違いかもしれませんが。

posted by みっち | 18:40 | お気楽妄想系 | comments(0) | trackbacks(0) |
チッコリーニのドビュッシー:ピアノ曲全集(その1)

・版画(「塔」、「グラナダの夕べ」、「雨の庭」)
・映像 第1集(「水に映る影」、「ラモー賛歌」、「動き」)
・映像 第2集(「葉ずえを渡る鐘」、「荒れた寺にかかる月」、「金色の魚」)
・忘れられた映像(「レント」、「ルーヴルの思い出」、「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」)
・バラード
・ロマンティックなワルツ
・夢

 

アルド・チッコリーニ(ピアノ)
(EMI CLASSICS 7243 5 73813 2 1 1991年録音)

 

聴いたはずだけど、流したか「ながら聴き」だったかであまりよく覚えていないボックスということで、これいきます。チッコリーニによる、ドビュッシーのピアノ曲全集5枚組。有名曲がけっこうあるドビュッシーのピアノ作品ですが、全集という形ではあまり出ていないのでは? このボックスを買ったのも、これ一発ですべてそろって面倒がなさそう、という単純な動機からでした。ドビュッシーはそれほど聴いておらず、ミケランジェリやベロフ、あとツィメルマンぐらい。もともとそんなにピアノ曲を聴かないので、こだわりもありませんでした。

 

アルド・チッコリーニは1925年生まれ。2015年に89歳で亡くなっています。このボックスは1991年、チッコリーニ66歳の時の録音。かつてはサティを弾いたアルバムが評判で、サティがいけるならドビュッシーも面白く演奏しているんじゃないかという期待がありました。また、チッコリーニは晩年にファツィオーリのピアノを好んでいたことでも知られていますが、このボックスでは使用ピアノについてのクレジットはありません。ファツィオーリに出会う前なのかも。

 

CD1枚目は全15曲で、収録時間約75分。これは後半まで集中力が続かないのも仕方ないf^^;。今回は通し聴きだけでなく、タイトルごととか後半のみとかまんべんなく耳を傾けたつもり。この全集で初めて聴いたタイトルもけっこうあり、1枚目でも半分ぐらいは知らない曲でした。ちなみに、ウィキペディアによると『忘れられた映像』第2曲「ルーヴルの思い出」は『ピアノのために』の第2曲「サラバンド」に、第3曲「嫌な天気だから『もう森へは行かない』の諸相」は、『版画』第3曲「雨の庭」にそれぞれ改作されているそうです。この曲集が出版されなかった理由はこれかもしれません。とはいえ、「雨の庭」とその元ネタの両方を聴いた限りでは、ほとんど別の曲といっていいくらいのものになっています。

 

演奏は、曲調を十分に汲んだもので美しい。みっちがこれまで聴いた演奏と比較すると、ベロフの直接的な明快さやミケランジェリの透徹した音色へのこだわりとも違い、柔らかいタッチでドビュッシーの印象派風な特徴を前面に打ち出しているように感じます。ただし、そのために中音重視というのか、高音の華やかさやドスのきいた低音みたいな刺激的な表現は意図的に抑制されている印象があります。これがチッコリーニ独特のスタイルなのか、それともそういう曲だからなのかまではちょっと判断が難しいですが、例えば『夢』1曲だけ聴けば非常に練られて完成された演奏ですが、他の曲も通して聴くとやや単調になってしまうきらいがあるのかな、と。録音は暖色系でとくに不満なし。EMIらしい音といってよいかと。

 

なお、このボックスのパッケージングはスペースユーティリティに難ありです。紙箱に2枚組と3枚組のプラケースが収められていますが、紙ジャケなら10枚以上は楽に入る厚さ。箱のデザインもやっつけ仕事だし、もうちょっと商品として魅力ある外装を考えてほしい。

posted by みっち | 23:16 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
チェロ用エンドピン「カルテット」

久しぶりにチェログッズの紹介です。vcyoyoこと見附精機工業さんのエンドピン「カルテット」。みっちは見附さんの製作になるエンドピンをこれまで3種類持っており、これで4本目。楽器にもともと付いていた鉄製エンドピンを含めると5本。なんだかエンドピンコレクターみたいになりつつあります(爆)。

 

真鍮、チタン、タングステン、カーボンと4種類の素材を使っていることが「カルテット」の由来でしょう。見附さんのエンドピンは複数素材のハイブリッド方式が大きな特徴ですが、3重構造の「トリプルブリランテ」以外は2重構造で、4重は初。ふつう直径8mmのエンドピンを4重構造にするのは、素人考えでもかなり大変そうです。「カルテット」では、エンドピンの上部と下部でハイブリッドの構造が分かれています。具体的には、エンドピンの先の方が真鍮・チタン・タングステンのハイブリッド「トリプルブリランテ」、元の方が真鍮・カーボンのハイブリッドです。外側は真鍮なので見た目は同じですが、端部の断面で構造の違いが確認できます。また、エンドピンの中心あたりを持つと、元よりも先端が重い。

 

実は以前、「トリプルブリランテ」を持っていたみっちは、タングステンの中にカーボンを挿入するか、またはその逆はどうかと見附さんに提案したことがあります。このときは技術的に無理というお返事だったのですが、その後、見附さんは上記のような方法でカーボンを合わせることを実現されていたということですね。

 

結論を言えば、これはいい! 「トリプルブリランテ」と比べて音色が明るく、金属素材で増幅された感じが薄まりました。楽器本来の音としてよく鳴っているという印象。カーボンの素直な伸びと「トリプルブリランテ」の力強さを兼ね備えているといえます。弾き味についてもかなり違います。この2年ぐらいはずっと「トリプルブリランテ」を使っていたのですが、パワフルさが得られる代わりに手応えが重く、右手も左手も負担感があったのが消えました。とくにD線とG線がこもらず、ストレスなく弾けます。

 

あと、タングステンを使っていながら軽量なことも特筆できます。これより軽いのはカーボンのみぐらい(カーボンのみの場合はエンドピン付いてるのかどうか怪しいくらいf^^;)で、タングステン不使用の「真鍮・チタン」ハイブリッドや元の鉄製よりも軽い。持ち運びも含めてぐっと楽になりました。

 

というわけで、あらためて手持ちのエンドピンの印象を以下に書き出してみました。もちろん、使用する楽器によって印象は変わるかもしれません。あくまでみっちの楽器(一応フランス製オールドだが、クーサンという製作者のラベルは当てにならないとかf^^;)で弾くとこう感じたということなので、この点ご了承ください。

 

1.鉄製
もともとの楽器に付いていたエンドピン。中心が空洞の管タイプもあるようですが、これは詰まっていて、それなりに重い。これがダメということではない。ただ、以下のエンドピンと比べると、あえて選ぶべき特徴に欠ける気はします。同じ鉄でも配合素材や仕上げ次第では印象が変わるかもしれません。

 

2.カーボン
軽くすっきりして伸びやか。素の音という感じ。弾きやすく、軽量という点では最高で、持ち運びにはとてもよい。ただし低音はあまり出ない(これは楽器の特徴かも)。木造建築ではいまひとつ物足りないが、教会など残響の多い空間ではむしろ適度な響きになって活躍するのでは?

 

3.真鍮・チタンのハイブリッド
高音が輝かしく、中音が柔らかい。おそらくチタンが高音、真鍮が中音の響きを増幅しているものと思われる。低音はあまり伸びないので、ポップスなど軽めの曲目が適していそう。

 

4.真鍮・チタン・タングステンのハイブリッド「トリプルブリランテ」
真鍮・チタンのハイブリッドに、低音の力強さが加わっている。全体にパワフルで、表出力では随一。独奏用や重低音を強調したいときは頼りになります。ただし重量・弾き味ともにヘヴィー。

 

5.真鍮・チタン・タングステン・カーボンのハイブリッド「カルテット」
カーボンの軽快さと「トリプルブリランテ」の表現力が合わさってウェル・バランス。「ブリランテに対してカンタービレ」という例えはうなずける。重量はカーボンに近く、弾き味、持ち運びともに良好。

 

見附さんのところでは、あと太いカーボン・エンドピンもあります。長さが30cm固定で、楽器本体には収納できないため、ふつうのエンドピン同様には使えませんが、カーボンの素性の良さは感じているところだし、見た目にも高級感があってよさそうなんですよね。これもいつか試してみたい。

posted by みっち | 21:40 | cello | comments(0) | trackbacks(0) |
パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー:交響曲第9番

・ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

 

ロベルト・パーテルノストロ指揮、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

 

2005年7月23日、ヴァインガルテン大聖堂での録音
(DOCUMENTS 232766A-K 11CD)

 

パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナーの交響曲全集から第9番を聴きました。パッケージとしては最後にある0番と『テ・デウム』を最初に採り上げたので、このボックス最後の曲となります。

 

これまでもさんざん書いてきたのでおわかりでしょうが、残響の長い聖堂でのライヴ演奏・録音ということで、第9番でもその特徴がしっかり現れています。例えば第1楽章では、テンポも残響の長さを考えてのことか、かなりゆっくり目。本来もっと厳しい音楽ではないかという気がしますが、アタックが丸く、余韻が長いために穏やかさというか暖かさがより感じられます。ただし、この楽章の展開部後半あるいは第1主題再現部(両方が重なっている)では、いつも着実なパーテルノストロには珍しく急いだ感じの部分があります。楽譜の指定かもしれません。

 

第2楽章は、出ました「法華の太鼓」! カトリックと日蓮宗の共通点がこれ(爆)。それはともかく、バババンバン・バンバンバンって、たしか2番までのスケルツォ楽章にも現れるリズムパターンですが、最晩年に至ると彫りの深さが全然違いますね。しかも、途中に1拍多く入ってリズムがずれていくような魔術的な芸の細かさも見逃せない。主部のB部分や中間部ではブルックナーならではの諧謔味が秀逸。ここでも当たりが柔らかめで、従来のイメージを覆すような雰囲気があります。これはこれで、存在価値が高いのではなかろうか。

 

第3楽章も同じ傾向。ゆっくりしたテンポは、この会場ではぴったりでしょう。神の啓示を示すような輝きやクライマックスの箇所でも威嚇的・威圧的でなく、響きがまろやかです。そういうわけで、岩石がぶつかり合い砕け散るような厳しい表現に慣れている人には、なよっとしたヤワな演奏に聞えるかもしれませんが、反面、曲の美しさをここまで端的に示した演奏もそうないと思います。

 

さて、今回のエントリをもって、みっちの「積ん読」CDはすべて解消されました。ここまで長かったf^^;。手持ちCDにすべて耳を通すことができたので、これで心置きなく次のCDを買える、といいたいところですが、楽器を弾くようになってからCDを聴く時間が激減しており、今後もめったに買わないと思います。とりあえず、一度は聴いたはずけど、ざっと流しただけだったようなボックスがひとつ頭に浮かんでいるので、次はそれを採り上げようかと思っています。

posted by みっち | 12:00 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
レクイエム in 北九州 2016

・バッハ:「目覚めよと呼ぶ声あり」 BWV645
・バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV547
・モーツァルト:ジーク ト長調「ライプツィヒ・ジーク」 K.574
・モーツァルト:自動オルガンのためのアンダンテ ヘ長調 K.616
・ポンキエッリ:歌劇『ジョコンダ』より「時の踊り」
・バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より「シャコンヌ」
・モーツァルト:レクイエム K.626

 

山口綾規(パイプオルガン)、中村太地(ヴァイオリン独奏)
長野力哉(指揮)、中山敦(合唱指揮)
白川深雪(ソプラノ)、八木寿子(アルト)、中村弘人(テノール)、加耒徹(バス)
北九州REQUIEM混声合唱団、北九州REQUIEM管弦楽団

 

2016年12月4日(日)、アルモニーサンク北九州ソレイユホール

 

昨年から始まったモツレク演奏会、妻がアルトで合唱に参加するので聴きに行きました。今回は2,000人収容という大きなソレイユホールですが、両側にやや空席があったくらいで、そこそこ入っていました。主催者も一安心だったでしょう。

 

プログラム前半は、ホールに備え付けのパイプオルガンによる演奏と、北九州出身の若手ヴァイオリニスト、中村太地によるバッハの「シャコンヌ」。オルガンはバッハ2曲、モーツァルト2曲、最後にポンキエルリ「時の踊り」と、選曲の良さが光りました。モーツァルトのオルガン曲がチャーミングで、もっと弾かれる機会があっていいと思いました。「シャコンヌ」は、音の端から端まで神経の行き届いた、彼らしく聴かせる演奏でした。この曲はどうしたって演奏家の渾身ともいうべきものになりますよね。にもかかわらず、演奏中みっちの後ろの方からスマホのゲーム音楽らしいものが流れてきたのはどういうこと? 着信音もどこかで鳴っていたし、この人たちいったいなにをしに来ているんでしょうか? 太地くんは、この後レクイエムでも第2ヴァイオリンに加わっていました。

 

後半はレクイエム。2年目となり、長野先生の解釈もより徹底されてきている印象を受けました。「ディエス・イレ」よりもその後の「レックス・トレメンデ」に力点が置かれていたり、最後に冒頭部分が戻ってくる手前でぐっとテンポを落として効果を高めていました。独唱・合唱ともよかったです。とくに女声独唱の二人はみっちが知る限り最高の人選で、実に素晴らしい。反面、ホールが大きくなったこともあり、オケの音量がいまひとつだった気がします。バランス的に合唱にマスクされがちでした。歌メインなのだからそれでいいという判断もあるでしょうが、合唱と同じに動いている部分はそれでもいいとしても、独自の部分はもう少し編成を増やしてでも引き立ててほしいかな、と。アンコールは独唱者も合唱に加わっての定番「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。こちらは歌とオケとのバランスがよかった。

 

来年もあるらしいのですが、やっぱりモツレクなんですかねえ。違う作曲家のレクイエムもたまにはいいんじゃないかなあ……。

posted by みっち | 23:41 | 近況 | comments(0) | trackbacks(0) |
映画『オケ老人!』

荒木源の原作小説は以前に読んでいて、エントリしています。原作にあったサスペンス要素は映画ではすっぱりカットされました。これは原作でもいらないのでは?と感じていた部分なので、正解だと思います。その分、主人公が女性(杏)となり、高校の同僚(坂口健太郎)との恋愛要素がプラスされています。これもいらないのでは?とも思いますが、あくまでスパイス扱いなのでさほど邪魔にはなりません。

 

映画全体を通じて音楽の素晴らしさ、アマチュアで音楽をやっている人たちへの応援歌というコンセプトがわかりやすく打ち出されており、とくにみっちみたいに大人になって楽器を始めたレイトスターターにとっては有り難い。ヘタでも努力して結果につなげていく過程は素直に泣けます。梅響演奏会で暗闇での『威風堂々』というクライマックスの置き方もよかった。

 

配役では、主演の杏が体当たりの熱演でした。ヴァイオリンを弾く手がこわばっていて、弓もちょっと乱れすぎでしたが、これも入団オーディションというプレッシャーのなせる技ということでf^^;。野々村役の笹野高史も文句なし。ヴァイオリンの弾き方はむしろこちらの方が堂に入ってました。「小さな巨人」ことロンバール役のフィリップ・エマールもよかった。この人はパフォーマーだそうです。指揮するシーンはないけど、ニンジンシーンがさすが。映画でこの3人の存在は非常に大きいので、彼らの好演は重要でした。あと、黒島結菜かわいいです。「ごめんね青春」以来のファンです(爆)。

 

とはいえ、注文付けたいところもあるにはあるf^^;。原作にあったコメディー要素は映画にもありますが、映像だとそれほど笑えません。これと関係しますが、オケ老人たちの掘り下げ方が足りません。野々村以外のメンバーがどういう人生を歩んでいて、なぜ音楽をやっているのか、全然わかりません。少しでもそういう場面があれば、より共感できたでしょう。藤田弓子や小松政夫とか使っているのにもったいない。さらにいえば、後半でオケのメンバーが急速に増えていくんですが、この過程はもう少し丁寧に描くべきです。意地悪な見方をすると、演奏会の成功は彼らのおかげともいえるわけで。例えば、梅フィルも楽器もやめた人たちがぞくぞく志願してきたとかあればもっと面白くなったはず。もうひとつ。梅響演奏会のメインプログラムは『威風堂々』ではなくベトベン「田園」なのに、プログラム決めの場面でも触れないだけでなく、「田園」の音楽も演奏シーンもまったく使われません。エンドロールで演奏会後に号泣した大沢(カークランド光石研)が野々村と和解するシーンが映っていますが、ここは『威風堂々』より「田園」のフィナーレの方がよほどふさわしいんじゃないの?

 

というわけで、多少の不満や『のだめカンタービレ』と印象がかぶる点もありますが、爽やかな音楽映画として、見て損はないと思います。

posted by みっち | 12:18 | たまに観る映画 | comments(0) | trackbacks(0) |