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お気楽妄想系のページf^^; 荒らし投稿がつづくのでコメントは承認制としました。
映画版 銀河ヒッチハイク・ガイド

2005年のイギリス・アメリカ合作で、ダグラス・アダムス原作のスラップスティックSFの映画化。みっちがSF小説を好んで読んでいたのは、1980年代までで、たぶんジーン・ウルフ『新しい太陽の書』四部作あたりが最後(続編が出ているらしいけど)。『銀河ヒッチハイク・ガイド』は、タイトルだけ聞いたことがありました。今回映画版を観たのは、『ホビット』や「コルネット三部作」に出ているマーティン・フリーマンつながりで。以下、ネタバレあり。

 

イルカたちのミュージカル調の楽しげなお別れの歌の後、アーサー・デントが朝目を覚ますと、バイパス建設工事のために自宅が取り壊しにあっており、その約12分後、地球も爆破されて消滅という素晴らしいスケール感に、めまいがするほど。ここ、地球最後の瞬間に描かれるのもやっぱりパブだったりする。「コルネット三部作」と共通で、パブが世界の中心だった(爆)。理由はよくわかりませんが、タオルはとにかく必需品らしい。その後の展開や世界観などは、きっとほかで詳しいはずなので、思い切って省略します。

 

ところどころの「特撮感」に、いまごろ撮ればきっともっと洗練された画像にできるはずとは思いますが、全編がブラックジョークのような作りなので、むしろいい味になっています。宇宙船に「二度と押すな」と書かれたボタンがあったり、ヴォゴン人の星で、3人組が「思う」とか「考える」とかいうたびに地面からハエたたきのようなものが飛び出して顔をバシッとやるギャグなど、アホくさいけどおかしい。究極の疑問がわからないけど、「42」という答えは出てたり、陰気なロボット、マーヴィンもおいしいところを持っていきます。ドタバタでネタ満載なわりには脚本がきれいにまとまっていて、妙に納得させてくれます。みっちが脚本を褒めることはあんまりないはずですがf^^;。これは小説も読むべきかも。

 

寝間着姿のまま、宇宙に放り出されるアーサーことマーティン・フリーマンは、後のビルボ・バギンズを彷彿とさせます。若くて頬がふっくら、子供っぽさがまだ残っているのも『ホビット』に期待された理由ではなかったかと。トリリアン役のズーイー・デシャネルは輝く瞳が印象的。この目はどこかで見たような、と思い、『SHERLOCK』のユーラスでは?と思い当たったのですが、ユーラスはシアン・ブルックで別人でした。年齢も近いし、似てるけどなあ。「コルネット三部作」に皆勤賞だったビル・ナイも出ていて、名前は重要じゃないとかいいながら名乗るときの表情がおかしい。名前なんだっけ? 彼とマーティンのシーンは、いかにもSFらしくて好き。最後の方でこういうシーンがあるのはポイント高い。


ブルーレイは字幕・吹替え両方いけます。ただし、この作品の場合は内容が内容だけに、吹替えだと「いま、なんて言った?」のまま次のシーンになってしまい、ついていけなくなる恐れがあります。その点、字幕は落ち着いて読めるだけ理解しやすいかも。結局両方見ますねf^^;。特典映像も字幕付きですが、内容が少なく、コメンタリーもありません。

posted by みっち | 16:08 | たまに観る映画 | comments(2) | trackbacks(0) |
いまどきのエスプレッソマシン(その4)

約1年前にエスプレッソマシンを物色しましたが、その後遠近両用メガネや玄関リフォームなどで、先立つものが本当に先立ってしまい、いまだに購入できていません。奥方からは、次は冷蔵庫の買い換えだといわれており、いつになったら買えるのか見込みが立たない状況(ーー;)。それはそれとして、あれから新たな候補になりそうな機種を見つけたので、アップしておきます。
 

・Brevill BES870XL Barista
 

ブレヴィル社はオーストラリアの家電メーカーで、トースターやミキサーなどに定評があるようです。エスプレッソマシンにも力を入れているようで、モデルが多い。これはシリーズの中間クラスに位置しそう。現在のところ国内での取扱はなさそうですが、アマゾンなどで並行輸入品を買うことができます。オーストラリアは電圧が220-240Vと高く、そのままでは使えない仕様のため、これらはアメリカ向けの製品(電圧120V)のようです。ステンレスの本格的な筐体で、アマゾンの英語版ではかなりの高評価。


BES870XL Baristaは、画像でわかるように、グラインダを本体に内蔵しています。エスプレッソマシンには豆を極細挽きにする必要がありますが、手回しミルでは困難で、別にグラインダを買わなくてはいけないという問題が、このマシンだけで解決できるわけです。抽出圧は15気圧だそうで、通常必要とされる9気圧に対しそんなに高くするメリットがわかりませんが、まあ十二分といっていいでしょう。PID制御も付いているそうで、性能的には高級機+α? タンパーも付属して価格は10万円足らずと、かなり魅力的です。主な仕様は以下のとおり。
 

■電源:AC120V
■消費電力:1,600W
■給水タンク:2L
■本体重量:10kg
■外形寸法 幅337×奥行き318×高さ400mm

 

ボイラー容量は明記されていませんが、アマゾンで質問したら、1Lとの回答がありました。これは立派。前に取り上げた機種でこれに匹敵するのはVBMのDomoBar Jr. HXが1.1L。こちらは16万円で、もちろんグラインダはなしですから。ただし、アマゾンでは電圧の関係か、スチームが弱いという声も。あとはメンテナンスですねえ。


 

・西山工業 X shot
 

これは珍しい日本製。西山工業は、静岡県富士市にある冷熱機器、加熱機器メーカーです。製品への疑問点や故障時の対応など、輸入品につきものの不安がなさそうなのは大きい。ボイラー容量もランチリオ・シルヴィアなどより大きいし、PID制御もあって、機能的には高級といってよさそう。公式サイトにはラテアート世界チャンピオンの大田悠介氏の名前があり、Xshotを使ったラテアート教室が開かれているとか。
 

しかし、アマゾン価格では136,080円。国産なのに高くない? その原因は、謳い文句の「多機能」にあるのか。エスプレッソ・コーヒーだけでなく、ドリップコーヒーや緑茶・ほうじ茶などのエスプレッソも作れるそうです。作れなくていいのに(爆)。機能はエスプレッソとスチームのみにして、8万円くらいであったらすぐ飛びついたかも。これを見た国内他社が競合製品を出してくれると、今後の進展があるかもしれません。主な仕様は次のとおり。
 

■電源:AC100V 50/60Hz
■消費電力:1,100W
■ボイラー容量:500cc
■給水タンク容量: 2.0L
■本体重量:9kg
■外形寸法:幅230×奥行き300×高さ380mm

 

 

<番外編>
・バッキ・エスプレッソ
 

実はこれ、直火式のマキネッタです。マキネッタは蒸気圧で抽出するために、通常はマシンのようなクレマはできません。ところが、このバッキは独特なボイラー構造によりマシン相当の9気圧を実現しています。バッキがあれば、電気のない野外などでも本格的なエスプレッソが飲めるぞ。お値段も4万円台で、これまで見てきたどのマシンよりも安い。しかも取り扱っているのは、以前マキネッタを購入して信頼感のある「カフェティエーラ・エスプレッソ」。10万円以上もする機械をネット購入するリスクを考えれば、すごいお買い得感と安心感ではありませんか。
 

しかし、「現在欠品中」とのことで入荷情報などを問い合わせたところ、カフェティエーラ・エスプレッソではメーカーとの契約がすでに終了しており、再入荷の予定はないとのこと。お返事ありがとうございました。知るのが遅すぎたー。

posted by みっち | 22:32 | なんちゃってグルメ | comments(0) | trackbacks(0) |
楽譜運び用トートバッグの中身

「いとしま応援プラザ」で購入したトートバッグ「Scatola」、さっそく今週から使い始めました。ほんとに軽く、肩にも掛けられて便利。

 

記念に、バッグの中身を大公開! って、見たい人いるんだろうか、こんなの。いや、チェロ弾きなら参考にするかもしれない。しないかも……。

 

写真右上がマイScatolaです。その手前に重ねているのはもちろん、いま練習中の定期演奏会用のパート譜。上から「運命の力」序曲、「4つの最後の歌」、「シェエラザード」、いちばん下はアンコール曲(未発表なのでモゴモゴ)。

 

パート譜の右側に並んでいるのは、黒いペンケース。左上に一部が写っているソファベッドの購入先、シノハラ製作所からオマケでもらったもの。中には2Bの鉛筆2本、自作のマグネット付き鉛筆キャップ、消しゴム、修正液が入っています。その下がエンドピンストッパー(ブラックホール)、松脂(ギヨーム)、チューナー。エンドピンストッパーや松脂は、最初はチェロケースのポケットに入れていましたが、練習ではケースを近くに置けないことが多いため、バッグに移動しました。いまケースに入っているのは楽器と弓以外はクロスだけです。チューナーは自宅用にもう1個あります。バッグに入れているのは駒に装着するタイプで、オケのように周りが大音響でもこれならチェック可能です。

 

左側は、予備のA・D弦でヤーガー・スーペリアとヴァーサムの袋に入っているけど中身はどっちもヤーガー・スーペリア。その下が、会費を収める封筒。さらに、パート仲間から借りているCD。CDは借りた相手が休団中のため、返せないまま(ーー;)。

 

あとこれに、折りたたみの譜面立てを入れる場合があります。Scatolaに入れてみたところ、底は少し長さが足りませんが、上が少し広がっていることもあり、斜めにならバッグからはみ出ずに入りました。

posted by みっち | 11:44 | cello | comments(0) | trackbacks(0) |
糸島クラフトフェス2017

3連休の月曜日、糸島市に奥方と行ってきました。「糸フェス」と呼ばれるイベントがこの日まで開催中でした。昼ごろに到着したのですが、台風一過で天気もよく大盛況。クラフトショップを見ながら2周し、お腹が空いたので炙り鯖鮨と鶏のもも焼きを食べました。おいしかった。


会場のそばには、みっち夫婦の共通の知人が勤める「いとしま応援プラザ」があり、顔を出しました。チェロの楽譜を入れるトートバッグがあったらと思い、前日に連絡を入れておいたところ、見繕ってくれたのが写真の品。SCATOLA(スカートラ)という名前で、イタリアで修行された職人さんだそうです。画像はSCATOLAさんのフェイスブックから拝借しました。いま産休中で、今年はフェスに出品しておられないところ、取り寄せてくれたらしい。イタリア語で「箱」という意味だそうですが、この文字列からついお下劣な発想をしてしまうみっちをなんとかして(爆)。
 

ポリエステルの表地に一部牛革が使われています。とても軽い。うーむ、描いていたイメージにピッタリなんだけど。きれいな作りで、ひと目で気に入りました。仕事用にも使えそう。価格は29,800円(税抜き)。ものはいいけど、値段もいいぞf^^;。手作りだからね。これまで使っていたブルックス・ブラザーズのムック本に付属していたへろへろトートからすると、大出世(爆)。いろいろ話していると、どうやら使われている皮革は栃木レザーらしい。栃木レザー、最近のみっちのブームになっており、スマホケースやベルトをアマゾンでポチっていたところでした。どれも革の匂いがして好き。さすがにカバンは通販じゃなあ、と思っていたところ、ここでお目にかかれるとは! というわけでお買上げ。来てよかった、というかフェス関係なかった。
 

応援プラザで博多在住の友人とも合流し、近くの「ちきゅう屋」酒店で地元糸島の「白糸」純米酒「ハネ木搾り」と「55」の5合瓶を購入。友人は、「ハネ木搾り」と熊本の「美少年」にキャプテン・ハーロックが描かれたラベルの5合瓶を買っていました。店内にはマルスウイスキー「3&7」や初めて見る倉吉モルトウイスキー(?)などもあり、店主に話を聞きたかったのですが、後から客がどんどん入ってきたので、長居せず。
 

「ちきゅう屋」からクルマで20分ちょっと、白糸の滝近くの「伊都安蔵里」(いとあぐり)に移動しました。大きな醤油蔵を改装したカフェは、ちょっと湯布院の「天井桟敷」に似たところがありますが、店内を流れているのはグレゴリオ聖歌ではなくジャズ。時間を計ったわけではありませんが、注文してから出てくるまで相当待たされました。味は良かったけど。売店では地元の食材や調味料などを売っており、野菜が安かったようです。でっかいニンニクが3個で220円だったので、奥方の買い物に入れてもらいました。これでパスタ作ったら、どんなだろう?

posted by みっち | 21:44 | 近況 | comments(0) | trackbacks(0) |
弦楽器のメンテナンス先に悩む

近場で弓の毛替えなどが頼める弦楽器工房または楽器店を探しています。チェロと弓を買ったのは「石田ヴァイオリン工房」で、もちろん信頼できるお店ですが、博多南区にあって、門司からだとちょこっと行って戻ってこれる距離ではありません。それで、これまでは小倉にあるS社にお願いしていました。しかし、ここは以前から売り込みが激しく、先日行ったときにはもはや布教活動といえるレベルに達し、ガマンの限界を超えたので、もう縁を切りたい。愚痴になりますが、ちょっと聞いてくださいよう。


店に予約を入れて、午前中に弓を預けて引き取り時刻を決めました。夕方、先方の多少の余裕も見て、約束の時間より遅めに行ったのに、まだ仕上げていません。これくらいはまあ、いつものことです。しかし午前中、本店の社長か会長製作のストラドコピーモデルがNHKの番組に取り上げられたのを見たかと聞かれ、見ていないと答えていたため、待っている間にその録画を見ろといって上映開始。このためにわざと待たせているのか。番組に興味を持てない(ていうか、興味あったら見てるよね)ため、途中から店内をうろうろしていると、この番組でコピーと本物のストラドの音響がほぼ一致したとか、過去の銘器の補修のやり方がまずかったとか、海外の工房の悪口も含めて自社賞賛。「へえー」と生返事でチェロ弓を触っていたら、「展示会でその1本がとても評判が良かった」と売り込みです。でも残ってるけど……。率直に「持った感じ、ピンとこなかったなあ」と言ったら、「持った感じだけで、音がどんなでどこまで遠くに飛ばせるか判断できるんですか」とツッコミされました。いやあのね、持った感じがいい(つまりバランスがよくコントロールしやすそうな)弓を試してみようかとなるわけで、そこで外れたものはどうもこうもないでしょ。とはいわず、「そんなもんですかねー」とあいまいに答えたら、今度は音叉を持ってきて、「楽器も弓も共鳴するものですから、きれいな対称形ならこのように(チーン)鳴ります。しかしどこかでこれが押さえられると(指で一部を押さえてチーン)」。「あの、すみませんが、弓毛仕上げてくれませんか」。「こっちの音叉では(もう1個持ってこようとする)」。「いや、音叉の響きの違いを聞いたって仕方がないんで(これ前にもあったし)」という具合。その後も弓に松脂が付いていて音が悪くなるなどと最後まで文句を言われ続けました。
 

もう二度と行くものか。と思いはしたものの、北九州市内で弦楽器を扱っているところって、ほかにどこがある? レッスンを始めたころはヤマハでしてもらったことがありますが、職人さんが常駐しておらず、「弦楽器フェア」などで年に数回来る日だけでした。もうレッスン生ではないので、頼めるかどうかもわかりません。対岸の下関にもなさそう。宇部にはあるみたいですが、遠すぎる。パートの仲間に相談したところ、やっぱりS社は苦手だって(爆)。どうやら他所で購入した楽器や弓は調伏対象になるらしい。毛替えは博多のイズタ・バイオリンでやってもらっているそうです。やっぱり博多か。天神のお店には昔一度行ったことがあります。ここなら石田さんより近いし、弓を預けて時間をつぶすのも難しくないかな。というわけで、S社さん、長い間お世話になりましたが、さようなら。

posted by みっち | 16:44 | cello | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴィト/ワルシャワ・フィルほかによるマーラーの交響曲第8番

・マーラー:交響曲第8番変ホ長調


バルバラ・クビアク、イザベラ・クウォシンスカ、マルタ・ボベルスカ(ソプラノ独唱)
ヤドヴィガ・ラッペ、エヴァ・マルチニェツ(アルト独唱)
ティモシー・ベンチ(テノール独唱)、ヴォイテック・ドラボヴィッチ(バリトン独唱)、ピョートル・ノヴァツキ(バス独唱)
ワルシャワ・フィルハーモニック合唱団
ポーランド放送クラコフ合唱団
ステファン・ヴィシンスキ枢機卿大学合唱団
ワルシャワ少年合唱団

 

アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワ・フィルハーモニック管弦楽団
 

2005年7月1-6日録音、ワルシャワ・フィルハーモニック・コンサートホール
ナクソス:マーラー交響曲全集より(NAXOS 8.501502)
 

ナクソスのマーラー交響曲全集から第8番を聴きました。ボックスの11枚目に第1部「来たれ、創造主なる精霊よ」、12枚目に第2部「ファウスト第2部」より終結部分が収録されています。指揮者は7番のハラースからヴィトに戻りました。8番はこのボックス中もっとも録音が新しく、ヴィトのポスト変更に伴ってポーランド国立放送響からワルシャワ・フィルにオケが変わっています。


ヴィトのマーラーはどれも優れた演奏ですが、中でもこの8番は2番と並んで素晴らしい。8番の録音としては、クーベリック盤が独唱陣に魅力がありCD1枚に収まっていることもあって愛聴していますが、ヴィト盤の方が録音が良いため、今後はこっちをよく聴くことになりそう。
 

全曲を通じて、オケ、声楽、オルガンなどがよくまとまっており、見事なバランスに聞き惚れます。例えばオルガンは、冒頭はもちろん、マーラーがどこでオルガンを使っていて、それがどう効果的に鳴っているかがよくわかります。巨大な編成のためにカオスになりがちなこの曲が、各声部がよく整理されて、迫力が失せるのではなく美点がより際立っているのは、ヴィトによって曲の魅力の全貌が引き出されたというべきでしょう。
 

そうしたバランスの巧みさがものをいって、とくに説得力が高い音楽になっているのが、対位法的な書法で書かれた第1部でしょう。第1部全体として、展開部の終わりから再現部の始まりにかけての部分とコーダの最終部分の2箇所に大きなクライマックスを置いており、そこに向かってあっちから攻め、こっちから登り、と委曲を尽くします。そうしてやってくる頂点の高いこと。オルガンのことはもう触れましたが、少年合唱の扱いも鮮やかで、さすが。
 

第2部では独唱陣にそれぞれ見せ場がありますが、テノール(マリア崇敬の博士=ファウスト)と第2ソプラノ(懺悔する女=グレートヒェン)には音楽上もとくに重要な役割が与えられています。『ファウスト』の物語からしても、これは当然。ここでは男声陣ががんばっていて、クーベリック盤にも遜色のない出来栄え。女声陣は、機械的なヴィブラートが気持ち悪いソプラノがいること、注目のグレートヒェンがちょっと軽すぎるのが、この演奏での数少ない難点。クーベリック盤ではエディト・マティスが絶唱と言ってよいほどレベルの高いソロを聴かせるので、ここだけは割りを食っている印象があります。しかし、第3ソプラノによる「栄光の聖母」以降は、ヴィトらしいたっぷりした運びと精妙な管弦楽の響きに魅入られます。「神秘の合唱」では極端にテンポを落としてじわじわ迫り、高揚の頂点で金管の別働隊が圧倒的な輝きを放ちます。ラストの素晴らしさには、思わず泣けた!
 

オーケストラが変わったことはあまり気になりません。あえていえば、ワルシャワ・フィルはポーランド国立放送響と比べて弦や木管の柔らかな表現にやや特徴がありそうですが、実力的にはいい勝負かと。これだけの大編成を堪能させてくれる録音にも敬意を評したい。シリーズ中でも出色の出来であり、このボックス買ってよかったあ、と思わせてくれます。

posted by みっち | 22:30 | CD・DVD | comments(0) | trackbacks(0) |
宇宙人ポール

「3つの味のコルネット」三部作ですっかりおなじみのサイモン・ペグとニック・フロストのコンビにもう一度会えるということで、『宇宙人ポール』(2011年)をブルーレイで観ました。監督はエドガー・ライトではなく、アメリカ人のグレッグ・モットーラ。やはりコメディーを撮っている人らしい。


イギリスからアメリカ観光にやってきたオタク二人が、コミコン見物のついでにレンタカーでエリア51などのUFO関連「名所」巡りの途中、ホンモノに出会ってしまうというお話。撮影が現地ロケなので、UFO好きなら必見のシーンがあるでしょう。西海岸サンディエゴからネバダ州、ワイオミング州にかけて移動する、ロードムービーの趣もあります。
 

映画として、よくできていると思いました。『ワールズ・エンド』より2年前の作品ですが、オタクっぽい長髪だからか、サイモンもニックもずいぶん若く見えます。とくにサイモンはふっくらしていて、『ワールズ・エンド』のコメンタリーでこのことはネタにされていました。サイモンに遅れを取ったニックが拗ねるところがかわいい。今回は、このコンビと宇宙人ポールの3人組ですが、LotRのゴラムより撮影技術が進んでいるようで、ポールの造形を含めて不自然さはまったくありません。ポールのオッサンぽい雰囲気もナイス。なぜ名前がポールなのかは、映画を観てねf^^;。
 

3人の掛け合いと、途中から強制参加のルース(クリスティン・ウィグ)による珍道中が楽しい。ポールが『E.T.』のアイデアを電話で教えているシーンでは、相手はスピルバーグ本人の声だって(爆)。またルースが着ているTシャツに「ダーウィンを射殺するキリスト」が描かれているのがかなりのインパクト。アメリカには実際こういう人たちがいるんでしょうね。宗教ネタをけっこう引っ張るところも「らしさ」になっています。
 

後半は政府機関から逃げ出したポールを追跡する捜査官たちとの鬼ごっこになります。できそうなゾイルは別として、新入りの二人はポンコツで役に立ちそうにないのですが、この二人が意外な活躍を見せて、サイモンたちはピンチの連続。でも、二人ともやりすぎた(ーー;)。大詰めは、『未知との遭遇』の舞台となったデビルスタワーで、森の木々を透かして光が放射される、あのシーンが再現されます。ここでシガニー・ウィーバーまで登場してびっくり。エイリアンにはつくづく因縁があるらしい。貫禄がすごい。しかし、ジェンガ(爆)。あと、タラ役のブライス・ダナーがかなりの年齢にもかかわらず、美しい。グィネス・パルトロウのお母さんです。エンディングでの母船が長ーいのは、『スペース・ボール』や『大帝の剣』でもあったお約束かf^^;。
 

ブルーレイは、字幕と吹替え両方いけます。しかし、特典映像は「一部字幕なし」。コメンタリーで字幕なしは辛すぎる。なんとかなりませんか?

posted by みっち | 09:03 | たまに観る映画 | comments(0) | trackbacks(0) |
関ヶ原

わが家のエントっ子が観たがるので行ってきました。ちょっとこれは評価が難しい映画です。描いている対象は、日本人ならだれでも知っている?関が原の合戦(1600年)。司馬遼太郎の小説が原作で、たぶん読んでいません。読んだとしても忘れているので、まっさらな状態で観ました。以下、ネタバレです。


まずは気になる点から。タイトルは『関ヶ原』ですが、物語は石田三成が秀吉に登用され、豊臣秀次の切腹やその係累の処刑、三成が島左近を登用する話など、秀吉の死までいろいろな場面が描かれます。ここまでは一応三成が中心。しかし、一方で伊賀の忍びたちの集まりや、島左近と柳生石舟斎の対話、徳川家康と本多正信の謀議など、三成の視点では無理な場面もあります。ポイントポイントでは重要人物ごとに描くのもありとは思いますが、冒頭で現代のシーンからナレーションで原作小説の司馬遼太郎の言葉をそのまま読み上げたりするのがどうもおかしい。ナレーションが中途半端にあったりなかったりするのは、視点がぶれていることの現れです。かといって現代からの視点で俯瞰的に描くのでもなく、上杉征伐や小山評定、上田城攻めなど、東軍の描写はほとんどありません。また、三成はこれらの情報を知らなかったようになっています。西軍でも、拠点目標であったはずの伏見城や岐阜城などの状況が抜けており、中心人物であるはずの宇喜多秀家や小西行長でさえ全然といっていいほど描かれません。大谷吉継は登場回数が比較的多いのですが、もともと徳川に近かった彼がなぜ三成に荷担したかを描くシーンはありません。
 

合戦描写についても、すでに挙げましたが有力武将なのにほとんど名前だけという存在が多く、藤堂高虎あたりは名前すらなかったかも。笹尾山や桃配山などの地名は出ても、位置関係が分かるような説明はなく、布陣がどうなっていてどう推移したかも不明。いろいろと不親切です。通説では、小早川が寝返るまでは西軍がむしろ押し気味だったとされますが、ここでは石田隊は終始苦戦している印象。井伊直政と福島正則の先陣争いもこの描き方では全然伝わってきません。島津の撤退戦もなし。この戦いを正面切って描くのじゃなかったのかと残念です。そのためにも、秀吉の死後から始めるのでよかったんじゃないかなあ。どうしても必要なら回想で。
 

つまり、映画として視点と焦点が定まっておらず、監督が描きたい場面、断片の連なりになっていて、関ヶ原の合戦を大きな流れの収束として描くことに失敗しています。あと、人物たちがみんな早口で、台詞がよく聞き取れないことが多い。これは黒澤映画や『シン・ゴジラ』の影響? 普段の会話ならともかく、戦闘中の伝令の報告がモゴモゴでさっぱりわからないのは手打ちものだろう、と(爆)。
 

以上、ダメ映画といっていいようなものですが、反面、監督こだわりの場面ごとでは見栄えのする画面ではあります。戦闘シーンはやや人数少なめな感じでしたが、映画ならではの迫力と臨場感がありました。訓練の様子や戦闘が始まる前の陣に漂う緊張なども見ごたえがありました。
 

役者もよくがんばっていて、とくに滝藤秀吉は魅力的でした。上でカットすべしといってますが(爆)。もったいないので、別に滝藤「太閤記」作りませんか? 見たいなあ。主演の岡田准一は熱演でした。ただ、熱を込めれば込めるほど三成から離れていくようなところがあるんじゃないでしょうか。そこがどうだったか。平岳大の島左近はかっこよかった。彼の最期はわかっていないので、殺さなくてもって感じでしたね。みっちが監督なら、左近に語り手をさせたい。大谷吉継の大場泰正は知らない人ですが好演。小早川秀秋の描き方は、原作と離れているんじゃないかと思うのですが、これはこれでよかった。東出昌大を起用した意味があったと思います。役所広司の家康は、柴田勝家に見えてしまうのが難点。眉毛がうざかった(爆)。あと福島正則(音尾琢真)。「この、大馬鹿もんがあ!!」と怒鳴りつけたくなるような名演技でした。
 

また、伊賀の忍びたちを描いたことで、面白みが増しています。有村架純もかわいかったしf^^;。アクションもいい出来栄えでした。ただし、三成との恋愛はやはりやりすぎ。直接語らずとも分かり合っているぐらいで抑えてほしかった。映画には登場しない正妻を無視して戦いが終わったら二人で旅に出たいなどとほざく三成を「義の人」といっていいものでしょうか? ついでにいうと、初芽がなぜ三成の本陣でなく島津の陣に近づいたかも説明不足で首を傾げました。
 

ちなみに、エントっ子は大変面白かったそうなので、観る人や求めるものによって評価が大きく分かれる映画なのでしょう。

posted by みっち | 21:35 | たまに観る映画 | comments(0) | trackbacks(0) |
定期演奏会に向けて

10月22日にある北九響の第118回定期演奏会に向けて、練習中です。曲目は、ヴェルディの歌劇『運命の力』序曲、R・シュトラウスの『4つの最後の歌』、リムスキー=コルサコフの交響組曲『シェエラザード』。


ヴェルディの序曲は、指揮者の新田ユリ先生によれば、3曲中最もカロリーの高い曲です。確かに、熱く激しいスピリットを感じます。ヴェルディの序曲の中ではもっとも演奏機会が多い名曲らしいですが、しかし、個人的にはよくわからないところがf^^;。このオペラは最後に登場人物がみんな死んでしまうという悲劇ですが、序曲はどういうわけか明るく終わります。「始まり始まり!」てことで、ラストはともかく最初は景気良くいきたかったんでしょうか? 弾いていても、途中からはしゃぎすぎじゃね?という感じが拭えません。あと、「運命」を表しているらしいタラララ(ーララーラ)という上昇音型が曲のあちこちにちりばめられていて、しかも出てくるたびに拍子やリズムパターンが細かく違うという芸の細かさ。このあたりの変奏技術はさすがといえばさすがですが、弾き分けるのがけっこう大変です。
 

4つの最後の歌は、みっちは当初降り番にさせてもらっていたのですが、先週の土曜日に乗ってくれとの連絡があり、急遽今週から楽譜をもらって始めたところです。って、あと2ヶ月もないんですけど! で、この曲もよくわからんぞ(ーー;)。ま、リヒャルトだからな(爆)。チェロパートはほぼ2部のディヴィジで、部分的には4パートに分かれます。ヴァイオリンなども同じらしい。歌の伴奏なのに、どうしてこんなに声部を増やさないといかんの? ハープ2台とか編成自体も大きいし、人間、年をとると簡明さに向かったり枯れたりするものだと思っていたけど、リヒャルトくんは年取ってもキンキラキンでした。弦楽四重奏とか絶対無理だよ、この人(爆)。
 

シェエラザードは、通俗的なイメージが強めですが、弾いてみると思っていたよりずっといい曲でした。新田先生からは、エレガントにという全体的な指示をいただいており、魅惑的な響きになるように努力したい。チェロとしては、第3楽章のメロディーがおいしいところで、ここばかり弾いていたくなりますf^^;。実はこの部分、一緒に吹く木管は前半がオーボエで後半がイングリッシュホルンとなっていて、繊細な音色変化を聴かせる例のひとつです。ほかにも、へえー、そうなっているのかとやってて面白いところが多い。コンミスのヴァイオリン独奏がまた美しい! この曲の指揮と独奏が女性というのはとても合っていると思いますが、実際には珍しいのでは? というわけで、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

posted by みっち | 23:07 | cello | comments(2) | trackbacks(0) |