・マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(「花の章」付き)
ミヒャエル・ハラース指揮、ポーランド国立放送交響楽団
1993年12月11-14日録音
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)
ヴィト指揮ワルシャワ・フィルのブラームス『ドイツ・レクイエム』がとてもよかったことは先日エントリしました。それでヴィトのマーラーも聴きたくなりました。アマゾンで物色していると、ナクソスに全集ボックスがあるのに気がついて、15枚セットで6千円ぐらいならバラ買いするよりずっとお得、というわけでポチリました。これで、みっち手持ちのマーラー全集はスヴェトラーノフ盤に次いで2つ目f^^;。
見ると、オケはポーランド国立放送響で共通ですが、指揮者は3人。1、7、9番をハラース、10番の補筆完成版をオルソン、残りをヴィトが指揮しています。『大地の歌』は入っていません。この割り振りはどういう意図なのか不明ですが、とりあえず順番に聴いていくことにします。というわけで、まずは1番から。
マーラーの1番でみっちがいちばんよく聴いた演奏は、ナヌート指揮リュブリャナ響だったりします。はい、ホルヴァートの「復活」ライヴとセットで売られていたアレですf^^;。「復活」は曲が好きじゃなくて、「巨人」が気に入ってました。録音が良く、演奏も手作りの味がします。ま、この曲に関しては、だれが振ってもそんなに変なのはないだろうと思っています。
ハラースはハンガリーの指揮者らしい。ウィキペディアにはファゴット奏者出身だと書いてあります。ハンガリーの指揮者やオケというと、弦がキッチキチのイメージがありますが、ここでもある程度その傾向はあり、ヴァイオリンがよくそろっていてパワーもあります。テンポはあまり動かすタイプではないようで、全体に恰幅の良い演奏。第1楽章のチェロ主題などゆったりしていて、クライマックス付近でもスピードはそれほど上がりません。第2楽章の低弦のリズムなど量感よりもスマートさが勝っており、品が良い。ただ、いいことばかりではなく、第3楽章ではオーボエの旋律が丁寧というよりマジメすぎるし、終わり近くのテンポアップも控えめで、多少はっちゃけちゃった方がいいところでも行かないのがややマイナスというか、平板に感じます。ファゴット奏者出身にしては、木管にそれほど目立つところがないのも惜しい。アマゾンには「荒削りながらも迫力満点のハラース」と書いてあるんですが、このCDに関する限り、見当ハズレでは? しかし、フィナーレでは第2主題など安定感のある弦が美しく、コーダではホルンが「圧倒的響きで」と書かれているところでベルアップか立ち上がったかしていることが明らかにわかるほど吹き鳴らしており、お見事。オケはうまく、2番以降にも期待が持てます。
「花の章」は、フィナーレの後に収録されています。第2楽章にしている演奏もあるみたいですが、他の楽章と版の問題が生じるため、別にした方が賢明でしょう。交響曲と同傾向ですが、曲調が穏やかな分、不満のない美しい演奏です。
残響が多めの録音で、静かなところではそれが効果的ですが、テュッティで盛り上がるとモワッとなります。第1楽章ラストのティンパニも、ダンとかバンではなくボスッみたいに空気が抜けたような響きに聴こえます。これは昔のナクソスにもあった傾向で、ちょっと人工的すぎる。うーん、全曲こんな録音だとすると困るなあ。