2005年のイギリス・アメリカ合作で、ダグラス・アダムス原作のスラップスティックSFの映画化。みっちがSF小説を好んで読んでいたのは、1980年代までで、たぶんジーン・ウルフ『新しい太陽の書』四部作あたりが最後(続編が出ているらしいけど)。『銀河ヒッチハイク・ガイド』は、タイトルだけ聞いたことがありました。今回映画版を観たのは、『ホビット』や「コルネット三部作」に出ているマーティン・フリーマンつながりで。以下、ネタバレあり。
イルカたちのミュージカル調の楽しげなお別れの歌の後、アーサー・デントが朝目を覚ますと、バイパス建設工事のために自宅が取り壊しにあっており、その約12分後、地球も爆破されて消滅という素晴らしいスケール感に、めまいがするほど。ここ、地球最後の瞬間に描かれるのもやっぱりパブだったりする。「コルネット三部作」と共通で、パブが世界の中心だった(爆)。理由はよくわかりませんが、タオルはとにかく必需品らしい。その後の展開や世界観などは、きっとほかで詳しいはずなので、思い切って省略します。
ところどころの「特撮感」に、いまごろ撮ればきっともっと洗練された画像にできるはずとは思いますが、全編がブラックジョークのような作りなので、むしろいい味になっています。宇宙船に「二度と押すな」と書かれたボタンがあったり、ヴォゴン人の星で、3人組が「思う」とか「考える」とかいうたびに地面からハエたたきのようなものが飛び出して顔をバシッとやるギャグなど、アホくさいけどおかしい。究極の疑問がわからないけど、「42」という答えは出てたり、陰気なロボット、マーヴィンもおいしいところを持っていきます。ドタバタでネタ満載なわりには脚本がきれいにまとまっていて、妙に納得させてくれます。みっちが脚本を褒めることはあんまりないはずですがf^^;。これは小説も読むべきかも。
寝間着姿のまま、宇宙に放り出されるアーサーことマーティン・フリーマンは、後のビルボ・バギンズを彷彿とさせます。若くて頬がふっくら、子供っぽさがまだ残っているのも『ホビット』に期待された理由ではなかったかと。トリリアン役のズーイー・デシャネルは輝く瞳が印象的。この目はどこかで見たような、と思い、『SHERLOCK』のユーラスでは?と思い当たったのですが、ユーラスはシアン・ブルックで別人でした。年齢も近いし、似てるけどなあ。「コルネット三部作」に皆勤賞だったビル・ナイも出ていて、名前は重要じゃないとかいいながら名乗るときの表情がおかしい。名前なんだっけ? 彼とマーティンのシーンは、いかにもSFらしくて好き。最後の方でこういうシーンがあるのはポイント高い。
ブルーレイは字幕・吹替え両方いけます。ただし、この作品の場合は内容が内容だけに、吹替えだと「いま、なんて言った?」のまま次のシーンになってしまい、ついていけなくなる恐れがあります。その点、字幕は落ち着いて読めるだけ理解しやすいかも。結局両方見ますねf^^;。特典映像も字幕付きですが、内容が少なく、コメンタリーもありません。